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2025年4月11日

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出生数が5万8,385人に減少、令和7年1月は過去最低水準で少子化深刻化

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人口動態統計速報(令和7年1月分)(厚労省)

令和7年1月における日本の出生数は5万8,385人となり、前年同月の6万1,074人から2,689人減少しました。減少率は4.4%であり、前年から続く出生数の減少傾向が引き続き顕著に見られる結果となりました。この数値は、前年を含む過去数年間の統計と比較しても、出生の減少がより深刻な局面を迎えていることを示しており、日本の少子化が一層進行している実態を浮き彫りにしています。一方で、死亡数は17万8,412人と、前年同月の15万6,650人と比べて2万1,762人の増加となり、増加率は13.9%でした。この大幅な死亡数の増加は、高齢化の進行による影響が色濃く反映されたものと考えられ、自然増減数はマイナス12万27人と、大幅な人口減少が続いている状況です。

このように、出生数が減少し死亡数が増加するという構図は、単なる一時的な傾向ではなく、日本社会が直面している構造的な課題といえます。実際、当月を含む過去1年間、すなわち令和6年2月から令和7年1月までの年間合計では、出生数は71万8,299人、死亡数は164万446人とされ、自然増減数はマイナス92万2,147人にまで達しています。これは年間で約100万人に近い人口が減少していることを意味し、長期的には社会保障制度や労働力人口、地域経済に対して深刻な影響を及ぼす可能性があります。

死産に関する統計も重要な示唆を含んでいます。令和7年1月における死産数は1,321件で、前年同月から25件の減少、率にして1.9%の減少となりました。過去1年間の累計では1万6,006件で、前年と比較しても若干の減少が見られましたが、全体として大きな変動は見られません。死産率については、全体の出産件数に対して1,000件あたり約22件という計算になり、周産期医療や妊婦支援体制の整備が一定の成果を上げていると見ることもできます。

婚姻に関するデータでは、1月の婚姻件数は3万4,204件で、前年同月の4万1,185件から6,981件減少し、減少率は17.0%にのぼりました。これは年間で見ても、令和6年2月から令和7年1月の1年間で49万3,018件となり、前年の49万4,318件から1,300件の減少でした。婚姻件数が長期的に減少傾向にあることは、家族形成の遅れや未婚化、あるいは結婚を選ばない価値観の多様化など、複合的な社会変化を背景にしていると考えられます。企業においても、これまで当然とされてきた家族手当や配偶者控除といった制度の見直しが迫られる可能性がある一方、多様なライフスタイルを支える柔軟な制度設計の重要性が高まっているといえるでしょう。

離婚件数については、1月は1万4,739件で、前年同月の1万5,316件より577件の減少、3.8%の減でした。年間では18万9,375件で、前年の18万8,802件と比べて573件増加しており、微増という結果です。これは、婚姻件数が減少する中でも一定の割合で離婚が発生していることを示し、夫婦関係や家庭環境における課題が継続している可能性を示唆しています。また、離婚後の生活や子育て支援を取り巻く社会制度の整備も依然として十分とは言えず、ひとり親世帯への支援策を強化する必要性が浮き彫りになっています。

都道府県別にみると、出生数が最も多かったのは東京都で6,981人、次いで神奈川県の4,276人、大阪府の4,451人、愛知県の3,930人、埼玉県の3,392人、千葉県の2,852人という順でした。一方で、最も少なかったのは鳥取県の241人、次いで島根県の275人、秋田県の260人、高知県の283人といった地方圏が続いています。これらの数値からは、都市部と地方部での出生数の地域格差が明確になっており、人口の都市集中傾向が継続していることが読み取れます。これは、地域ごとの労働環境や子育て支援制度の充実度、教育機関へのアクセスの差などが影響していると考えられ、地方自治体の政策立案にも直結する課題です。

死亡数においても、東京都が最も多く1万5,407人、大阪府が1万2,139人、神奈川県が1万1,071人と続きます。高齢者人口の比率が高い地方圏でも、北海道(7,953人)や福岡県(6,778人)などで相応の死亡件数が記録されています。これらの傾向からは、高齢化の波が全国に広がっており、都市圏のみならず地方でも医療や介護サービスの需要が増大している現状が見えてきます。企業の視点では、勤務地や転勤政策の見直し、あるいは高齢の親を持つ社員への配慮として、柔軟な働き方の導入が今後一層求められていくでしょう。

このように、人口動態統計が示す数値は、単なる統計データではなく、企業の人事戦略、労働環境の整備、福利厚生の再構築において非常に重要な意味を持ちます。とりわけ出生数の減少と死亡数の増加による人口の自然減が続くなかで、企業が持続的に成長するためには、多様な人材の採用・育成だけでなく、社員一人ひとりのライフイベントに寄り添う職場環境づくりが不可欠です。今後は、従業員の家庭環境や地域背景にも配慮した、よりパーソナライズされた人事制度や働き方の実現が、企業競争力の鍵となるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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