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2025年4月16日

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医療費が2.2%増加、入院医療費は4.9%の伸びで医療人材需要が高まる(令和6年度11月)

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最近の医科医療費(電算処理分)の動向(令和6年度11月号)(厚労省)

令和6年度11月時点の医科医療費に関する厚生労働省の最新統計によれば、日本の医療費は引き続き増加傾向を維持しており、特に入院医療費の伸びが全体の増加を牽引する結果となった。この動きは、高齢化の進展や疾患構造の変化、医療の高度化といった複合的要因によるものであり、企業の人材戦略、とりわけ医療・福祉分野における人材確保の方向性を考えるうえで極めて重要な示唆を含んでいる。

令和6年11月の医科医療費は、前年同月比で2.2%の増加となった。これは受診延日数が1.3%増加し、1日当たり医療費が0.9%上昇したことによるものであり、診療件数そのものが増えたというよりは、一人ひとりの患者がより多くの医療を受けている、あるいはより高額な医療を必要としていることを示唆している。特に注目すべきは入院医療費の伸びであり、前年同月比で4.9%と大きく伸びており、入院患者における医療リソースの集中化が進んでいる可能性がある。一方、入院外医療費は0.7%の減少となっており、外来診療の抑制や自己管理医療の浸透が一因と考えられる。

制度別にみると、被用者保険は2.5%の増加、国民健康保険は3.2%の減少、後期高齢者医療制度は4.7%の増加、公費による支出は3.3%の増加であった。この中で、後期高齢者医療制度における入院医療費の伸びは特に顕著で、5.8%という数値を記録しており、高齢者の入院治療が増加していることが明らかとなっている。これは慢性疾患や複数の基礎疾患を抱える患者の増加に起因しており、病院側には高度な治療と長期的な入院管理が求められている。これに伴い、看護師や介護職、医療事務などの人材需要が急速に高まりつつある。

医療機関の種類別に見ても、大学病院の医療費が前年同月比で6.3%増加しており、入院費に限れば9.0%という高い伸び率を記録している。これは高度医療を担う大学病院において、より専門性の高い治療が増えていることを示しており、専門職の確保が今後の課題となる。公的病院や法人病院においてもそれぞれ2.9%、2.6%の伸びを記録しており、特に200床以上の病院では3.3%の伸びがあったことから、大規模病院における医療需要が引き続き高いことがわかる。これに対し、医科診療所は0.2%の減少となっており、外来診療の集約化や地域医療体制の再編成が進行していることをうかがわせる。

地域別に見ると、最も医療費の伸びが大きかったのは東京都で4.6%、最も小さかったのは島根県で1.9%の減少であった。都市部における医療需要の集中と地方部での人口減少や医療機関の統廃合が影響しており、地域ごとの医療格差への対策が今後の政策課題として浮上している。また、年齢階級別のデータでは、75歳以上80歳未満の医療費が7.9%増加しており、高齢者医療の重要性が一層強まっている。一方で、5歳以上10歳未満では11.1%の減少が見られ、少子化や予防医療の浸透が反映された結果といえる。

疾病別では、循環器系疾患の医療費が3.0%増加、新生物(がん)は2.3%増加、筋骨格系及び結合組織の疾患が4.8%増加、腎尿路および生殖器系疾患は2.7%増加、損傷・中毒およびその他外因の影響による医療費は5.2%増加しており、特定の慢性疾患や外因的な疾患への医療資源投入が増えていることが読み取れる。一方、呼吸器系疾患の医療費は1.6%の減少となり、感染症対策やワクチン接種の普及などが功を奏していると考えられる。

診療内容別に見ると、DPC包括部分が7.8%増加、手術・麻酔費用が4.1%増加、特定保険医療材料が6.4%増加しており、高度な医療処置の増加が数字に表れている。これにより、医療技術者や医療機器オペレーター、手術室の専門スタッフといった特化した職種の需要がより高まる傾向にある。これに対して、薬剤費は1.2%減少、検査・病理診断費は4.6%の減少となっており、診断から治療への重点移行、あるいは医薬品使用の最適化が進んでいると分析される。

企業の採用担当者にとって、こうした医療費動向は単なる統計ではなく、採用戦略に直結する重要な情報である。例えば、高齢者医療や慢性疾患治療に特化した施設の拡充に伴い、関連職種の採用ニーズが急増している。また、地域ごとの医療費伸び率の差を活かした地域採用戦略や、医療のICT化による新しい職種の創出も進んでいる。特にデータ分析や医療事務のDX推進に関わる職種は今後の成長が期待される領域であり、医療分野における多様な人材ニーズへの対応が、企業の競争力を左右する要素となっている。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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