2025年4月2日
労務・人事ニュース
令和6年の役職別賃金データ!部長級の平均賃金は62万円超に(令和6年賃金構造基本統計調査)
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令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況 役職別(厚労省)
厚生労働省が発表した「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、役職別の賃金には大きな格差があり、特に部長級と非役職者の間では約2倍の開きがあることが明らかになった。調査結果によると、雇用期間の定めのない一般労働者のうち、部長級の平均賃金は62万7,200円、課長級は51万2,000円、係長級は38万5,900円となっており、非役職者の30万2,800円と比較すると、役職が上がるほど賃金が大幅に上昇する傾向がある。特に部長級の賃金は非役職者の約2.07倍、課長級は約1.69倍、係長級は約1.27倍と、役職の違いによる賃金格差が顕著である。
役職別の賃金を男女別にみると、男性の部長級の平均賃金は63万6,400円、課長級は52万2,400円、係長級は39万6,300円、非役職者は32万5,600円となっており、役職が上がるごとに賃金が着実に増加している。一方、女性の場合、部長級の平均賃金は54万9,900円、課長級は45万8,100円、係長級は35万4,000円、非役職者は27万300円となっており、全体的に男性の賃金水準よりも低い。特に、部長級における男女間の賃金差は約8万6,500円、課長級では約6万4,300円、係長級では約4万2,300円となり、役職が高くなるほど男女間の賃金格差が拡大する傾向がみられる。
さらに、役職者の平均年齢と勤続年数を確認すると、部長級の平均年齢は53.0歳、勤続年数は22.2年、課長級は平均49.3歳、勤続年数は20.7年、係長級は平均45.6歳、勤続年数は17.8年となっている。これに対し、非役職者の平均年齢は41.5歳、勤続年数は10.5年と、役職者に比べて明らかに短い。これは、企業内での昇進には一定の年数と経験が必要であり、特に管理職に昇進するためには、約15年以上の勤務経験が求められるケースが多いことを示唆している。
企業の規模によっても役職別賃金には差がみられる。大企業では部長級の賃金が平均69万円を超えるのに対し、中企業では約60万円、小企業では約53万円となっており、企業規模が大きいほど管理職の賃金水準が高い傾向がある。また、課長級の賃金も大企業では55万円以上だが、小企業では45万円前後となっており、企業規模が昇進後の賃金水準にも影響を与えることが分かる。これは、企業の収益力や管理職に求められる責任の範囲、インセンティブ制度の違いによるものと考えられる。
役職別の賃金増加率をみると、部長級の賃金は前年比5.2%増、課長級は4.3%増、係長級は4.1%増、非役職者は4.0%増となっており、役職が高いほど賃金の増加率もやや高い傾向がみられる。特に女性の管理職の賃金増加率が高く、部長級の女性の賃金は前年比5.5%増、課長級は6.3%増と、男性の賃金増加率を上回っている。これは、近年の企業のダイバーシティ推進により、女性の管理職登用が進んでいることが影響している可能性がある。
役職による賃金格差が生じる背景には、管理職に求められる業務の専門性や責任の重さがある。部長級では経営戦略の策定や組織運営、課長級では部門の業務管理や部下の育成、係長級では現場の業務遂行とリーダーシップが求められる。これらの役職は、単なる業務遂行だけでなく、企業の成長や部門の収益向上に大きく関与するため、高い報酬が設定されている。
また、企業の人事制度も賃金格差に影響を与える要因の一つである。日本の企業文化では年功序列の要素が強く、一定の年数を経た後に役職に就くケースが多いため、勤続年数が長いほど昇進の機会が増え、それに伴い賃金も上昇する。しかし、近年では成果主義の導入が進み、特に外資系企業では若くして管理職に就くケースも増えており、今後の賃金構造にも変化が生じる可能性がある。
企業の採用担当者にとって、管理職の賃金水準を適切に設定することは重要な課題である。特に、優秀な人材を管理職に昇進させ、長期的に企業に貢献してもらうためには、報酬制度の見直しやインセンティブの導入が求められる。また、男女間の賃金格差を是正し、女性の管理職登用を進めることで、多様な人材が活躍できる環境を整えることも企業の競争力強化につながる。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ