2024年9月8日
労務・人事ニュース
2050年ゼロカーボン達成へ!JR西日本が次世代バイオディーゼル燃料を使用した初の営業列車試験を開始
「鉄道車両における次世代バイオディーゼル燃料の実証・評価」について営業列車で走行試験を行います ~国内初の100%次世代バイオディーゼル燃料 による 走行 試験 の 実施 ~(国交省)
令和6年8月23日、鉄道局技術企画課から発表された内容によると、西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)は、国内で初めて営業列車で次世代バイオディーゼル燃料を100%使用した走行試験を行う予定です。この試験は、2050年にカーボンニュートラルを達成するための取り組みの一環として実施されます。日本政府が掲げる2030年度までの温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する目標に基づき、鉄道分野でも再生可能エネルギーの導入が進められており、この試みもその一部です。
この試験は令和6年9月3日から令和7年1月31日までの期間にわたり実施される予定で、岩徳線や山陽本線の一部区間で営業列車を使用して行われます。使用される燃料は、フィンランドのNeste社が製造する「Neste MY Renewable Diesel」という次世代バイオディーゼル燃料です。この燃料は廃食油や廃動植物油などを原料としており、燃焼時に排出される二酸化炭素量を抑えることで、温室効果ガスの排出削減に貢献します。また、この燃料は既存のディーゼル車両や給油設備をそのまま利用できるため、コストを抑えながら脱炭素化を進めることが可能です。
次世代バイオディーゼル燃料の最大の特徴は、従来の化石燃料である軽油の代替として使用できる点にあります。特に、燃料の原料が成長過程で吸収した二酸化炭素と燃焼時に排出される二酸化炭素が実質的に相殺されるため、二酸化炭素の排出を「実質ゼロ」とすることが可能です。これにより、鉄道分野におけるカーボンニュートラルの実現が大いに期待されています。
国土交通省が推進する「鉄道技術開発・普及促進制度」の一環として、このプロジェクトは公益財団法人鉄道総合技術研究所とJR7社が共同で取り組んでいます。令和4年度から開始されたこのプロジェクトは、初年度にエンジン性能試験が行われ、令和5年度には試運転での走行試験が実施されました。これらの成果を踏まえ、令和6年度には営業列車を用いた長期走行試験が実施される運びとなりました。
今回の走行試験で得られた結果を基に、JR西日本は今後、自社が保有するディーゼル車両の燃料を100%次世代バイオディーゼル燃料に切り替えることを目指しています。令和6年度の試験が成功すれば、令和7年度以降には本格的な導入が期待されます。この取り組みは、持続可能な開発目標(SDGs)のうち、特に「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」(目標7)、「産業と技術革新の基盤を作ろう」(目標9)、「気候変動に具体的な対策を」(目標13)に貢献するとされています。
また、今回使用される次世代バイオディーゼル燃料は、食料と競合しない原料を使用しており、化石燃料に依存しない新たなエネルギー源として注目を集めています。この技術は、鉄道分野だけでなく、他の輸送機関や産業分野でも広く応用可能であり、将来的にはさらなる温室効果ガス排出削減が期待されます。
JR西日本は、この実証実験を通じて、カーボンニュートラルの実現に向けた技術的な課題を克服し、鉄道業界全体における脱炭素化の取り組みをリードする立場を確立することを目指しています。同時に、地球環境保全に貢献する企業としての姿勢を強化し、社会的責任を果たすための具体的な行動を進めていく方針です。
以上の取り組みは、鉄道分野における持続可能なエネルギー利用のモデルケースとして、国内外からの注目を集めることでしょう。今後の展開次第では、他の鉄道会社や関連業界にも大きな影響を与え、さらなる技術革新が期待されます。JR西日本が掲げる「ゼロカーボン2050」達成に向けた一歩が、今後どのような成果をもたらすのか、注目が集まっています。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ