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2025年4月6日

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宿泊者1人あたり200円を課税、小樽市の宿泊税が令和8年4月から施行予定

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小樽市「宿泊税」(総務省)

令和8年4月1日から北海道小樽市において、新たに宿泊税が導入されることとなりました。この宿泊税は、法定外目的税として位置づけられており、観光都市としての小樽の魅力を一層高めることを目的に設けられた制度です。今回の導入にあたり、令和6年12月23日に小樽市議会で条例案が可決され、12月25日には総務大臣との協議が行われ、その後、令和7年3月21日に正式な同意を得たことにより、施行準備が進められています。税制としての整備にとどまらず、長期的な観光振興戦略の一環として位置づけられており、持続可能で競争力ある観光都市としての再構築を目指す小樽市の姿勢が読み取れます。

小樽市における宿泊税の課税対象は、小樽市内にある旅館業法に基づく旅館、ホテル、簡易宿所、また住宅宿泊事業法に基づく住宅、いわゆる民泊施設を含めたすべての宿泊施設への宿泊行為です。納税義務者は宿泊者自身であり、宿泊者が施設に支払う宿泊料金とは別に、1人1泊につき一律200円が課税される仕組みとなっています。徴収は宿泊施設が代行して行う特別徴収方式が採用されており、チェックインまたはチェックアウト時に宿泊者から徴収される形式が想定されています。宿泊料金にかかわらず均一な税額が設定されているため、利用者にとってもわかりやすく、また事業者にとっても煩雑さの少ない運用が可能となる点が評価されています。

宿泊税の年間収入見込額は約2.2億円とされており、小樽市にとっては重要な自主財源となります。この税収は、主に観光施策を支える費用に充てられる予定であり、その使途には小樽の歴史遺産や個性ある景観の保全、観光インフラの整備、受入環境の改善、マーケティング戦略の策定と実行などが含まれています。また、観光振興における不測の事態や社会情勢の急激な変化に柔軟に対応するための基金への積立ても検討されており、今後の観光環境の変化に備える備蓄的な財源形成も図られることになります。

このような施策の背景には、観光都市としての小樽市の地位を維持し、さらには今後のグローバルな観光市場の中で競争力を保つための強い意志が込められています。特に歴史的建造物や運河、ガラス工芸など、小樽ならではの観光資源は国内外の旅行者から高い評価を受けており、それらを維持・強化していくことが、観光経済を支える重要な柱となります。そのためには、ハード面とソフト面の双方にわたる持続的な投資が不可欠であり、今回の宿泊税によって得られる安定した収入は、こうした取り組みに大きな力を与えると期待されています。

また、この宿泊税には一定の免除規定も設けられています。たとえば、修学旅行などの教育活動に参加する生徒および引率者、認定こども園や保育所などの行事に伴う宿泊者も対象外となります。こうした措置は、教育活動や子どもを取り巻く体験機会の妨げとならないよう配慮されたものであり、観光施策と地域社会との共生を重視する小樽市の姿勢が表れています。さらに、条例の見直しについても5年ごとに行うと規定されており、時代の変化や地域の課題に応じた柔軟な制度運用が可能な体制が整えられています。

この宿泊税の導入に際し、徴税にかかる費用は年間で約0.2億円と見込まれており、税収とのバランスを考慮しても高い効率性が期待されています。この徴税コストには、制度の周知や徴収システムの整備、職員の人件費などが含まれると見られますが、それでも得られる収入と比較すれば、費用対効果の面で十分な成果が見込まれます。企業の採用担当者や経営層にとっても、このような行政施策の動向は注視すべき要素です。観光業や地域との関わりを持つ業種では、こうした制度変更に応じた人材の再配置や業務フローの見直し、あるいは顧客への対応方法の変更などが必要になるケースも考えられます。

さらに、小樽市の宿泊税制度は、地域経済全体にとっての好循環を生み出す可能性も秘めています。観光資源の整備によって来訪者が増加すれば、飲食業や小売業、交通業などの関連産業にも波及効果が生まれ、地域の雇用創出や企業活動の活性化にもつながります。このような流れは、採用活動にも直接的な影響を及ぼすことが予想され、新たな需要に応じた人材確保や教育、研修体制の強化が求められる局面が増えてくることでしょう。地域とともに成長し続ける企業にとっては、制度を正しく理解し、柔軟に対応することで競争力を高めるチャンスにもなります。

今回の宿泊税導入は、単なる課税制度の新設ではなく、小樽市が抱える課題への対応策であり、観光を核とした都市経営の再構築でもあります。自治体の財政を自立させることと、持続可能な観光の発展を両立させる取り組みとして、他地域からも注目される動きとなっています。今後、小樽市は観光都市としての魅力をさらに高めるため、制度運用の透明性を確保しながら、関係者との協議や意見交換を通じて、地域全体で宿泊税のメリットを最大化する方針を掲げています。企業としても、この制度がもたらす変化を積極的に受け入れ、地域と連携した活動を進めていくことが、今後の持続的な事業展開にとって重要な要素になると考えられます。

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ

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