2025年4月3日
労務・人事ニュース
2050年には全世帯の44.3%が単独、2,330万世帯がひとり暮らしの時代に
- 看護師/2025年5月1日更新
最終更新: 2025年5月1日 11:34
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- 機械オペレーション/梱包/ライン作業 格安食堂完備 半導体の製造·検査 年休137日 社宅費全額補助
最終更新: 2025年5月1日 09:34
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日本の世帯数の将来推計(全国推計) 令和6(2024)年推計(社人研)
2024年4月、国立社会保障・人口問題研究所は「日本の世帯数の将来推計(全国推計)―令和6(2024)年推計―」を公表しました。今回の推計は2020年の国勢調査に基づき、2020年から2050年の30年間を対象に全国レベルで世帯数の将来変化を推計するもので、家族構成別に「単独」「夫婦のみ」「夫婦と子」「ひとり親と子」「その他」の5つの類型で分析が行われています。注目すべきは、2030年代前半には日本の平均世帯人員が初めて2人を下回る見通しが示された点であり、世帯構造の変化が加速していることが改めて明らかとなりました。
まず、全体としての世帯数は、2020年時点で5,570万世帯であったものが増加を続け、2030年には5,773万世帯でピークを迎えるとされています。その後は減少傾向に転じ、2050年には5,261万世帯となり、2020年比で約310万世帯の減少が見込まれています。世帯数の増減と並行して注目されるのが平均世帯人員の推移であり、これは2020年時点の2.21人から減少を続け、2033年には初めて2人を下回る1.99人となり、2050年にはさらに減少して1.92人にまで落ち込むと予測されています。こうした背景には、「単独世帯」の増加傾向が大きく影響していると考えられます。
実際に、単独世帯の割合は2020年時点で38.0%であったのが、2050年には44.3%へと上昇し、全体の約半数を占めるようになると推計されています。世帯数としても、2020年の2,115万世帯から2036年には2,453万世帯と338万世帯増加し、その後やや減少するものの2050年には2,330万世帯に達する見通しです。つまり、30年間で単独世帯は約215万世帯増加することになります。これに対して、子どもを含む「夫婦と子」世帯は、2020年の1,401万世帯から2050年には1,130万世帯へと減少し、「夫婦のみ」世帯も1,121万世帯から995万世帯へと減少が見込まれています。また、「ひとり親と子」世帯は微増の傾向を見せるものの、総数では503万世帯から485万世帯へと減少し、「その他」の世帯も430万世帯から320万世帯へと減少する予測となっています。
加えて、65歳以上の高齢者世帯数も大きな変化が見込まれています。2020年時点では2,097万世帯であったのが、2045年には2,431万世帯とピークを迎え、2050年には2,404万世帯になる見通しです。つまり、30年間で高齢世帯は約307万世帯増加することになります。さらに、75歳以上の高齢世帯についても注目すべき傾向があり、2030年までは増加し、その後一時的に減少するものの再度増加に転じ、2050年には1,491万世帯となり、2020年比で425万世帯の増加となる予測です。
特に注目されるのは、高齢単独世帯における未婚者の割合の急増です。2020年から2050年の間に、65歳以上の男性の独居率は16.4%から26.1%へ、女性では23.6%から29.3%へと上昇します。さらに、高齢単独世帯に占める未婚者の割合では、男性が33.7%から59.7%へ、女性が11.9%から30.2%へと急増することが予測されています。このように、高齢単独世帯における近親者の不在が深刻な社会問題として顕在化する可能性が高まっているのです。
これらの変化は、単に世帯数の増減にとどまらず、地域コミュニティのあり方、社会保障制度、住宅政策、医療・介護サービスの設計などにも大きな影響を及ぼすと考えられます。特に、単独世帯の増加や高齢者の単身化が進むことによって、孤立や貧困、認知症や医療ケアの必要性といった課題が複雑化し、従来の制度では対応が難しいケースが増加することが想定されます。また、2045年という高齢世帯のピークを意識した政策形成が急務となり、介護人材の確保や地域包括ケアシステムの再構築も重要性を増すでしょう。
平均世帯人員の減少は、生活様式の変化とも密接に関わっています。核家族化の進行、結婚や出産の先送り、そもそも結婚を選択しない人の増加、また一度結婚しても離婚によって単身に戻るケースの増加など、さまざまな要因が複合的に作用しています。さらに、若年層の経済的な不安定さが家庭形成を困難にしており、結果として単独世帯の割合を押し上げている可能性もあります。2050年に向けては、高齢化と少子化という日本社会の根幹を揺るがす現象が同時に進行する中で、世帯構造の多様化が一層進展し、これに対応した柔軟な社会政策の構築が必要となってくるでしょう。
とりわけ、未婚の高齢単独世帯が増加することは、福祉サービスや地域の見守り体制への依存度が高まることを意味しており、自治体の負担はより大きくなります。そのため、近隣住民や地域団体との連携を含めた「地域共生社会」の実現に向けた取り組みも、これまで以上に求められています。また、住宅政策においても、多様な家族形態や高齢者単独世帯に適応した住環境の整備が重要であり、ユニバーサルデザインの推進やサービス付き高齢者向け住宅の整備などが喫緊の課題となるでしょう。
世帯の将来推計は単なる統計にとどまらず、社会全体のあり方を問う出発点でもあります。人口構造の変化が暮らしに及ぼす影響を直視し、行政、企業、市民社会が一体となって対応を進めることが、日本社会の持続可能性を左右すると言っても過言ではありません。
⇒ 詳しくは国立社会保障・人口問題研究所のWEBサイトへ