2025年1月10日
労務・人事ニュース
65歳以上の雇用確保実施率99.8%!鳥取県の企業調査で明らかになった高齢者雇用の現状(令和6年6月1日時点)
令和6年「高年齢者の雇用状況等報告」の集計結果について(鳥取労働局)
鳥取労働局が公表した令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を基に、企業における高年齢者雇用の現状と課題について詳しく説明します。この調査は、令和6年6月1日時点で鳥取県内の従業員21人以上の企業1,124社を対象に実施され、高年齢者の雇用確保措置や定年制の状況について詳細なデータを集めています。
まず、65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況について見ていきます。この措置は、「高年齢者雇用安定法」に基づき、企業に65歳までの雇用を義務付けるもので、1,122社、全体の99.8%の企業が実施しています。ただし、前年と比較して0.1ポイントの減少が見られました。このうち、中小企業における実施率も99.8%で0.1ポイント減少しており、大企業では100%を維持しています。具体的な取り組みとしては、「継続雇用制度の導入」を採用している企業が64.3%を占める一方、「定年の引上げ」を実施している企業は31.5%で、いずれも小幅な変動が見られます。
一方で、70歳までの高年齢者就業確保措置に目を向けると、実施率は全企業の30.6%にとどまっており、前年から0.9ポイント増加しました。このうち、中小企業の実施率は30.7%、大企業では27.7%と、いずれも微増の傾向を示しています。「継続雇用制度の導入」による対応が最も多く、全体の23.2%を占めていますが、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」を選択する企業はそれぞれ4.3%と3.1%にとどまっています。
企業の定年制の状況については、定年を60歳とする企業が全体の60.2%を占め、前年から1.7ポイント減少しています。一方、定年を65歳とする企業は25.6%で1.5ポイント増加しました。また、70歳以上の定年を設定している企業は3.1%で変動が見られません。定年制を廃止している企業も全体の4.3%と増加傾向にあります。
さらに、特筆すべきは継続雇用制度に関する詳細です。この制度を導入している企業のうち、「希望者全員を対象とする継続雇用制度」を採用している企業が80.2%を占め、前年から0.4ポイント増加しました。一方で、経過措置に基づいて対象者を限定している企業は19.8%で、引き続き課題が残る状況です。
今回の調査結果から、高年齢者の雇用を巡るいくつかの課題が浮き彫りになりました。まず、65歳までの雇用確保措置の実施率は高水準を維持しているものの、一部の企業では引き続き対応が必要です。また、70歳までの就業確保措置については、企業規模を問わず実施率が低く、特に中小企業での支援が求められます。定年制においては、65歳以上の定年を導入する企業の割合が増加しているものの、全体としては過半数以上の企業が60歳定年を維持しており、高齢化社会への対応が急務です。
鳥取労働局は今後、未対応の企業に対する指導や助言を強化するとともに、生涯現役社会の実現に向けた取り組みをさらに進める方針です。また、ハローワークを通じたサポート体制の拡充も重要です。企業にとっても、高年齢者の知識や経験を活用することで、新たな価値を創出し、持続可能な成長を実現する可能性があります。
以上のように、今回の調査結果は、企業における高年齢者雇用の現状を明確に示すとともに、持続可能な労働市場を実現するための指針を提供しています。
⇒ 詳しくは鳥取労働局のWEBサイトへ