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2025年4月12日

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働き方改革対応で工期調整も明文化、公共建築標準仕様書が令和7年版に刷新

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公共建築工事標準仕様書 令和7年版等を制定しました ~働き方改革、生産性の向上への配慮、木材利用の推進等の取組を反映~(国交省)

令和7年3月27日、国土交通省大臣官房官庁営繕部は、公共建築に関する最新の技術基準である「公共建築工事標準仕様書」等の令和7年版を新たに制定しました。この改定は、建築物の品質と性能を確保するとともに、設計業務の効率化や施工プロセスの合理化を目的として行われたものであり、令和7年4月1日からすべての官庁営繕工事に適用されることとなります。特に今回は、政府が進める働き方改革、生産性の向上、そして木材利用の推進といった社会的要請を反映した点が大きな特徴です。

今回制定されたのは、「公共建築工事標準仕様書(建築工事編、電気設備工事編、機械設備工事編)」「公共建築改修工事標準仕様書(同)」「公共建築木造工事標準仕様書」、および「公共建築設備工事標準図(電気・機械設備工事編)」の令和7年版です。これらはいずれも公共建築において広く参照される技術基準であり、国や自治体、関連機関が発注する建築・設備工事において標準的に採用されることから、建設業界にとっては重要な指針となります。

特筆すべき点として、まず「働き方改革」と「生産性の向上」への対応が挙げられます。新たな仕様書では、受注者側の責任によらない不可抗力的な事由により工期全体に影響が生じる場合には、監督職員への速やかな報告と、発注者と受注者間の円滑な協議を促すための規定が追加されました。これにより、現場でのトラブルや突発的な工程の遅れに対して、透明性の高い調整が行われることが期待されます。加えて、情報通信技術(ICT)の活用が推奨されており、情報共有システムを利用した書面提出や、遠隔臨場といった新しいワークスタイルへの対応も仕様に明記されました。これらの措置は、現場の負担軽減だけでなく、業務の効率化と安全性の確保にも寄与する内容です。

また、木材利用の促進も今回の改定において重要な柱の一つです。「公共建築木造工事標準仕様書 令和7年版」では、「都市の木造化推進法」を踏まえ、従来の木造建築だけでなく、鉄骨造や鉄筋コンクリート造との混構造にも対応可能な形で見直しが図られました。これにより、都市部における中高層建築物や公共施設への木材活用がさらに進むことが期待されます。国産木材の利用促進や森林資源の持続可能な活用を後押しするこの施策は、カーボンニュートラルの実現を目指す日本の環境政策とも整合しています。

仕様書の見直しは、法令や基準、規格の変更に合わせた内容の更新も含んでいます。たとえば、建築基準法の改正やJIS規格の改定などに応じて記述が整理されており、最新の制度や科学的根拠に基づく仕様が反映されました。さらに、全国的な施工実態や資材の流通状況も考慮されており、地域の事情や市場の変化に即した柔軟な対応が可能となるよう調整されています。

国土交通省では、これらの技術基準を通じて、施工の標準化と品質確保を進めながら、持続可能な公共建築の実現を目指しています。標準仕様書の活用により、設計段階から施工、そして管理・維持に至るまでの各工程で共通の認識と基準を持つことが可能となり、建設現場での混乱を防ぐとともに、コスト削減と品質向上の両立を図ることができるとしています。

こうした動きは、企業の採用戦略にも大きく関係してきます。とりわけ、建設業界では生産年齢人口の減少や若手人材の確保難が続く中、働き方改革やICT導入に対応できる人材がますます重要になります。情報通信技術を駆使した建設現場の管理や、BIM・CIMなどの先端技術を理解し運用できる若手技術者の育成が求められる中、仕様書の内容も人材要件の変化に呼応する形で進化しているといえるでしょう。また、木材利用の推進に伴い、木構造設計や木材の性質に詳しい専門人材の需要も高まっていくことが予想されます。

採用担当者にとっては、このような動向を的確に捉え、即戦力となる技術者の確保だけでなく、将来性ある若手への投資や教育体制の強化が不可欠です。さらに、官公庁案件に携わる企業にとっては、最新の仕様に基づいた工事対応が受注の前提条件となるため、関連部署への情報共有や研修の実施も早急に検討すべき事項となります。

公共建築における標準仕様書の見直しは、単なる文書の更新にとどまらず、建設業界全体の価値観やワークスタイルの変革を促すものです。これを契機として、企業内でも制度や運用ルールの再整備、技術力の底上げ、そして組織としての対応力向上が求められるフェーズに入っていると言えるでしょう。持続可能な社会づくりにおいて、建設業界はその基盤を支える重要な役割を担っており、今回の改定はその責任と可能性を再認識する契機でもあります。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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