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2025年4月1日

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令和6年の産業別賃金データ公開!電気・ガス業の平均賃金は43万円超に(令和6年賃金構造基本統計調査)

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令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況 産業別(厚労省)

厚生労働省が発表した「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、日本の労働市場における産業別の賃金格差が顕著に表れていることが明らかになった。調査によると、業種によって賃金の水準に大きな差があり、最も平均賃金が高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の43万7,500円で、次いで「金融業・保険業」の41万600円となっている。一方で、最も平均賃金が低いのは「宿泊業・飲食サービス業」の26万9,500円であり、この業界の賃金水準は他の業界と比べて大きな開きがある。

産業別の賃金格差は、従事する職種の専門性やスキルの違い、労働時間、雇用形態の違いなど、多くの要因によって生じている。例えば、「電気・ガス・熱供給・水道業」や「金融業・保険業」では、高度な専門知識や資格が求められ、長期間の経験を積むことで高収入を得られる傾向がある。一方、「宿泊業・飲食サービス業」では、非正規雇用の割合が高く、労働時間が長いにもかかわらず賃金が低いという課題が存在する。

賃金の年齢別推移を見ると、若年層では産業間の賃金格差が比較的小さいものの、年齢が上がるにつれて格差が拡大する傾向がある。例えば、20~24歳の平均賃金は、最も高い「金融業・保険業」で25万500円、最も低い「宿泊業・飲食サービス業」で22万1,000円となっており、3万円未満の差にとどまる。しかし、35~39歳になると、「電気・ガス・熱供給・水道業」の賃金は42万9,600円であるのに対し、「宿泊業・飲食サービス業」は31万3,800円と、10万円以上の差が生じる。さらに、50~54歳では、「電気・ガス・熱供給・水道業」の賃金は55万6,500円に達し、「宿泊業・飲食サービス業」は37万4,400円と、その差は18万円以上に広がる。

こうした産業別賃金格差の背景には、業種ごとの労働環境の違いも影響を及ぼしている。例えば、「電気・ガス・熱供給・水道業」や「金融業・保険業」は、業界自体が安定しており、長期雇用が前提となることが多いため、賃金が高くなる傾向がある。また、福利厚生や手当の充実度も他の産業より高い。一方、「宿泊業・飲食サービス業」では、業界全体の収益構造が薄利多売型であることに加え、労働時間が長く、非正規雇用が多いため、賃金の上昇が抑えられやすい。

さらに、業界ごとの昇給ペースにも違いが見られる。「金融業・保険業」や「情報通信業」などでは、スキルアップや経験を積むことで着実に賃金が上昇しやすい。一方で、「宿泊業・飲食サービス業」では、経験年数が増えても昇給が限定的な場合が多く、キャリアパスが明確でないことが問題視されている。

企業の採用戦略において、こうした産業別賃金格差をどのように捉えるかが重要となる。特に、労働者の流動性が高まる中で、優秀な人材を確保するためには、賃金だけでなく、働きやすい環境やキャリアアップの仕組みを整えることが求められる。例えば、「宿泊業・飲食サービス業」では、長時間労働の改善や正社員登用の拡充などの取り組みが必要となる。また、「金融業・保険業」などでは、専門性の高い人材を確保するために、スキル研修の充実や福利厚生の強化が求められる。

産業別の賃金格差は、求職者の業界選択にも大きな影響を与える要素の一つである。特に若年層の間では、賃金水準だけでなく、ワークライフバランスの良さやキャリアアップの可能性を重視する傾向が強まっている。そのため、企業側も単に高い賃金を提示するだけでなく、職場環境の改善や従業員の働きがいを向上させる施策を講じることが、採用市場において競争力を持つために必要となる。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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