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2025年4月18日

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年間148兆円の市場規模に成長した建設業、完成工事高は9.6%増で3年連続増加(令和5年度実績)

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建設工事施工統計調査(令和5年度実績)(国交省)

令和5年度の建設工事施工統計調査の結果が国土交通省より公表され、日本全国の建設業者による施工実績や経営実態が明らかになりました。本調査は、建設工事の施工にかかわる実態を明確にし、経済政策や建設行政に役立てることを目的として毎年実施されているものであり、統計法に基づく基幹統計としての位置づけを持っています。

まず、調査対象となった建設業者の総数は全国で391,259社に上り、これは前年度から3.8%の増加となりました。そのうち、法人が323,891社と全体の82.8%を占めており、個人事業主は57,888社で14.8%という構成です。このような事業者構成の中、完成工事高は総額で14兆8,554億円に達し、前年から9.6%増加しました。このうち、元請けによる完成工事高は8兆9,976億円で、全体の60.6%を占め、残りの39.4%は下請けによるものでした。

発注者別に元請完成工事高を分析すると、民間発注工事が6兆6,246億円で73.6%を占めており、公共発注工事は2兆3,730億円で26.4%という結果です。民間工事の強い需要が全体の押し上げに貢献している様子が読み取れます。また、工事の種類別に見た場合、建築工事が最も多く5兆6,218億円、次いで土木工事が2兆2,406億円、機械装置等工事が1兆1,351億円という構成で、建築関連が依然として高い需要を維持しています。

業種別では、総合工事業が6兆5,199億円で元請比率は75.5%と高く、全体の72.5%を占める主要な業種です。次に多いのが設備工事業で1兆9,362億円、元請比率は52.1%となっており、建築設備や機械設置等の需要も根強いことがうかがえます。一方、職別工事業では元請比率が21.6%と相対的に低く、専門性の高い工事が多く下請けとして機能している傾向が見られます。

さらに、工事の性質別に見ると、新設工事が全体の68.0%を占め、元請工事高は6兆1,143億円にのぼります。維持・修繕工事は2兆8,832億円で32.0%を占めており、年々その比率が増加傾向にある点が注目されます。これはインフラの老朽化対策や耐震・防災工事の需要が高まっている背景によるものと考えられます。

地域別に見ると、元請完成工事高の最多は東京都で3兆2,398億円と、全体の36.0%を占めて圧倒的な存在感を示しています。次いで大阪府が1兆698億円、愛知県が3,890億円、神奈川県が3,775億円と続いており、大都市圏での建設需要の集中が顕著です。施工地別でも東京都が最多で1兆4,061億円、大阪府が7,129億円、神奈川県が5,299億円と続いています。

就業者数は全体で492.1万人となり、前年から2.9%の増加となりました。業種別では、総合工事業が231.8万人で全体の47.1%を占め、職別工事業が119.5万人(24.3%)、設備工事業が140.8万人(28.6%)という構成です。これらのデータから、建設業界が持続的に雇用を創出している一方で、業種ごとの人材分布に一定の偏りがあることもわかります。

付加価値額においては、純付加価値額が3兆3,907億円で、前年より10.4%の増加となりました。中でも設備工事業は前年度比20.1%増で1兆666億円と大きな伸びを示し、建設分野における高付加価値業種であることが明確になっています。これは、高度な専門技術や機械化の進展が影響していると考えられます。完成工事原価は12兆800億円で、うち総合工事業が7兆2,315億円、設備工事業が2兆9,155億円、職別工事業が1兆9,334億円という内訳です。

加えて、受注高は15兆1,830億円にのぼり、前年から11.2%の増加を記録しました。建設業者の今後の受注環境も良好であることを示しており、今後も建設業界が日本経済の基盤を支える重要な産業であり続けると予測されます。とくに、資本金1億円以上の法人が占める完成工事高の構成比は35.1%であり、資本力を持つ大手企業が高額案件を多く受注している実態が浮かび上がります。

こうしたデータから、国内の建設業界が引き続き堅調な成長を遂げていることが明らかになりました。特に、民間投資の活発化や老朽インフラの改修需要、都市部での再開発プロジェクトなどが背景にあり、業界全体として堅調な成長軌道にあることが示されています。一方で、職別工事業における元請比率の低さや就業者数の偏在といった課題も見受けられ、今後の労働力確保や技術継承といった側面でも対策が求められます。

このように、建設業界は単なるインフラ整備にとどまらず、都市づくりや災害対策、さらには新技術の導入といった多方面にわたり日本社会の持続可能な発展に貢献しており、その経済的重要性は一層高まっています。企業の採用担当者にとっても、建設業界のこうした実態を理解し、求められる人材像を把握することは、今後の人材確保戦略を立てるうえで極めて重要な要素となるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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