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2024年10月2日

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55.5%の若年労働者が初の職場に留まるも、42.7%が転職を検討

令和5年若年者雇用実態調査の概況(厚労省)

令和5年の「若年者雇用実態調査」の結果が公表されました。この調査は、厚生労働省が行っており、事業所における若年労働者の雇用状況や、彼らの就業に対する意識を把握することを目的としています。今回の調査では、5人以上の常用労働者を雇用する事業所約17,000カ所と、そこで働く15歳から34歳の若年労働者約23,000人を対象に実施されました。調査対象は令和5年10月1日時点の状況で、有効回答率は事業所調査で45.3%、個人調査では57.6%となっています。

この調査結果からいくつかの重要なポイントが明らかになりました。まず、全労働者に占める若年労働者の割合は前回の平成30年調査から減少しており、今回は23.7%と報告されています。特に、正社員に占める若年労働者の割合は25.4%、正社員以外の労働者では20.8%と、いずれも前回より減少しています。この傾向は、企業にとって若年労働力の確保がますます困難になっていることを示唆しています。

しかし、若年労働者の定着に向けた対策を行っている事業所の割合は上昇しています。若年正社員に対しては73.7%の事業所が対策を講じており、これは前回の72.0%からの増加です。また、正社員以外の若年労働者に対しても60.1%の事業所が定着のための対策を実施しており、こちらも前回の57.1%から増加しています。具体的な対策としては、「労働時間の短縮」や「有給休暇の積極的な取得奨励」が挙げられます。これらの施策を実施している事業所の割合も、若年正社員では52.9%、正社員以外の若年労働者では44.9%と、いずれも前回調査より増加しています。

一方、個人調査の結果も興味深いものがあります。在学していない若年労働者のうち、初めて勤務した会社に今も勤務している割合は55.5%、勤務していない割合は42.7%でした。初めて勤務した会社を辞めた理由としては、「労働時間や休日、休暇の条件が良くなかった」と回答した人が28.5%、「人間関係が良くなかった」とする回答が26.4%と、これらが主な理由となっています。

さらに、今後「転職したい」と考えている若年正社員の割合は31.2%で、前回の27.6%から増加しています。転職を希望する理由としては、「賃金の条件が良い会社に移りたい」という回答が59.9%で最も多く、次いで「労働時間や休日、休暇の条件が良い会社に移りたい」が50.0%でした。これらのデータは、若年労働者が労働条件や職場環境に強い関心を持っていることを示しており、企業にとってはこれらの条件を改善しなければ、優秀な若年労働力を維持することが困難になる可能性が高まっています。

この調査結果から、企業に対する重要な課題が浮き彫りになっています。特に、若年労働者の確保と定着を図るためには、働きやすい職場環境を整えることが不可欠です。労働時間の見直しや有給休暇の取得促進といった具体的な施策を導入することで、若年労働者が長く働き続けられる環境を提供する必要があります。また、賃金や労働条件の向上を図ることも、若年労働者の転職を防ぐためには重要です。これらの点を考慮し、企業は今後の雇用戦略を再検討する必要があるでしょう。

さらに、企業は若年労働者のキャリア形成やスキルアップを支援するプログラムを充実させることも重要です。若年労働者は、成長やキャリアの発展を求めているため、企業が彼らのキャリアパスをサポートすることで、より強固な定着を促進できる可能性があります。例えば、研修プログラムやメンター制度の導入などが有効です。これにより、若年労働者が将来に希望を持って働き続けることができ、企業にとっても長期的な人材確保につながるでしょう。

今回の調査結果を受けて、企業が取るべき行動は多岐にわたりますが、共通して求められるのは「柔軟な対応」と「持続的な改善」です。働き方や職場環境は時代とともに変化しており、特に若年労働者のニーズは多様化しています。そのため、企業は固定観念にとらわれず、若年層の働きやすさや働きがいを重視した施策を積極的に導入する必要があります。

このような取り組みが進むことで、若年労働者が安心して働ける環境が整い、企業の競争力強化にもつながるでしょう。また、社会全体としても、若年層が安定した雇用の中で成長することで、日本の労働市場全体が活性化することが期待されます。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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