2025年2月2日
労務・人事ニュース, 未分類
63.1%が「給与条件」で選んだ理由 国家公務員との比較から考える転職の魅力
総合職試験等からの新規採用職員に対するアンケート調査の結果(人事院)
令和6年度において、新たに国家公務員として採用された職員を対象に実施されたアンケート調査の結果が発表されました。この調査は、初任行政研修を受講した総合職試験等の合格者751名を対象とし、国家公務員という職業に対する意識や、採用に至るまでの経緯について詳細に分析しています。その中で明らかになったのは、国家公務員を志望する背景にあるさまざまな要因や、その後のキャリアに対する展望、また職場環境への希望です。
まず、国家公務員を目指した理由としては、「公共のために仕事ができる」「仕事にやりがいがある」「スケールの大きい仕事ができる」という項目が上位を占めました。特に「公共のために仕事ができる」という理由は、約75%の回答者に選ばれており、安定した人気を誇っています。これは、国や地域社会への貢献を強く意識した結果と考えられます。一方で、「堅実で生活が安定している」「キャリア形成として有効である」という現実的な視点も一定数の支持を集めています。
次に、国家公務員を意識した時期に注目すると、大学2年生までに志望を固めた割合が46.1%と過半数に迫る結果となりました。この傾向は院卒者でさらに顕著で、54.6%が大学院進学時点で国家公務員を志望していたと回答しています。早い段階で目標を明確にし、計画的に試験準備を進めてきたことがうかがえます。
一方、国家公務員として採用されるまでの間に、他の進路も模索していた実態が明らかになりました。全回答者の39.8%が民間企業の内定を取得しており、その中で特に企業規模が1,000人以上の大手企業を選択する傾向が見られます。内定を得た企業の業種については、コンサルタントやシンクタンク、メーカー、金融が多く挙げられ、これらの業界での経験やネットワークを生かしながら、国家公務員としてのキャリアを構築する可能性も示唆されています。
また、周りの優秀な学生が選んだ就職先としては、法文系職員の場合、「コンサルタント・シンクタンク」「金融」「国家公務員」が上位を占め、理工系職員では「コンサルタント・シンクタンク」「メーカー」「進学」が主要な選択肢として挙げられました。これらの選択肢には、個々の専門性やキャリア志向が色濃く反映されており、国家公務員と民間企業の間での人材の流動性が高いことも読み取れます。
興味深い点として、周囲の優秀な学生が国家公務員を選ばなかった理由についても掘り下げられています。最も多かったのは「給与等の勤務条件が良い」という回答で63.1%を占めました。国家公務員の仕事の魅力ややりがいを認識しつつも、給与や労働条件の面で他の選択肢に魅力を感じたとする現実的な側面が明らかになりました。さらに、「専門性を身につけることができる」や「仕事と私生活の両立のための制度が整っている」などの理由も挙げられ、個人の価値観やライフスタイルに合わせた選択が行われていることが伺えます。
将来のキャリア展望についての問いでは、定年まで国家公務員を続けたいと答えた割合が47.5%で最多でしたが、一方で13.9%が早期の転職や転身を視野に入れていると回答しています。これは、現代のキャリア形成が一つの職場にとどまらず、多様な経験を通じてスキルや視野を広げることに重きを置いていることを反映しています。
職場環境への希望に関しては、「部下と積極的にコミュニケーションを取る」「指示が明確である」といった点が重要視されており、特に若い世代においては風通しの良い職場環境を求める声が強いことが浮き彫りになりました。この点を改善することで、優秀な人材の定着率向上が期待されます。
最後に、国家公務員という職業の魅力向上と優秀な人材の確保に必要な施策として、「給与水準の引き上げ」が約80%で最多となり、「働き方改革の推進」や「柔軟な人事管理の徹底」なども高い関心を集めています。これらの課題に向き合うことで、国家公務員の職場環境がさらに魅力的なものとなり、求める人材を引きつける要因となるでしょう。
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