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2025年4月11日

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70代男性の収縮期血圧平均145.9mmHg 高血圧管理が急務の背景とは

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令和5年国民健康・栄養調査報告 結果の概要(厚労省)

令和5年に実施された国民健康・栄養調査の結果によれば、日本の成人における生活習慣病のリスクや栄養摂取状況、身体活動の実態には、世代ごとの違いが色濃く現れていることが明らかとなりました。これらのデータは、個人の健康管理にとどまらず、企業が従業員の健康支援策や職場環境の改善に活用すべき貴重な情報です。

まず血圧の状況については、収縮期血圧(いわゆる上の血圧)が年齢とともに上昇する傾向が明確に表れており、60歳以上の年代では140mmHgを超える人の割合が高くなっています。特に70歳以上では、男性の平均収縮期血圧が145.9mmHg、女性では142.4mmHgに達しており、高血圧の管理が高齢者層における大きな課題であることが分かります。一方、20〜30代では平均130mmHg前後と比較的安定しているものの、近年は若年層においても高血圧予備軍が増加傾向にあることが報告されており、食塩摂取や運動不足への早期対応が求められます。

また、血中脂質に関する指標であるLDLコレステロール値は、40代以降の男女ともに上昇傾向が顕著であり、特に女性では閉経後のホルモン変化の影響を受けて、60歳以降で急激に数値が高まることが示されています。LDL値が140mg/dLを超えると動脈硬化のリスクが高まるとされており、定期的な健康診断と合わせて、脂質異常症に対する職場内教育の強化が重要です。

栄養摂取の観点では、1日の食塩摂取量の全国平均は男性が10.1g、女性が9.0gと、世界保健機関(WHO)が推奨する5g未満という基準を大きく上回っている現状が続いています。これに加えて、野菜の摂取量は平均で270g前後にとどまり、厚生労働省が推奨する1日350g以上という目標に達していない人が多数を占めている点も課題です。特に20〜30代の若年層では、食事の簡便化や外食の増加により、野菜摂取量が平均200gを切ることもあり、食育や社内カフェテリアのメニュー改善などを通じた介入が求められています。

身体活動の状況も世代間で大きく異なっており、1日あたりの歩数は20代で平均7,000〜8,000歩と比較的多いものの、40代以降は徐々に減少し、70代では5,000歩前後まで落ち込む傾向が見られます。また、平日と休日の運動量にもばらつきがあり、特に就労層の男性では平日の運動不足が顕著であることが判明しました。これらは、職場における運動促進の施策、たとえば階段利用の推奨、立ち作業スペースの導入、業務中のストレッチ習慣化などが健康支援として効果的であることを示唆しています。

睡眠時間に関しては、全年代において「6時間未満」の割合が高く、特に40〜50代の働き盛り世代でその傾向が強まっています。調査では、睡眠不足の状態にある人ほど高血圧や糖尿病、肥満の発症リスクが高まるとされており、企業においてはワークライフバランスを見直し、十分な休息を確保できる労働環境の整備が急務とされています。

喫煙率については、依然として男性で高い傾向が続いているものの、過去10年で徐々に減少しており、2023年時点では男性の喫煙率は30%を下回っています。一方で、加熱式たばこの使用者が急増しており、30代以下では紙巻きたばこよりも加熱式の使用率が高い傾向が見られます。企業の健康経営においては、喫煙対策を従来の禁煙支援だけでなく、加熱式たばこへの理解とリスク教育も含めた包括的な支援策へと転換していく必要があります。

飲酒に関しては、1日平均の純アルコール摂取量が男性で20g、女性で10gを超える「多量飲酒者」の割合が依然として一定数存在しており、特に40〜50代男性での割合が高いことが特徴です。アルコール関連疾患の予防には、健康診断での飲酒量確認に加えて、飲酒習慣の見直しを促す社内キャンペーンやアルコールセミナーなどの啓発活動が有効です。

歯と口腔の健康に関する項目では、「20本以上の自分の歯を保有している者」の割合が全体で54.8%である一方、70歳以上では32.2%にまで低下しています。歯科受診の習慣や予防的なケアが年齢とともに重要になることが明らかであり、企業の福利厚生として定期的な歯科検診を導入することも労働生産性の維持につながります。

こうした国民健康・栄養調査の結果は、個々の生活習慣の改善だけでなく、企業の人材戦略や健康経営の在り方にも大きく関わる内容です。従業員の健康を守ることは、生産性向上と人材の定着率改善に直結するものであり、企業の競争力を支える基盤ともいえるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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