2025年3月23日
労務・人事ニュース
ホテル業界の給与が急上昇!2023年の採用時給が前年比13.8%増
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最終更新: 2025年5月1日 22:32
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2025.02.27 ホテル求人ドットコム ホテル業界の採⽤市場レポートを発表(株式会社INGエンタープライズ)
ホテル業界は近年、さまざまな外部要因による影響を受けながら、その採用市場においても大きな変化を遂げている。株式会社アイ・エヌ・ジー・エンタープライズが運営する「ホテル求人ドットコム」では、2015年1月から2024年12月の10年間における約9,000件の採用時給与データを集計し、業界の給与動向を分析した。その結果、コロナ禍前後の採用市場の変動が明らかとなり、今後の採用戦略を考える上での貴重なデータが得られた。
ホテル業界は、世界的な経済変動、観光トレンドの変化、テクノロジーの進化に加え、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けてきた。特に2020年から2022年のコロナ禍では、観光需要の急減によって求人が大幅に停滞した。しかし、2023年以降は水際対策の撤廃とともに訪日外国人観光客の数が急回復し、2024年には約3,687万人と2019年比で15.6%増加するなど、V字回復を遂げた。このような背景のもと、ホテル業界では深刻な人手不足が顕在化しており、2024年10月時点では旅館・ホテル業界の60%以上の企業が人手不足に直面していると回答している。このような状況を受け、ホテル業界における採用市場の動向を詳細に分析することが求められている。
過去10年間の雇用形態別の給与推移を分析すると、アルバイト・パートの時給は2015年から2019年にかけて年平均成長率2.0%で推移し、最低賃金の上昇率(平均2.8%)よりもやや低い水準にとどまった。しかし、2020年から2022年のコロナ禍では需要の急減に伴い成長率は0%以下となり、一時的に給与の伸びが停滞した。その後、2023年5月の感染症分類の見直しやインバウンド需要の回復により、2023年には前年対比で13.8%を超える大幅な時給アップが記録された。2024年もこの高水準が維持されており、最低賃金の全国平均が過去3年間で961円から1,004円、さらに1,055円へと引き上げられたことも、ホテル業界の時給相場の底上げにつながっている。
一方、契約社員・正社員の年収推移をみると、2019年までは年平均成長率1.6%程度と緩やかに上昇していたが、2020年以降のコロナ禍では無期雇用と有期雇用の間に差が生じたと考えられる。ホテル業界では、正社員は配置転換や人材確保の観点から維持される一方、契約社員の採用は一時的に縮小した。2023年に需要が回復すると、正社員・契約社員の採用が再び活発化し、前年対比で7%以上の年収アップが見られた。特に人手不足の影響を受け、企業は待遇の改善を急ピッチで進めており、2024年もこの高い水準が維持されている。
施設カテゴリ別にみると、シティホテルやリゾートホテルの給与水準は他の施設よりも高い傾向にある。これに対して、ビジネスホテルは全体的に低い給与水準で推移しており、平均年収で年間10〜20万円程度の差があると推定される。旅館では、地域や施設規模によるバラツキがあるものの、近年は人手不足の影響を受けて給与が引き上げられる傾向にある。また、ホテル内外のレストラン部門では給与の変動幅が大きく、景気や観光客数の影響を強く受けやすい職種である。ブライダル施設では、コロナ禍での結婚式延期・縮小の影響を受けたものの、2022年以降の需要回復に伴い採用が活発化し、給与水準も回復傾向にある。
職種別の採用時給与を分析すると、管理職(GM・支配人・料理長など)は他の職種に比べて高い給与が提示されており、特にコロナ後の人材確保競争の激化に伴い上昇傾向が顕著に見られる。宿泊部門・料飲部門・宴会部門のスタッフ職は、コロナ禍での営業時間短縮やイベント自粛の影響を受け、給与が一時的に停滞したが、需要回復期には緩やかに増加している。営業部門は、コロナ後の需要喚起や収益最大化のために優秀な人材の確保が求められた結果、採用時給与が大幅に上昇しており、特にデジタル化やレベニューマネジメントのスキルを持つ人材の需要が高まっている。
性別による給与差をみると、男性は年齢が上がるほど給与が顕著に上昇するのに対し、女性の給与上昇幅は比較的限定的である。特に支配人や部長職などの高報酬ポジションには男性が多く、女性は現場スタッフや一般職で昇給幅が小さいままキャリアを積む傾向があることが影響している。しかし、近年はダイバーシティ推進の動きが進み、女性の管理職登用やワークライフバランスを重視した制度改革が進められており、若年層では男女間の給与差が縮小しつつある。
今後のホテル業界の採用市場では、人材確保の必要性がますます高まると予想される。賃金の引き上げは短期的な解決策の一つであるが、長期的には職場環境の改善、柔軟な働き方の導入、企業ブランドの強化など、多面的なアプローチが求められる。本レポートのデータをもとに、ホテル業界の企業は持続可能な採用戦略を策定し、優秀な人材を確保・定着させることが重要となる。
⇒ 詳しくは株式会社INGエンタープライズのWEBサイトへ