2025年5月10日
労務・人事ニュース
2024年の地域別賃金上昇率、最大4%超の県も!人材確保の新常識とは
- 「駅チカ」/准看護師・正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年5月9日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年5月9日 22:32
- 「夜勤なし」/正看護師/オンコールなし
最終更新: 2025年5月9日 22:32
- 看護師/2025年5月9日更新
最終更新: 2025年5月9日 10:15
地域課題分析レポート-地域における賃金の持続的な上昇に向けて- 第1章 地域の賃金・雇用動向(内閣府)
2024年の日本各地における賃金と雇用の実態は、長引く人手不足と経済回復の影響を背景に、大きな変化を見せています。特にフルタイム労働者の賃金は、全国的に上昇傾向が顕著となっており、多くの地域で前年比3%を超える増加が見られました。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」をもとに算出されたデータによると、北関東、四国、九州、沖縄では2024年の10月から12月期にかけて、年初を3%以上上回る水準にまで達しており、過去の水準を大きく更新しています。
このような賃金の上昇傾向は、所定内給与のみならず、決まって支給する給与全体にも同様の傾向が見られ、企業が従業員の確保と定着のために報酬水準の引き上げを進めている実態が浮かび上がっています。都道府県別に見たフルタイム労働者の平均所定内給与では、東京都が月額40万4千円と最も高く、神奈川県や大阪府がそれに続きました。全国平均の前年比増加率は3.8%であり、これを上回ったのは13都県にのぼります。
求人段階の賃金、いわゆる募集賃金も上昇しており、HRog賃金Nowのデータによれば、正社員の募集賃金が前年比4%を超えたのは和歌山県、香川県、宮崎県で、全国的に26都県で前年の伸び率を上回りました。これは単なる一時的な景気回復にとどまらず、労働市場の構造的な変化が背景にあることを示しています。
パート・アルバイトにおいても賃金上昇は著しく、特に最低賃金の改定が大きな影響を与えています。2024年は、過去最大の引き上げ幅を記録し、全国加重平均で51円の増加が実現されました。その結果、パートタイム労働者の時給は多くの地域で大幅に上昇し、北関東、中国、沖縄では年末にかけて4%以上の伸びが確認されました。パート・アルバイトの募集賃金の伸び率に至っては、24府県で4%を超え、島根県や鳥取県では特に高い伸び率が記録されています。
男女間の賃金格差も注目される課題です。2024年の統計では、全国平均で24.2%と、前年の25.2%から1.0ポイントの改善が見られました。中でも沖縄県では16.6%と最も格差が小さく、次いで高知県、京都府が続いています。男女の賃金差が小さい地域では、勤続年数や管理職比率における男女間の差が少ない傾向が確認されており、これが賃金格差の縮小に寄与していることが読み取れます。
一方、雇用の面では、総務省「労働力調査」のデータから、北海道、関東、近畿、九州などで雇用者数が着実に増加していることがわかります。就業者全体で見ると、自営業者の減少と雇用者への移行が進んでおり、雇用形態の変化も見逃せません。
就業環境における有効求人倍率の地域差も縮小傾向にあり、2024年末時点ではすべての都道府県で1.0倍を超える状況となっています。地域によっては求人要因による倍率の低下が見られるものの、これは民間による職業紹介や広告媒体の活用が増え、ハローワーク経由の入職が相対的に減少していることが一因と考えられます。実際に、2012年から2023年の間に、全国でハローワーク経由の入職割合は24%から14%へと減少しており、東北地方では40%から26%にまで低下しました。
民間の求人広告による求人指数を2019年と比較すると、正社員では佐賀県が2倍以上の伸びを示す一方、東北、北関東、北陸、四国、中国などの地方圏では減少傾向にあります。パート・アルバイトに関しては、44都道府県で増加し、9府県では50%以上の上昇が見られましたが、こちらも地方では伸び悩む地域があります。
地域別の人口動態と合わせて見た場合、15歳から74歳までの労働年齢人口は、北海道、東北、北陸、四国、中国といった地方で顕著に減少しており、これは求人指数の低迷とも関連していると考えられます。人口の減少が需要減ではなく、供給側の制約による労働需給のタイト化を招いているという指摘もあります。
注目すべき点として、スポットワークと呼ばれる短時間・単発型の雇用が拡大しつつあり、この領域の求人倍率はハローワークよりも高く推移しています。例えば、2023年12月と比較した2024年12月の全国のスポットワーク求人倍率は0.49ポイント上昇し、3.38倍となっています。これは柔軟な働き方を求める労働者と、即時性の高い人材を必要とする企業のニーズが合致している結果であり、今後の雇用の在り方に影響を与える兆候といえるでしょう。
このように、2024年を通じた地域の賃金と雇用の動向には、景気回復の恩恵だけでなく、人口構造の変化や雇用形態の多様化といった複雑な要因が絡み合っています。企業にとっては、地域ごとの人材確保戦略を練る際に、こうした詳細な傾向を把握しておくことが今後ますます重要になります。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ