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2024年12月30日

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65歳以上の退院患者は平均35.5日の在院日数 高齢化社会における医療ニーズはどうなのか?

令和5年(2023)患者調査の概況 退院患者の平均在院日数等(厚労省)

令和5年9月の全国退院患者に関するデータによると、施設の種類別平均在院日数では、「病院」が29.3日、「一般診療所」が14.2日という結果が示されました。これらの数値は、退院患者が施設にどの程度の期間滞在していたかを示し、医療サービスの利用傾向を把握する上で重要な指標となります。特に高齢者(65歳以上)は平均在院日数が他の年齢層よりも長くなる傾向が明確で、施設別や傷病分類別の詳細な分析が必要とされています。

傷病分類別にみると、最も平均在院日数が長いのは「精神及び行動の障害」で290.4日であり、特に統合失調症等の場合には500日を超えるケースも多く見られました。このデータは、長期的な精神疾患のケアや支援体制の重要性を示しています。続いて「神経系の疾患」が93.3日、「循環器系の疾患」が34.6日と、病気の種類によって在院期間に大きな差が生じています。

年齢階級別では、「0~14歳」の在院日数が最も短く7.6日である一方、「65歳以上」では35.5日と、年齢が上がるにつれて在院期間が延びる傾向が見られます。これは、高齢者が慢性疾患や複雑な病状を抱えることが多いことに起因しており、病院や診療所の役割分担が一層重要になることがわかります。

退院患者の在院期間別構成割合をみると、「0~14日」で退院する割合が最も高く、病院で68.4%、一般診療所で84.3%を占めています。一方、長期間(6か月以上)の入院患者の割合は1%未満と少数派であり、短期的な入院が主流であることが確認できます。このデータは、医療施設が短期間での治療提供に力を入れている現状を反映しています。

一方、年齢階級別の詳細な傷病分類に基づく分析では、「糖尿病」の平均在院日数が44.3日、「慢性閉塞性肺疾患」が49.8日といった疾患が中長期的なケアを必要としていることが明らかになりました。特に高齢者では、「循環器系疾患」や「神経系疾患」において50日を超える平均在院日数が観察され、これらの疾患に対する包括的な治療プランが求められることがわかります。

さらに、退院患者数の推計では、病院における退院患者総数が約130万4,900人、一般診療所で約8万3,300人と推定されています。これらの患者数は、医療施設の規模やサービス提供能力を示すだけでなく、地域医療政策の策定にも役立つ指標となります。また、退院時の病床の種類別構成割合では、一般病床で退院する患者が多い一方で、療養病床や感染症病床での退院は少数派であることがわかります。

このようなデータからは、高齢化社会における医療ニーズの変化や、精神疾患患者の長期入院に伴う課題が浮き彫りになっています。医療施設の種類や患者の年齢層、傷病の内容に応じた柔軟な対応が求められる一方で、効率的な医療リソースの配分や患者支援体制の整備も重要となるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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