2025年3月30日
労務・人事ニュース
生活保護受給者数200万人超、高齢者世帯の割合55.3%で今後の支援策が鍵(被保護者調査 令和5年度確定値)
- 「残業ゼロ」/正看護師/介護施設/住宅補助あり
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「高給与」/准看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「駅チカ」/准看護師・正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年5月1日 22:32
被保護者調査(令和5年度確定値)(厚労省)
厚生労働省は、令和5年度の生活保護受給者に関する調査結果を公表した。この調査では、生活保護を受給している実人員数や世帯数の推移、申請件数、保護開始世帯数などの詳細なデータが明らかにされた。調査の結果によると、被保護実人員数は2,020,576人となり、前年度と比較して4,010人の減少(0.2%減)となった。一方で、被保護実世帯数は1,650,478世帯となり、7,015世帯の増加(0.4%増)という結果が示された。
生活保護制度は、日本国内の経済状況や社会構造の変化を反映する指標の一つとされている。今回のデータでは、生活保護の申請件数が20,949件となり、前年から474件増加(2.3%増)したことが分かった。また、保護開始世帯数は18,509世帯となり、前年より568世帯増加(3.2%増)している。これらの数値から、生活保護を新たに受給する世帯が増えている一方で、全体の受給者数は減少傾向にあることが分かる。
被保護世帯の構成を詳しく見ると、最も多いのは高齢者世帯であり、全体の55.3%(908,629世帯)を占めている。高齢者の単身世帯は特に多く、842,489世帯(51.3%)に達した。一方で、2人以上の世帯は66,139世帯(4.0%)となり、前年度より2,717世帯減少(3.9%減)した。高齢者世帯を除いた世帯数は733,434世帯(44.7%)となり、前年度から6,439世帯増加(0.9%増)している。
さらに、母子世帯の数は64,723世帯(3.9%)となり、前年度と比較して2,630世帯減少(3.9%減)した。一方、障害者や傷病者が含まれる世帯は410,025世帯(25.0%)であり、前年度より3,435世帯増加(0.8%増)している。また、「その他の世帯」と分類される世帯は258,687世帯(15.8%)となり、前年度比で5,635世帯増加(2.2%増)した。
こうした生活保護受給世帯の変化の背景には、日本社会における少子高齢化や経済的な要因が影響していると考えられる。特に、高齢者世帯の増加は、年金だけでは生活が困難な高齢者が増えていることを示している。また、障害者や傷病者世帯の増加も、医療費や福祉支援の必要性が高まっている現状を反映している。
生活保護制度の利用状況は、政府の社会保障政策にも大きく関わってくる。今回のデータからは、生活保護の申請件数や新規受給世帯数の増加が見られるものの、総受給者数がわずかに減少していることが確認できた。これは、生活保護を脱却できる世帯が一定数存在することを示しているが、一方で、新たに生活困窮に陥る世帯が増えていることも示唆している。特に、コロナ禍による経済的影響が長引き、非正規雇用者や低所得世帯の生活が厳しくなっていることが影響していると考えられる。
今後の課題として、生活保護を必要とする人が適切に制度を利用できる環境を整えることが求められる。また、単に生活保護を受給するだけでなく、受給者が自立できるための支援策を強化することも重要となる。例えば、職業訓練や就労支援プログラムの充実、障害者や高齢者向けの特別な支援策の拡充などが必要である。
さらに、生活保護を受けることに対する社会的な偏見の解消も課題の一つだ。生活保護制度は、本来、生活に困窮した人々が最低限の生活を維持するための制度であるが、一部では「受給者に対する偏見」や「不正受給に対する厳しい視線」が存在する。そのため、制度の適正な運用とともに、正当な受給者が安心して利用できる社会的な理解を促進することも求められる。
今回の調査結果を踏まえ、政府は生活保護制度の運用を見直し、より効果的な支援を行うことが求められるだろう。特に、高齢者世帯の増加に伴い、今後は年金制度の見直しや地域に根ざした福祉サービスの強化が必要となる。また、生活困窮者が早期に支援を受けられる仕組みを整えることで、生活保護に頼らずに済む人を増やしていくことが理想的である。
こうした動きを支えるためには、企業や自治体、福祉団体などが連携し、包括的な支援を提供することも重要となる。例えば、企業が低所得者向けの雇用機会を増やすことで、生活保護を必要とする人々の自立を支援できる。また、自治体が地域ごとの支援策を強化することで、地域の実情に合ったサポートが可能となる。
最終的には、生活保護制度が「最後のセーフティネット」として機能しつつ、できるだけ多くの人が自立した生活を送れる社会を目指すことが必要である。そのためには、支援策の充実だけでなく、社会全体の意識改革も重要な要素となる。今回の調査結果をもとに、今後どのような施策が展開されるのかが注目される。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ