2025年4月7日
労務・人事ニュース
2年で国民年金保険料が940円上昇、令和8年度には月額17,920円へ
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厚生労働省関係の主な制度変更(令和7年4月)について 国民年金保険料の改定(厚労省)
令和7年度の国民年金保険料が17,510円に改定されることが決定されました。この保険料額は、前年度である令和6年度の16,980円に比べて530円の引き上げとなっており、物価や賃金の変動を踏まえた調整結果となります。国民年金保険料は、老後の基礎年金として位置づけられており、特に自営業者、フリーランス、学生、無職の方などが対象となる「第1号被保険者」にとって、将来の年金受給に直結する重要な負担項目です。この改定は、年金制度の持続可能性を確保するため、名目賃金の動向を反映する法律上のルールに基づいて毎年度見直されているもので、今年度もその例外ではありません。
今回の改定に至った背景として、令和6年の全国消費者物価指数が前年比で2.7%上昇したことが大きく影響しています。これに加えて、2〜4年度前の実質賃金変動率の平均値がマイナス0.4%と低迷している一方で、名目手取り賃金変動率は2.3%の上昇となっており、法律に基づく給付改定ルールでは、物価の伸びが賃金よりも高い場合、支え手である現役世代の負担能力に即した給付とするため、名目手取り賃金変動率を用いて保険料が調整されることになっています。さらに、マクロ経済スライドによる調整率がマイナス0.4%となったため、最終的な年金額の改定率はプラス1.9%と定められ、この流れの中で保険料も名目賃金の上昇に連動して引き上げられた形となります。
国民年金保険料は、平成16年の年金制度改革によって段階的に引き上げられ、平成29年度には法律上の上限である月額16,900円(平成16年度水準)に到達しました。その後、令和元年度からは産前産後期間の保険料免除制度の導入に伴い、基準額が月額17,000円に引き上げられ、実際の保険料額は名目賃金変動に応じて毎年改定されています。つまり、現行の制度では、実際に支払うべき保険料額は年々変動するものであり、その根拠となる名目賃金の伸びが一定である限り、将来的にも継続的な保険料改定が想定されます。
実際、令和8年度の国民年金保険料は17,920円に設定される見込みであり、前年からさらに410円の引き上げが予定されています。これにより、令和6年度から令和8年度までの2年間で合計940円の上昇となり、年換算では約1万1,000円近い保険料負担の増加となります。このような上昇傾向は、特に若年層や低所得層の第1号被保険者にとっては無視できない負担増となる可能性があり、社会全体でその認知と支援体制の整備が求められます。
企業にとっても、この保険料改定は無関係ではありません。例えば、就職を希望しながらも非正規就労やフリーランスでの仕事を続けている若者に対して、保険料の高さが就業意欲に影響を与えることがあります。また、採用活動の中で、正社員登用や社会保険加入制度の充実を訴求することにより、「安定した年金制度の一員になれる」といった安心感を提供できることは、求職者に対する強力なアピール材料となります。さらに、副業やフリーランスとのパラレルキャリアを推進する企業にとっても、従業員がどのような年金制度に加入し、どの程度の保険料を負担しているのかを理解し、サポート体制を整備しておくことは、組織運営上のリスク管理としても重要です。
保険料の引き上げは、裏を返せば将来の年金給付水準をある程度維持し、制度を持続可能にするための措置でもあります。実際、令和7年度の国民年金(老齢基礎年金)満額受給者の月額年金は69,308円となり、令和6年度の68,000円に比べて1,308円の増額が行われます。これは年間で15,696円の増加に相当し、わずかではありますが、インフレ対策として一定の効果が見込まれています。今後も年金制度の信頼性を高めるためには、保険料と給付のバランスを見極めながら、持続的な改定が行われる必要があります。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ