労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 超高層マンションの増加で駐車需要拡大!2026年4月から適用される駐車場法改正のポイント

2025年3月17日

労務・人事ニュース

超高層マンションの増加で駐車需要拡大!2026年4月から適用される駐車場法改正のポイント

Sponsored by 求人ボックス

「駐車場法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定 ~共同住宅の荷さばき駐車施設の不足に対応~(国交省)

政府は、近年の超高層共同住宅の増加や宅配需要の増加などの社会経済状況の変化を踏まえ、「駐車場法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定しました。本改正により、共同住宅が新たに「特定用途」として追加され、地方公共団体が条例により附置義務制度の対象とすることが可能となります。この改正は、共同住宅における荷さばき駐車施設の不足を解消し、都市部の道路交通の円滑化を図ることを目的としています。

駐車場法は、昭和32年に制定され、都市の機能維持と発展を目的として、適切な駐車施設の整備を義務付けるための規定を設けています。その中でも、「附置義務制度」は、一定規模以上の建築物を新築する際に、駐車施設を併設することを義務付ける制度として、地方公共団体が条例で指定することができます。従来、この附置義務制度の対象となるのは、駐車場整備地区や商業地域、近隣商業地域において特に自動車の駐車需要が大きいとされる用途に限定されていました。しかし、今回の改正により、共同住宅も特定用途として追加されることになり、地方公共団体が条例で指定することによって、共同住宅に駐車施設の設置を義務付けることが可能となります。

改正の背景には、都市部における超高層共同住宅の増加が挙げられます。近年、大都市圏を中心に、土地の高度利用が進み、超高層マンションなどの共同住宅が増加しています。こうした住宅の増加に伴い、入居者だけでなく、宅配業者や来訪者など外部からの駐車需要が増大し、荷さばき駐車スペースの不足が問題となっていました。特に、電子商取引の普及によって宅配需要が急増し、都市部では配送車両の違法駐車が交通渋滞を引き起こす要因となっています。これまで、共同住宅は「特定用途」として扱われていなかったため、駐車施設の設置義務が課されることはなく、多くの共同住宅で荷さばき駐車施設の不足が生じていました。しかし、今回の政令改正により、地方公共団体が条例を制定することで、共同住宅においても一定の駐車施設の設置を義務付けることが可能となります。

改正された政令の具体的な内容としては、駐車場法施行令第18条において、「自動車の駐車需要を生じさせる程度の大きい用途」として「共同住宅」が追加されます。これにより、共同住宅を新築する際に、一定規模以上の建築物については、条例で定められた基準に従って駐車施設を整備することが求められます。これにより、入居者専用の駐車スペースだけでなく、配送車両や来訪者用の荷さばきスペースの確保が促進されることになります。

今後のスケジュールとして、本改正政令は2025年(令和7年)3月7日に公布され、2026年(令和8年)4月1日に施行される予定です。この施行に向けて、各地方公共団体は、自らの都市計画や交通状況に応じて条例の改正を検討し、共同住宅に対する附置義務の適用範囲や具体的な基準を定めることが求められます。特に、東京都や大阪府などの大都市圏では、宅配需要の増大による交通混雑の緩和を目的として、積極的に附置義務を導入することが期待されています。

本改正により、共同住宅を開発する事業者は、駐車施設の設置義務を踏まえた計画を策定する必要が生じます。これにより、事業者は荷さばき駐車スペースの確保を考慮した設計を行うことが求められ、建築コストや敷地利用計画にも影響を与えることになります。また、住民にとっても、適切な駐車施設が整備されることで、宅配業者の違法駐車によるトラブルの減少や、来訪者用の駐車スペースの確保など、生活の利便性向上が期待されます。

さらに、物流業界にとっても今回の改正は大きな意味を持ちます。現在、宅配業者は住宅地での駐車スペース不足により、短時間の違法駐車を余儀なくされるケースが多く、それが交通渋滞や事故の原因となることも少なくありません。駐車施設が適切に整備されることで、配送業務の効率化が図られ、持続可能な物流ネットワークの構築にも貢献することが期待されます。また、都市部における駐車施設の適正配置が進むことで、今後の都市計画や交通施策にも良い影響を与えると考えられます。

今回の政令改正は、都市部の駐車問題を解決し、共同住宅における荷さばきスペースの不足に対応するための重要な措置となります。今後、各地方自治体がどのような基準で附置義務を定めるのかが焦点となり、デベロッパーや建設業界、物流業界など多くの関係者が注視することになるでしょう。施行に向けた準備が進む中で、関係各所の意見を踏まえた適切な運用が求められます。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ