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2025年5月5日

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パート時給が令和3年から令和7年2月まで13.2%上昇、平均1,385円が示す採用競争激化の波

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毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果確報 時系列第7表 時間当たり給与(パートタイム労働者)(厚労省)

令和7年2月分の毎月勤労統計調査(確報)において、パートタイム労働者を対象とした時間当たり給与の推移が公表されました。このデータは事業所規模5人以上を対象に、所定内給与を所定内労働時間で割ることで算出されており、実際の労働対価としての水準を示すものです。物価上昇や最低賃金の引き上げが続く中、企業の人件費戦略や採用活動に直接的な影響を与える重要な指標であり、その動向を的確に捉えることが必要です。ここでは、令和3年から令和7年2月までの変化について、詳細に分析していきます。

まず、令和3年のパートタイム労働者における平均時間当たり給与は1,223円となっており、前年比では0.8%の上昇にとどまっていました。この時期は新型コロナウイルスの影響が続いており、企業活動の停滞や非正規雇用の調整が行われる中で、給与水準の伸びは非常に緩やかでした。しかし、経済活動の再開とともに人手不足が徐々に顕在化し、企業側の採用環境にも変化が生まれ始めていました。

翌令和4年には、時間当たり給与が1,242円となり、前年比1.6%の増加が見られました。この時期には、業種によっては採用難が顕著となり、特に飲食業や小売業においては時給引き上げによる人材確保の動きが加速しました。政府による最低賃金の引き上げ方針が全国に浸透し始めた影響も大きく、パートタイム労働者の報酬改善が進展した年であったと言えます。

令和5年になると、その傾向はさらに強まり、時間当たり給与は1,279円に達しました。前年比は3.0%と、前年から約2倍の伸び率となっており、人手不足の深刻化と労働市場における非正規労働者の存在感がより一層増してきたことが背景にあります。この頃には多くの企業が採用の質と量の両面で強化を図り、待遇改善を掲げる企業も目立つようになりました。

さらに、令和6年の年間平均を見ると、1,343円となっており、前年比では5.0%と一段と高い上昇率を記録しています。これは近年の最低賃金の継続的な上昇に加え、物価の高騰が影響した結果でもあります。特に都市部を中心に、パートタイムの時給水準が上がったことで、地方との格差も広がりつつある実態が明らかになってきました。

令和6年の月別データをさらに詳細に見ると、1月は1,337円で前年比3.6%の増加、2月は1,324円で3.8%、3月は1,325円で4.9%、4月は1,315円で3.6%の上昇が見られました。続く5月には1,329円で4.1%、6月は1,335円で4.7%、7月は1,339円で3.7%と、毎月安定的な上昇を記録しています。8月には1,362円で4.8%、9月は1,350円で4.7%、10月は1,357円で4.3%、11月は1,369円で4.5%、そして12月には1,378円と、月末に向けてさらに上昇しました。12月時点の前年比は4.7%と、年末の賞与や年末繁忙期の労働需要が反映された結果と見られます。

令和7年に入ると、この傾向はさらに顕著になり、1月は1,395円で前年比4.3%の増加、2月は1,385円で4.6%という結果になりました。わずか2か月のデータながら、前年同月と比較した際の時給の上昇率は極めて高く、これまでの傾向が引き続き継続していることが確認できます。人材の囲い込みを狙った企業側の競争が激化しており、従業員満足度や定着率を高めるための賃金戦略がより一層重要となっていると言えるでしょう。

このように、令和3年から令和7年2月までを通じて、パートタイム労働者の時間当たり給与は継続的に上昇してきました。1,223円からスタートした時給は、1,385円にまで達し、およそ13.2%の上昇幅を記録しています。特に直近2年間における伸び率が著しく、企業側にとっては単なる時給の引き上げにとどまらず、職場環境の改善や福利厚生の充実など、総合的な雇用戦略が求められています。

採用担当者にとっては、こうした時間当たり給与のトレンドを正しく理解し、自社の給与体系が市場に対して競争力を持っているかどうかを評価することが必要です。とりわけパートタイム労働者の確保が業務の継続性に直結する業種では、今後も時給の見直しが継続的な課題となることが予想されます。また、地方と都市部の賃金格差に配慮した地域別の時給設定や、スキルに応じた評価制度の導入も検討すべきタイミングに来ていると言えるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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