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2025年5月12日

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令和7年3月富山県の有効求人倍率1.43倍、採用競争が激化する今押さえるべきポイント

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2025年3月の富山労働市場(富山労働局)

令和7年5月2日、富山労働局より発表された最新の労働市場データによると、令和7年3月時点における富山県の有効求人倍率(季節調整値)は1.43倍となり、前月から0.03ポイント上昇しました。これにより3か月連続の上昇が確認され、雇用情勢の一部において改善の兆しが見られる結果となりました。しかし、労働局では、求人の動きに依然として足踏み感があるとし、物価上昇などが雇用に与える影響についても引き続き注視する必要があるとしています。県内の企業や採用担当者にとっては、今後の採用活動に慎重な対応が求められる局面に入ったと言えるでしょう。

具体的なデータを見ると、有効求人数(季節調整値)は21,577人であり、前月に比べ2.3%増加しています。これは5か月ぶりの増加となり、求人側に若干の回復傾向がみられるものの、まだ本格的な回復とは言い難い状況です。一方で、有効求職者数(季節調整値)は15,058人と、前月比で0.1%減少しており、7か月連続の減少となりました。これにより、求職者数が減少する中で求人が微増した結果、有効求人倍率の上昇に寄与したと考えられます。

新規求人倍率(季節調整値)については、2.25倍となり、前月から0.35ポイント低下しました。新規求人数は7,788人で前年同月比3.2%減少しており、5か月連続の減少となっています。一方、新規求職者数は3,587人で前年同月比5.0%増加し、5か月ぶりの増加を記録しました。このように、新規求人の減少と新規求職者数の増加が同時に進行しており、求人市場における需給バランスが徐々に変化してきていることが読み取れます。

産業別にみると、宿泊業・飲食サービス業における新規求人は前年同月比38.2%増加し、堅調な回復が見られました。コロナ禍後の観光需要回復を背景に、この分野では採用意欲が高まっている様子が伺えます。一方で、製造業では前年同月比16.6%減少し、依然として厳しい状況が続いています。特に食料品製造業、飲料・たばこ・飼料製造業などで顕著な減少が見られ、業種間による明暗がはっきりと分かれた結果となりました。

また、正社員に関するデータでは、令和7年3月時点での正社員有効求人倍率は1.50倍となり、前年同月比で0.08ポイント上昇しました。これは5か月連続の上昇であり、企業側の正社員採用意欲が引き続き高い水準にあることを示しています。ただし、正社員有効求人数は12,679人で前年同月比0.9%減少しており、8か月連続の減少となっています。求人数が減る一方で求人倍率が上がる背景には、求職者数の減少も影響しているとみられ、今後も採用競争は激化する可能性が高いと言えるでしょう。

新規求職者の態様別・年齢別データにおいては、24歳以下の若年層の新規求職申込みは前年同月比7.4%増加し、若年層の動きが活発化していることがうかがえます。また、60歳以上の高齢層も前年同月比15.5%増加しており、シニア人材の活用が今後ますます重要となることが示唆されています。このように、幅広い年齢層にわたる求職活動の活性化が見られる一方、求人数の減少傾向とのギャップが拡大している現状には注意が必要です。

さらに、離職理由別では、自己都合離職者が前年同月比3.5%増、事業主都合離職者が同6.7%増と、いずれも増加傾向にあります。定年等による離職者も25.6%増加しており、組織の新陳代謝が進んでいることがうかがえます。企業側にとっては、定年退職による人材流出への対応と、若手・中堅層の採用・育成の両面で戦略的な施策が求められる局面にあると言えるでしょう。

このような背景を踏まえると、富山県内の企業にとって今後の採用活動は一層難易度が高まることが予想されます。特に、宿泊業・飲食サービス業のように採用が活発な分野では、早期に優秀人材を確保するためのスピーディな選考と魅力的な労働条件の提示が求められます。一方、製造業など厳しい環境にある業種では、採用活動を継続しながらも、既存人材の定着支援やスキルアップ施策に力を入れる必要があるでしょう。

また、正社員採用を強化するためには、単なる求人票での情報提供にとどまらず、社内キャリアパスの明確化や、柔軟な働き方に対応した制度設計も重要となります。若年層やシニア層をターゲットにした専用の採用キャンペーンや、リスキリング支援を組み込んだ採用広報も効果的な施策となるでしょう。

今後、物価高騰などの影響によって、労働市場全体がさらに流動化する可能性も考えられます。こうした外部環境の変化を見据え、企業は常にデータを分析し、柔軟かつ戦略的な人材確保策を講じることが求められています。富山県の現状は、まさにその重要性を改めて示す結果となっており、採用担当者にとっても大きな学びの機会となるでしょう。

⇒ 詳しくは富山労働局のWEBサイトへ

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