2025年5月11日
労務・人事ニュース
令和7年3月福岡県の有効求人倍率1.20倍、採用市場の最新動向を徹底解説
- 「夜勤なし」/准看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年5月10日 22:32
- 「時短勤務可」/准看護師・正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年5月10日 22:32
- 「駅チカ」/准看護師・正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年5月10日 22:32
- 介護職員/2025年5月11日更新
最終更新: 2025年5月11日 09:07
雇用情勢(令和7年3月分)について(福岡労働局)
令和7年5月2日、福岡県内の最新の雇用情勢に関する発表がありました。今回公表されたデータによると、令和7年3月の有効求人倍率は1.20倍であり、前月比0.02ポイント上昇しました。この結果から、福岡県における雇用情勢は改善傾向にあるものの、求人活動には若干の弱さが見受けられる状況であり、依然として物価上昇の影響には注意を払う必要があるとされています。特に有効求人数が前月比0.3%減少、有効求職者数も1.3%減少しており、求職市場における需給バランスには微妙な変動が見られました。
新規求人倍率に関しては2.18倍と、前月比で0.33ポイント低下しました。新規求人数は前月に比べ9.9%減少し、新規求職者数は3.7%増加しました。この新規求人の減少傾向は、前年同月比でも7.4%減となっており、特に産業別では宿泊業や飲食サービス業、医療・福祉分野での新規求人減少が続いています。宿泊業、飲食サービス業では8か月連続で、医療・福祉分野でも5か月連続の減少が確認されています。さらに運輸業・郵便業、建設業、情報通信業、卸売業・小売業など多くの業種でも求人減少が報告されており、これは地域経済全体に少なからぬ影響を与えています。
一方で、製造業、金融業・保険業、学術研究・専門技術サービス業、生活関連サービス業・娯楽業では新規求人数が増加しました。特に製造業では前年同月比で13.0%の増加となり、ものづくり分野における雇用の安定と拡大が期待されています。事業所規模別に見ると、従業員数4人以下、100~299人、1000人以上の事業所で新規求人数が増加した一方、5~29人、30~99人、300~499人、500~999人規模の事業所では減少しました。これにより、大規模企業における採用意欲は回復基調にある一方、中小規模事業者の採用活動には依然慎重な姿勢が見られることが浮き彫りになりました。
新規求職者数については、前年同月比で0.3%減少し、男性求職者は0.1%、女性求職者は0.4%それぞれ減少しました。年齢別に見ると、55歳以上の層では新規求職者が増加しましたが、54歳以下の層では減少傾向にありました。特に29歳以下では5.6%の減少、30~44歳で2.9%、45~54歳でも2.9%の減少が確認され、若年層および中堅層において求職活動がやや抑制されている傾向が見られます。
正社員の有効求人倍率に関しては、0.99倍と前年同月比で0.04ポイント上昇しました。正社員を希望する求職者にとっては、依然としてやや厳しい環境が続いているものの、若干の改善が見られる結果となっています。ただし、正社員有効求人倍率は派遣社員や契約社員を希望する者も含んでいるため、厳密な意味での正社員のみの倍率とは異なる点に留意が必要です。
地域別の状況に目を向けると、福岡地域では有効求人倍率が1.29倍、北九州地域では1.11倍、筑豊地域は1.13倍、筑後地域では1.39倍となっています。福岡地域と筑後地域では前年同月比でそれぞれ0.01ポイント、0.11ポイントの上昇が見られましたが、筑豊地域では0.16ポイントの低下となりました。北九州地域では0.07ポイントの上昇が記録されています。これらの数字は、地域ごとの経済活動や雇用需要の違いを反映しており、特に筑後地域においては堅調な求人需要が維持されていることがうかがえます。
九州・沖縄地域全体では、有効求人倍率は1.17倍であり、前年同月比ではわずかに減少しました。この地域全体で見ても、新規求人数や有効求人数は減少傾向にあり、慎重な採用活動が広がっていることがわかります。一方、新規求職者数に関しては安定的な動きを見せており、労働市場における求職者数と求人件数のバランスに大きな変動は見られませんでした。
こうした状況を踏まえ、今後の福岡県および九州地域における雇用政策には引き続き注目が必要です。特に、物価上昇の影響による消費マインドの冷え込みや、景気後退リスクに対応するためには、柔軟かつ迅速な施策が求められます。企業側としては、特定の業種や地域における求人需要の変化を的確に捉え、自社に合った採用戦略を立案・実行することが、安定的な人材確保につながるでしょう。
また、求職者にとっても、自身のスキルアップやキャリア形成に向けた準備を怠らず、変化する市場環境に柔軟に対応することが今後一層重要となります。特に成長が期待される製造業や金融業、専門技術サービス分野などに目を向け、自らの強みを活かせる場を積極的に探していく姿勢が求められています。
福岡県内のハローワークでは、対面による就職支援だけでなく、ハローワークインターネットサービスを通じたオンライン支援も強化されています。これにより、来所せずに求職活動ができる環境が整いつつあり、求職者にとっては利便性が向上しています。今後も、テクノロジーの活用と対面支援をうまく組み合わせたハイブリッド型の支援体制が普及し、より多くの求職者にとって利用しやすい環境が整備されることが期待されます。
このように、福岡県および九州地域における令和7年3月時点の雇用情勢は、改善の兆しを見せつつも、業種や地域によってばらつきが大きく、慎重な見極めが必要な局面にあります。企業の採用担当者にとっては、こうした地域別・業種別の動向を細かく把握し、適切な採用戦略を構築することが重要なテーマとなるでしょう。
⇒ 詳しくは福岡労働局のWEBサイトへ