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2024年9月9日

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2040年の労働力人口6,002万人への減少予測に企業はどう備えるべきか

2023年度版 労働力需給の推計 ―労働力需給モデルによるシミュレーション―(JILPT)

2023年度の労働力需給推計に関する報告書によると、日本の労働力人口は今後大きな変動が予想されます。この報告書は、2022年から2040年にかけての労働力人口、労働力率、就業者数、産業別就業者数などの推計を示しており、これらのデータは日本の労働市場における今後の課題と機会を浮き彫りにしています。

まず、労働力人口についてですが、ゼロ成長と労働参加が現在の水準で推移した場合、2022年の6,902万人から2040年には6,002万人に減少すると予測されています。一方、成長実現と労働参加の進展を見込むシナリオでは、2030年に6,940万人に達し、2040年には6,791万人に減少しますが、ゼロ成長シナリオに比べると減少幅は縮小します。さらに、経済成長がある程度進むベースラインシナリオでは、2030年に6,886万人、2040年には6,536万人になると見込まれています。

年齢階級別に見ると、労働力人口の構成にも変化が生じると予測されています。15~29歳の人口は2022年の1,152万人から2040年には1,031万人に減少し、30~59歳の人口も2022年の4,264万人から2040年には3,643万人に減少します。一方で、60~69歳の人口は増加が見込まれ、2022年の954万人から2040年には1,353万人に達すると予測されています。また、70歳以上の人口も増加し、2022年の532万人から2040年には765万人に達すると見込まれています。

次に、就業者数についても大きな変化が予想されています。ゼロ成長と現状の労働参加が続いた場合、2022年の6,724万人から2040年には5,768万人に減少します。しかし、成長実現と労働参加が進展するシナリオでは、2030年に6,858万人に増加した後、2040年には6,734万人と、2022年と同水準を維持すると見込まれています。ベースラインシナリオでも、2030年には6,768万人に増加し、2040年には6,375万人に減少すると予測されています。

産業別の就業者数にも変化が見られます。医療・福祉分野では、2022年の897万人から、成長実現シナリオでは2040年に1,106万人に達すると予測されています。一方、製造業や卸売・小売業では減少が見込まれており、特に製造業は2040年までに791万人にまで減少すると予測されています。これに対して、情報通信業では増加が予想されており、2040年には364万人に達すると見込まれています。

このように、日本の労働市場は今後20年で大きく変わることが予想されます。特に、高齢化社会の進展に伴い、60歳以上の労働力人口が増加する一方で、若年層の人口は減少します。これにより、企業は高齢者や女性の労働参加を促進し、新たな成長分野への人材配置を進める必要があります。また、製造業の減少に対して、医療・福祉や情報通信業といった成長産業へのシフトも重要です。

労働市場の需給バランスを保つためには、経済政策や雇用政策の適切な実施が求められます。特に、労働参加の進展や成長分野の拡大を図ることで、将来の労働力不足に対処することが可能です。企業はこのような労働市場の変化を見据えて、柔軟かつ戦略的な人材管理を行うことが求められます。

最後に、これらの推計は一定のシナリオに基づいており、経済成長率や技術進歩の速度、労働参加の進展度合いによって結果が異なる可能性があります。したがって、企業は常に最新のデータや予測をもとに経営戦略を見直し、将来の変動に備えることが重要です。

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ

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