2025年2月1日
労務・人事ニュース
8,400人のデータが示す就職氷河期世代の実態:95%が年収400万円未満の厳しい現実
就職氷河期世代の就業等の実態や意識に関する調査(内閣府)
政府が推進する「就職氷河期世代支援プログラム」の実施状況を把握するため、8,400人を対象とした就業実態調査が行われました。この調査は、就職氷河期世代とされる35~54歳を中心に、非正規雇用や正規雇用の経験、将来の就業意向、収入状況、支援施策に対するニーズを分析し、今後の政策立案の基礎とする目的があります。
調査結果によると、不本意非正規雇用労働者の約95%が年収400万円未満で、その中でも半数以上が200万円未満という厳しい収入状況にあることが明らかになりました。この層では雇用期間が定められている場合が多く、安定性が低い現状が見られます。一方、正規雇用労働者では収入が比較的高く、雇用の安定度も高いものの、雇用期間が無期である割合が61.3%と限られた割合にとどまります。
また、不本意非正規雇用労働者が非正規就労を選ぶ理由の多くは、「正規の仕事がないから」という外的な要因によるものでした。これに対し、不本意ではない非正規雇用者は、「自分の都合に合わせた働き方をしたい」といった個人的理由で非正規雇用を選ぶ傾向が強く見られました。この違いは、働き方の自由度と収入のバランスが、それぞれの雇用形態においてどのように評価されているかを示しています。
支援施策に対するニーズも明確になりました。不本意非正規雇用労働者では、「希望条件に合った職業紹介」や「スキルアップのための職業訓練」に対する関心が特に高いことが分かっています。これらの施策は、25~34歳の若年層での利用意向が最も高く、続いて35~44歳の中堅層にも一定の需要が確認されました。この結果は、就職氷河期世代が持つスキルギャップを埋めるための具体的な支援が重要であることを示唆しています。
さらに、初職での正規雇用経験がキャリア全体に与える影響も注目すべき点です。45~54歳では、正規雇用の初職経験が半数以上を占めた一方で、25~34歳および35~44歳の層ではその割合が顕著に低く、厳しい就職環境がその後のキャリアに影響を及ぼしていることが分かります。この傾向は、若年層の支援施策の優先度を高めるべきである理由を補強します。
全体として、この調査は雇用の安定性と収入、支援施策の有効性の間にある関連性を示しています。特に、不本意非正規雇用労働者に対するターゲットを絞った政策が、長期的な就労環境の改善につながる可能性があります。企業の採用担当者にとっては、これらのデータを踏まえた人材戦略が、効果的な雇用維持と新規採用の成功につながる鍵となるでしょう。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ