2025年3月28日
労務・人事ニュース
下請代金支払遅延防止法改正!手形払い禁止・運送委託追加で取引適正化を強化
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最終更新: 2025年5月1日 22:32
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「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました(経産省)
2025年3月11日、政府は「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、第217回通常国会に提出することを発表した。この法改正は、近年の急激な労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇を受けて、発注者と受注者が対等な関係のもとで適切な価格転嫁を定着させることを目的としている。特に、サプライチェーン全体での「構造的な価格転嫁」を実現し、公正な取引環境を確保するために、取引の適正化を図るための規制強化と、下請事業者の振興支援を柱とした改正内容となっている。
今回の改正では、特に規制の見直しと振興支援の強化が重視された。まず、規制の見直しに関しては、発注者が受注者に対して価格交渉に応じない、または必要な情報提供を行わないことで一方的に代金額を決定することを禁止する規定が新設される。この措置により、適正な価格交渉を確保し、コスト上昇時に不当な価格据え置きが行われることを防ぐことが目的となっている。また、これまで認められていた手形払いを禁止し、さらに支払期日までに代金相当額を得ることが困難な支払手段(電子記録債権やファクタリングなど)についても禁止の対象とすることで、受注者の資金繰りの負担を軽減する方針だ。これにより、支払遅延のリスクを抑制し、受注者の経営安定につながることが期待される。
物流問題への対応として、これまで対象外だった運送委託取引が新たに規制対象に追加される。具体的には、製造や販売の目的物を運送事業者に委託する取引が対象となり、物流事業者の取引環境の改善が図られる。また、規制の適用基準を見直し、従業員基準を新たに設けることで、より多くの企業を保護の対象とする。これまでの資本金基準に加え、製造委託では従業員300人以下、役務提供委託では従業員100人以下の企業も対象となり、より広範な事業者がこの法律の保護を受けられるようになる。
さらに、執行体制の強化も盛り込まれた。関係行政機関による指導・助言に関する規定が新設されることで、違反行為の是正をより効果的に促すことが可能となる。また、公正取引委員会や中小企業庁に加え、各業界を所管する省庁にも指導・助言権限が付与されることで、より実効的な監督が行えるようになる。この改正により、適正な取引が行われる環境が一層整備されると期待される。
振興策の強化も今回の改正の大きなポイントだ。多段階の取引が行われるサプライチェーンにおいて、二つ以上の取引段階にある事業者が共同で作成する振興事業計画に対し、国が承認・支援を行う制度が新設される。これにより、サプライチェーン全体での取引適正化が促進される。また、製造や販売に関連する運送委託が振興対象に追加されることで、物流分野においても取引適正化が進められる。さらに、法人同士の取引においても従業員数の大小関係がある場合は振興対象となるため、より多様な事業者が支援を受けられるようになる。
地方公共団体との連携も強化され、国と地方が協力して全国各地の事業者の振興を図る体制が整備される。地方自治体が地域の事業者と密接に連携し、情報交換を行うことで、地域ごとの課題に応じた振興策が展開されることが期待される。これにより、地方の中小企業の取引環境改善が進むことが見込まれる。
また、執行の強化策として、主務大臣が指導・助言を行ったにもかかわらず改善が見られない事業者に対して、より具体的な措置を示し、改善を促す権限が付与される。この措置により、違反行為の再発防止や迅速な是正が可能となる。
さらに、今回の改正では、長年使用されてきた「下請」という用語が見直されることになった。「下請事業者」は「中小受託事業者」、「親事業者」は「委託事業者」と改められ、「下請代金支払遅延等防止法」は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」に変更される。これにより、発注者と受注者が対等な関係であることを強調し、取引の適正化を促す意図が込められている。
今回の改正は、価格転嫁の適正化をはじめ、手形払いの禁止や物流分野への規制拡大、執行の強化、振興策の拡充など、多岐にわたる内容を含んでいる。これにより、中小企業が適正な価格交渉を行いやすくなり、サプライチェーン全体の健全化が期待される。企業経営にとっては、価格交渉の在り方が大きく変わる可能性があるため、今後の動向を注視し、適切な対応を取ることが求められる。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ