2025年4月5日
労務・人事ニュース
配車アプリの一元化で生産性30%向上も可能!官民連携で進む交通空白地対策の最前線
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最終更新: 2025年4月30日 22:32
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「交通空白」解消に向けたパイロット・プロジェクト 第1弾を公表します! ~「交通空白」解消・官民連携プラットフォームの取組について~(国交省)
令和7年3月19日、国土交通省は「交通空白」解消に向けた先導的な実証事業として、パイロット・プロジェクトの第1弾を公表した。近年、地方部を中心に進行する人口減少と高齢化により、地域交通の担い手が減少し、通勤や通院、買い物など日常生活に必要な移動手段が十分に確保できない「交通空白」地域が全国各地で顕在化している。こうした現状に対し、同省は「交通空白」解消・官民連携プラットフォームを軸に、2030年頃の社会構造を見据えた持続可能な地域交通の新たなモデル構築に取り組んでいる。
今回発表されたパイロット・プロジェクト第1弾では、全国で8件の実証事業が選定され、交通空白の解消に向けて官民の知見と技術を融合させた取り組みが進められている。これらのプロジェクトは、特に人手不足対策、既存資源の有効活用、観光二次交通の改善、リアルタイムなタクシー需要対応といった現代的な課題に対応するものである。
たとえば、全国複数地域で展開される「タクシー配車業務・システムの共通化」プロジェクトでは、複数のタクシー事業者が配車システムを共有し、配車業務の効率化とユーザー利便性の向上を図る。従来、事業者ごとに異なる配車システムやオペレーションが存在し、地域全体での最適化が困難だったが、本プロジェクトでは配車業務の標準業務モデルを作成し、配車アプリと連携可能な標準インターフェースの開発を進めている。これにより、2027年度以降の全国展開が見据えられ、タクシー事業の生産性と持続可能性の向上が期待されている。
また、バス業務の標準化推進も注目される取り組みの一つである。乗合バス事業者が抱える課題として、業務の標準化がなされていないことが挙げられる。これにより、システムのカスタマイズが常態化し、業務効率やコスト負担の増大、さらには他事業者との連携やデータ活用の障壁ともなっていた。本プロジェクトでは、業務手順やシステム構成、データ仕様を一体的に標準化し、それに基づくモデルを策定・公開することで、バス業界全体の生産性を底上げすることを目指している。
さらに、鉄道事業者等のライドシェア協力に関するプロジェクトでは、千葉県の南房総市・館山市において、鉄道駅からの二次交通を確保するため、鉄道会社の社員がライドシェアドライバーとして協力する仕組みが実証される。この取り組みによって、地域住民や観光客の移動手段を確保するだけでなく、ドライバー不足という共通課題に対する持続的な解決策としての道筋も示されている。
また、群馬県みなかみ町など全国複数地域で実施される「施設送迎のリソースシェア」プロジェクトでは、宿泊施設や介護施設、教育施設が所有する送迎車両の効率的な活用が図られる。これまで個別施設が独自に運行を行っていたが、非専門家でも簡易に利用可能な配車管理システムを開発し、複数施設の送迎業務を一元的に管理できるようにすることで、地域全体の輸送資源を有効活用することが可能となる。
貨物輸送分野では、「日本版ライドシェアと貨物輸送のドライバーシェア」や「公共ライドシェアドライバーによる貨客混載事業」も展開される。東京都や埼玉県で実施される前者では、自家用車を利用したラストマイル輸送をドライバーに委託することで、宅配業界のドライバー不足に対応する。一方、石川県加賀市で行われる後者では、ライドシェアドライバーが旅客運送の合間に日本郵便の荷物を配達することで、効率的な人材活用とサービスの拡充を両立させる。
観光地での利便性向上を目指した取り組みとして、群馬県高崎市で行われる「改札ピッでタクシー手配」プロジェクトでは、新幹線の予約システムとタクシー配車システムが連携される。利用者が特急券を購入する際に、到着駅からのタクシー予約が同時にできる仕組みを整備し、改札システムとの連携により、配車タイミングを正確に制御する。この技術により、観光地での二次交通アクセスの課題を抜本的に改善することが可能となる。
さらに、都内を中心に実施される「リアルタイム相乗りタクシーマッチング」では、即時利用可能な相乗りタクシーのマッチングシステムが開発され、ピーク時のタクシー供給不足への対応が図られる。既存車両の輸送力を最大限に活用することで、ドライバー不足の中でも輸送供給力の拡大が可能となり、都市部の交通需要にも柔軟に対応できる体制が整う。
このように、今回のパイロット・プロジェクトは、技術・制度・人材の三位一体による新しい交通モデルの実現を目指した先駆的な取り組みである。今後は、これらの実証事業で得られた成果を元に、令和7年5月に設置予定の「交通空白」解消本部が今後3年間の取組方針を定め、全国展開に向けた道筋が整えられる。官民の連携を深めながら、持続可能な地域交通の構築が加速することが期待されている。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ