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2024年11月20日

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55.2%を占める高齢者世帯、令和6年生活保護受給者調査から見える高齢化社会の福祉支援

被保護者調査(令和6年8月分概数)(厚労省)

厚生労働省は令和6年8月における生活保護の被保護者調査の結果を発表しました。この調査は、生活保護を受けている人々や世帯の現状を把握するもので、日本国内の経済状況や社会保障に関する重要なデータを提供しています。最新の結果によると、被保護実人員数、被保護世帯数、保護の申請件数、保護開始世帯数についての具体的な数値が明らかにされています。

今回の発表によると、令和6年8月時点での被保護実人員数は2,010,289人であり、前年同月と比較して11,342人減少し、これは0.6%の減少に相当します。また、被保護世帯数は1,652,380世帯となり、前年同月と比較すると761世帯増加しており、増加率は0.0%とわずかながら増加傾向を示しています。これらの数値からは、生活保護を受けている個人の数は減少している一方で、生活保護を必要とする世帯の数は微増していることがうかがえます。

保護の申請件数についても調査されており、令和6年8月の申請件数は21,359件でした。これは前年同月と比べると18件増加しており、0.1%の増加率を示しています。さらに、保護開始世帯数は18,040世帯で、こちらは前年同月と比較して27世帯減少しており、0.1%の減少に相当します。このことから、新たに生活保護を受け始める世帯数はやや減少傾向にある一方、生活保護の申請数はほぼ横ばいであることがわかります。

次に、被保護世帯の内訳について詳細に分析すると、高齢者世帯や母子世帯、障害者・傷病者世帯、その他の世帯に分けられます。被保護世帯の中で最も多いのは高齢者世帯で、907,513世帯が該当し、全体の55.2%を占めています。この高齢者世帯は前年同月と比べて2,581世帯減少しており、0.3%の減少率を示しています。これは、高齢者層が生活保護の主要な受給層でありながら、その数が減少しつつあることを示しており、高齢化社会の中でも生活保護を必要とする高齢者が少しずつ減少していることがわかります。

次に多いのが障害者・傷病者世帯で、412,190世帯が生活保護を受けており、全体の25.1%を占めています。こちらは前年同月と比べて2,957世帯増加しており、0.7%の増加率を示しています。この増加は、社会的に弱い立場にある障害者や傷病者の支援が引き続き必要であることを浮き彫りにしています。

また、母子世帯については62,436世帯が生活保護を受給しており、全体の3.8%を占めています。母子世帯数は前年同月と比較して2,197世帯減少しており、3.4%の減少率を示しています。これには、働き方改革や子育て支援の強化が影響している可能性があり、ひとり親世帯が生活保護から自立できる環境が整いつつあると考えられます。

さらに、生活保護の被保護者の構成割合としては、単身世帯が51.4%を占めており、843,925世帯が該当します。この単身世帯は前年同月と比べて382世帯増加しており、微増傾向にあります。また、2人以上の世帯については63,588世帯が該当し、全体の3.9%を占めていますが、こちらは前年同月と比較して2,963世帯減少しており、4.5%の減少率を示しています。このように、単身世帯が増加する一方で複数人世帯の生活保護受給者は減少していることがわかります。

この調査結果から、生活保護の現状に関するいくつかの傾向が見えてきます。特に高齢者層と障害者・傷病者層が生活保護の主要な受給層であり、その中で高齢者世帯の減少傾向が見られる一方、障害者・傷病者世帯は増加しています。また、単身世帯の受給者数が増えていることは、現代社会における孤立化の問題を反映している可能性も考えられます。このような傾向を踏まえ、政府や自治体は引き続き、生活保護制度のあり方や支援体制の見直しを検討する必要があるでしょう。特に、障害者や傷病者に対する支援の充実や、高齢者の生活支援を強化する施策が求められます。

また、今回の調査結果は、社会福祉政策の策定や生活保護制度の改善においても重要な指標となります。今後、生活保護の受給世帯がさらに増加することが予想される場合には、社会保障制度の持続可能性を確保するためにも、予算の効率的な運用や制度の柔軟な見直しが必要不可欠です。生活保護を受けている人々が増加する場合、制度全体にかかる財政的な負担も増えるため、受給者ができるだけ早期に自立できるような支援策の充実が求められます。また、保護申請件数がほぼ横ばいで推移していることは、現行の支援制度や申請プロセスにおける改善点がある可能性を示唆しており、支援が必要な人々が適切に制度を利用できるよう、制度の周知や申請手続きの簡素化が求められます。

以上のように、今回の生活保護被保護者調査は、日本社会における生活保護の現状と課題を浮き彫りにしており、今後の福祉政策の指針として重要な役割を果たすものと考えられます。政府や自治体はこれらのデータをもとに、支援が必要な層に対する施策を強化し、持続可能な社会保障制度の実現に向けた取り組みを進めていく必要があります。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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