2025年3月31日
労務・人事ニュース
令和7年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」全国キャンペーン実施、4か月間で学生を支援
令和7年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施します(厚労省)
厚生労働省は、令和7年度の「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施することを発表した。このキャンペーンは、新入学生が多くアルバイトを始める4月から7月にかけて、大学生や専門学校生に対し、労働条件の確認を促し、トラブルを未然に防ぐことを目的としている。平成27年度から毎年実施されており、今年で11回目となる。
キャンペーンの実施期間は令和7年4月1日から7月31日までの4か月間であり、全国の学生アルバイトに対して、労働条件の基本的なルールを周知し、適正な労働環境の整備を促進することを目的としている。特に、アルバイトに関するトラブルを防ぐために、以下の5つのポイントについて重点的に呼びかけを行う。
まず「労働条件の明示」について、アルバイトを始める際には、賃金や労働時間などの重要な労働条件を明確に提示することが法律で義務付けられている。しかし、学生アルバイトの中には、契約内容を十分に確認せずに働き始めるケースが見受けられ、後になって労働条件の認識違いによるトラブルが発生することがある。そのため、雇用契約を結ぶ際には、書面や電子データでの労働条件通知を受け取り、内容を確認することが重要である。
次に「シフト制労働者の適切な雇用管理」について、学生アルバイトはシフト制で働くことが多く、勤務スケジュールの管理が重要となる。シフトの変更が頻繁であったり、希望とは異なる時間帯に無理に入れられるなどの問題が発生すると、学業との両立が難しくなることがある。事業者には、シフト管理の透明性を確保し、学生の学業に配慮した適切な雇用管理が求められる。
「労働時間の適正な把握」も重要なポイントの一つである。労働基準法では、使用者に対し、労働者の労働時間を正確に記録し管理する義務がある。アルバイト先によっては、タイムカードがない、自己申告制になっているなど、正確な労働時間が把握されていないケースもあるが、こうした状況では、残業代の未払いが発生する可能性がある。学生アルバイト自身も、日々の労働時間を記録し、不明な点があれば事業者に確認することが求められる。
また、「商品購入の強制的な抑止とその代金の賃金からの控除の禁止」について、学生アルバイトの中には、勤務先での商品購入を求められ、その代金が賃金から差し引かれるケースがある。しかし、こうした行為は労働基準法に違反する可能性があり、アルバイトをする際には、自分の給与から不当に控除されることがないよう注意が必要である。
さらに、「労働契約の不履行に対する違法な損害賠償請求や、労働基準法に違反する減給制裁の禁止」についても、学生アルバイトにとって重要な問題である。契約違反を理由に高額な損害賠償を求められたり、罰金のような形で給与が差し引かれることは法律で禁止されている。もしこのような不当な要求を受けた場合には、労働基準監督署などの相談窓口を利用することが推奨される。
本キャンペーンの取り組みとして、全国の都道府県労働局では、大学などに出向き、出張相談を実施する。また、都道府県労働局および労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーには「若者相談コーナー」が設けられ、学生アルバイトに関する相談に重点的に対応する体制が整えられる。これにより、学生が抱える労働問題に対し、迅速かつ適切な対応を図ることが可能となる。
さらに、大学などでリーフレットを配布し、アルバイトを始める際に知っておくべき労働条件のポイントを周知する活動も実施される。これにより、学生が自分の労働条件について正しく理解し、トラブルを未然に防ぐことを目的としている。
このキャンペーンは、学生アルバイトが安心して働ける環境を整えることを目的としており、事業者に対しても適切な労務管理の意識を高めることが期待される。学生アルバイトの労働環境が適正に保たれることで、学業と仕事の両立が可能となり、将来的なキャリア形成にも良い影響を与えることが期待される。
厚生労働省は、今後もアルバイトをする学生の労働環境の改善に向けた取り組みを継続し、若年層の労働者が適切な条件のもとで働けるよう、監督指導を強化していく方針である。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ