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2024年9月13日

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2025年に向けた医療・介護体制強化!高齢化社会への対応と質の向上を目指して

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令和6年版厚生労働白書 第6章 国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現(厚労省)

日本の医療および介護制度は、高齢化社会に対応するために、持続可能で質の高い体制を構築することが求められています。特に、団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年を控え、65歳以上の人口、とりわけ75歳以上の人口が急増する一方で、生産年齢人口が減少するという人口構造の変化に直面しています。これにより、医療・介護のニーズが多様化し、医療技術の進歩や国民の医療に対する意識の変化など、医療提供体制を取り巻く環境も大きく変わっています。

こうした背景の中で、医療および介護の総合的な確保の意義が改めて強調され、国民一人一人の自立と尊厳を支えるケアを持続的に実現することが不可欠とされています。この目的のため、地域医療介護総合確保基金が創設され、各都道府県に設置されました。この基金は、地域の実情に応じた医療・介護の確保を支援するための財政支援制度であり、都道府県計画に基づく事業の実施を支援しています。

また、質の高い医療提供体制の構築も急務です。我が国では、国民皆保険制度の下でフリーアクセスを確保し、必要な医療を受けられる環境が整えられてきましたが、地域間の医師の偏在や診療科の偏在、救急患者の受け入れ体制の問題など、依然として解決すべき課題があります。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大を経験したことで、新興感染症発生時における医療提供体制の強化も求められています。

都道府県は、医療提供体制の確保に向けて、医療計画を策定し、その進捗状況を評価し、見直しを行うPDCAサイクルを推進しています。医療計画には、がんや心筋梗塞などの五大疾病や救急医療、新興感染症時の医療など六大事業、そして在宅医療が含まれており、それぞれの分野での医療連携体制の構築が進められています。

救急医療体制についても、初期救急から三次救急まで体系的に整備され、特に重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる救命救急センターや、長時間搬送先が決まらない救急患者の受け入れ支援が行われています。また、ドクターヘリを用いた救急医療提供体制の全国的な整備が進められており、2024年3月末現在で46都道府県に57機のドクターヘリが運用されています。

小児医療に関しても、休日や夜間における小児の症状に対応する「子ども医療電話相談事業」が全47都道府県で実施されており、小児救急医療拠点病院や小児救命救急センターの体制整備も進行中です。また、周産期医療においては、リスクの高い妊産婦や新生児に高度な医療が提供されるよう、周産期母子医療センターの整備が進められています。

災害医療についても、災害時に医療提供体制を確保するための拠点病院の整備や、災害派遣医療チーム(DMAT)の養成が進められています。また、災害時における医療機関の被災情報や活動状況を広域災害・救急医療情報システム(EMIS)を通じて提供・収集・共有する取り組みも行われています。

新興感染症に対応する医療提供体制の構築も重要です。新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、国民の生命および健康に重大な影響を与える恐れのある感染症の発生やまん延に備えるため、医療計画に新たに「新興感染症発生・まん延時における医療の体制」が追加されました。都道府県と医療機関との医療措置協定の締結を通じ、地域における役割分担を踏まえた医療体制の確保が進められています。

また、へき地や離島における医療体制の強化も重要な課題です。へき地医療拠点病院による巡回診療や代診医の派遣、オンライン診療の活用などを通じて、地域医療の格差是正が図られています。

在宅医療の推進も不可欠です。多くの国民が自宅での療養を望んでおり、在宅医療の需要は今後さらに増加することが予想されます。これに対応するため、地域における在宅医療の体制整備が進められており、地域医療介護総合確保基金を活用して財政的支援が行われています。

人生の最終段階における医療・ケアについても、本人の意思決定を尊重しながら適切なケアを提供することが重要です。厚生労働省では、「人生の最終段階における医療・ケアに関するガイドライン」を改訂し、地域包括ケアシステムの構築を進めています。

さらに、地域医療構想の策定と医療機能の分化・連携の推進も進められています。地域ごとの医療需要に応じた病床の分化・連携が図られ、地域医療構想に基づく具体的な対応が求められています。

こうした多岐にわたる取り組みを通じて、日本の医療・介護体制は持続可能で質の高いものへと進化しています。国民が安心して医療・介護を受けられるよう、今後も制度の充実と改革が求められることでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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