労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 野菜価格、11品目で平年並み推移見通し、業務用調達に追い風(令和7年5月)

2025年5月10日

労務・人事ニュース

野菜価格、11品目で平年並み推移見通し、業務用調達に追い風(令和7年5月)

Sponsored by 求人ボックス

野菜の生育状況及び価格見通し(令和7年5月)について(農水省)

農林水産省は令和7年5月を対象とした野菜の生育状況および価格見通しを、全国の主産地や卸売会社への聞き取りに基づいて取りまとめ、公表した。この調査は、天候の影響を受けやすい青果物の価格動向を事前に把握することで、産地の出荷判断や消費者の購買行動を適正化し、結果的に価格の安定と供給の円滑化を図ることを目的として平成23年から継続的に実施されている。

令和7年5月の価格見通しについては、主要な指定野菜の多くで「平年並み」の水準で推移するとの予測が示された。これは平年、すなわち過去5か年の平均と比較して、出荷量および価格が概ね90%以上110%以下の範囲に収まることを意味している。平年並みと見込まれる品目には、だいこん、はくさい、キャベツ、ほうれんそう、ねぎ、レタス、きゅうり、なす、トマト、ピーマン、ブロッコリーなどが含まれ、青果流通における安定感が期待されている。

だいこんについては、千葉県が全体の79%を占める主産地となっており、冬季の少雨による播種遅れが一部に見られたものの、その後の降雨によって生育は回復基調にある。5月中旬以降には出荷量の増加が見込まれており、全体としては価格も出荷量も平年並みでの推移が予測されている。

はくさいについても主に茨城県が供給の中心で、生育は順調に進んでおり、価格も平年水準での安定が期待される。キャベツに関しては、千葉県や愛知県の生育に若干の遅れや小玉傾向が見られるものの、昨年ほどの不作ではなく、神奈川県産などの補完もあり、全体では平年水準に近い推移が予想されている。ほうれんそう、ねぎ、きゅうり、なす、トマト、ピーマン、ブロッコリーもいずれも主産地の気象条件や生育環境が良好で、供給量・価格ともに大きな変動はなさそうだ。

一方で、価格が平年を上回ると予想されている品目もある。まずにんじんでは、全国シェアの55%を占める徳島県産に加え、千葉県産が増加する見込みだが、徳島県では播種時期の天候不順や冬季の低温・少雨の影響で細物傾向が強まり、切り上がりもやや早まると見られている。千葉県産も少雨の影響で生育遅れが見られることから、両産地の端境が生じ、全体の出荷量は平年を下回る見通しである。そのため、価格は平年を上回って推移すると予測されている。

ばれいしょについても、鹿児島県産は冬季の干ばつと低温の影響により歩留まりが低下し、長崎県産も生育の遅れが見られている。出荷量が平年を下回ることで、価格は上昇する可能性が高い。たまねぎも同様に、北海道産の在庫が減少しており、佐賀県産も小玉傾向となっているため、出荷量が平年を下回り、価格が上昇傾向で推移する見通しが示されている。

さといもについては、埼玉県産の収穫・貯蔵が完了しているものの、残量が平年より少なく、加えて鹿児島県産は生育遅れが報告されている。そのため、出荷量はやや平年を下回り、価格はやや高めに推移する見通しである。

レタスに関しては、5月前半に限っては気温上昇と適度な降雨の影響で生育が順調に進んでおり、出荷量がやや平年を上回る一方、価格はやや平年を下回ると見込まれている。ただし5月後半には出荷量・価格ともに平年並みに戻ると予測されており、大きな変動は見込まれていない。

このように、全体としては供給の安定が見込まれる中で、にんじん、ばれいしょ、たまねぎといった一部の根菜類において、天候要因により生育や収穫に影響が出ている点が注目される。これらの品目に関しては、価格の上昇が予想されるため、食品メーカー、小売業、外食チェーンなどの購買部門においては、調達戦略の見直しや代替品目の検討が求められる可能性がある。

消費者物価指数の動向を見ても、令和7年3月時点で総合指数が111.1、食料の指数が124.2と高止まりしており、消費者の実感としても食品価格の上昇が続いていることがわかる。こうした中で、青果物の価格安定に向けた行政の情報提供と、流通業者や小売事業者の柔軟な対応が重要な役割を果たす。

農林水産省はあわせて、国民の健康維持と野菜消費拡大を目的とした「野菜を食べよう」プロジェクトも展開しており、ビタミン・ミネラル・食物繊維の摂取推進とあわせて、レシピ紹介などを通じて家庭での調理機会を促している。野菜価格の変動に応じて、手に入りやすく、栄養価の高い品目を選ぶことが、消費者にとっても賢い選択となる。

5月における青果物市場は、多くの主要野菜において生育が順調であり、大きな価格変動は少ない見通しだが、特定品目においては供給のひっ迫から価格上昇が予想されている。企業の担当者にとっては、こうした情報をもとに今後の購買戦略や商品設計を再考し、コスト管理と消費者ニーズのバランスを図るための材料として活用することが期待されている。

⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ