2025年4月29日
労務・人事ニュース
2040年73%削減目標を支える「MIDORI∞INFINITY」、農業の国際化を後押し
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「農林水産分野GHG排出削減技術海外展開パッケージ 基本的考え方」の公表について(農水省)
令和7年4月15日、農林水産省は「農林水産分野GHG排出削減技術海外展開パッケージ 基本的考え方」を公表しました。この政策パッケージは、同日に改定された「農林水産省地球温暖化対策計画」と連動するものであり、今後ますます高まる地球温暖化対策の国際的要請に対し、日本が農林水産分野における技術力を活かして積極的に貢献していく姿勢を明確にした内容となっています。特に、今年11月に開催される予定の国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)を見据えた動きとして、各方面から高い関心が寄せられています。
この政策パッケージは、通称「MIDORI∞INFINITY(ミドリ・インフィニティ)」と名付けられており、農業・林業・水産業を中心とした日本独自のGHG(温室効果ガス)排出削減技術の国際展開を支援する枠組みです。農林水産省はこれまで、気候変動対策と食料安全保障を両立させるための国内施策を中心に展開してきましたが、今回の発表は、それら国内で培った技術や知見を国際的に共有し、持続可能な農業や食品システムのグローバルな構築に貢献しようとする重要な一歩となります。これにより、GHG削減という環境課題と、食料供給の安定化という人類共通の課題を同時に解決するという、日本ならではの取り組みが世界に向けて発信されることになります。
「MIDORI∞INFINITY」の根幹にあるのは、日本が保有する優れたGHG削減技術の中から、海外への適用が可能であり、かつ食料安全保障にも資するものを精選して紹介するという方針です。これにより、国際社会において日本の技術力の高さと、それがもたらす社会的・環境的インパクトが評価されることが期待されます。たとえば、畜産分野においては家畜の腸内発酵によるメタン排出量を抑制する飼料技術、農業分野では化学肥料の使用を最適化する精密施肥システム、水田からのメタン排出を削減する新たな栽培管理法などが挙げられます。これらの技術は既に日本国内で一定の成果を挙げており、その有効性と汎用性が海外でも認められる可能性は高いといえます。
また、本パッケージでは、GHG削減技術の単なる技術移転にとどまらず、関連する制度・支援の整備や技術開発に至るまで、包括的な展開を視野に入れています。たとえば、政府が推進する二国間クレジット制度(JCM)を活用した技術導入や、農林水産分野の研究開発に対する補助、他省庁や国際機関との連携による資金調達支援など、多角的な支援策がまとめられています。これにより、民間企業が新たな市場へ参入する際のハードルが下がり、実行性のあるプロジェクトが展開されやすくなります。
特に重要なのは、本パッケージの具体化において、農林水産省が今後、民間事業者との意見交換を積極的に行う方針を打ち出している点です。5月を目途に完成予定とされる最終パッケージでは、現場で活動する企業や団体の声が反映されることが見込まれており、実用性の高い政策ツールとしての位置づけが期待されています。このように、政府主導の取り組みでありながら、現場の視点を重視する姿勢は、民間企業の参画を促し、持続可能なビジネスモデルの構築に貢献するものとなります。
COP30をはじめとする国際会議において、「MIDORI∞INFINITY」が紹介されることで、日本の農業・食品分野における環境技術がグローバルに認知される可能性は非常に高くなります。同時に、それは海外からの脱炭素投資を日本の農業・食品業界に呼び込む機会ともなり、企業の成長や新市場の開拓に直結するポテンシャルを秘めています。今後は、これらの技術が気候変動ビジネスの主力分野として確立され、世界中の食料安全保障の強化にもつながることが見込まれます。
企業の採用担当者にとっても、この取り組みは重要な意味を持ちます。GHG削減技術の国際展開が進めば、環境分野に精通した人材や、国際プロジェクトに対応できるスキルを持つ人材の確保が急務となるため、人材戦略の見直しや新卒・中途採用の方向性にも影響を及ぼします。また、環境意識が高まる中で、企業としてのブランド価値やESG評価にもプラスに働くため、サステナブルな経営を志向する企業にとっては、こうした政府の政策動向を積極的に取り入れることが競争力向上にもつながります。
⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ