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2025年5月4日

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住宅着工戸数6万戸超で分譲住宅5.1%増、住宅関連職の需要が再拡大

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国土交通月例経済(令和7年4月号)(国交省)

令和7年4月に公表された「国土交通月例経済」は、日本の経済活動全体の動きを建設・交通・観光・貨物輸送などの多様な分野から丁寧に分析したものであり、企業の採用担当者にとっても今後の雇用戦略や人材ニーズを見直すうえで貴重な情報が詰まっています。特に建設分野や観光分野では明確な回復傾向が見られ、これに伴い業界内の人手不足感が一層強まることが予想されます。

まず建設分野においては、2025年2月の元請受注高が6兆314億円となり、前年同月比で6.0%増加しました。公共機関からの受注が1兆6,744億円(同4.8%増)、民間等からの受注が4兆3,570億円(同6.4%増)と、官民問わず建設需要が堅調に推移しています。また、下請受注高も3兆2,381億円で12.4%の増加を記録しており、受注全体の底堅さがうかがえます。これは、都市再開発や老朽化インフラの更新、さらには再生可能エネルギー関連施設の整備といった新たなニーズに基づくものであり、現場対応力やプロジェクトマネジメント力を有する人材への需要がさらに高まることを意味します。

次に住宅着工に関しても、回復基調が鮮明です。2025年2月の新設住宅着工戸数は60,583戸で、前年同月比で2.4%の増加となりました。とりわけ分譲住宅が18,213戸と5.1%増加しており、持家こそ若干の減少が見られたものの、貸家や分譲住宅を中心に需要が戻ってきている様子が明確です。この背景には、住宅ローン金利の安定や、テレワーク普及による郊外住宅への関心の高まりなどがあると考えられます。設計士や現場監督だけでなく、住宅販売やカスタマーサービスなど幅広い職種において人材の確保と育成が求められます。

地域別の動きを見ると、大阪圏では元請受注高が9,208億円と前年同月比15.3%増、住宅着工戸数も10,018戸で14.7%の増加を記録しています。これは万博やIR事業などの大型案件に支えられた結果とみられ、大規模プロジェクトに対応できる体制の整備と、即戦力となる建設技術者やプロジェクトマネージャーの採用が急務であることを示唆しています。一方、東京圏では元請受注高が2兆8,066億円で2.3%の減少、住宅着工戸数は22,254戸で1.2%の微増と、やや落ち着いた動きとなりましたが、それでも依然として高い水準を維持しており、都心部での再開発や高層ビル建設などに対する人材ニーズは根強いままです。

非住宅分野に目を向けると、民間による非居住用建築物の着工床面積は294万㎡で前年同月比5.4%増と堅調に推移しています。中でも倉庫が138万3千㎡で29.1%増と大幅な伸びを見せており、EC市場の拡大や物流施設の自動化に伴う投資が活発化していることが背景にあります。これにより、物流施設設計に詳しい設計技術者や、建設とITを融合したスマート建築の知見を持つ人材が重宝されるようになっています。

建設工事費デフレーターも注目すべき指標のひとつです。2025年1月の建設総合デフレーターは128.4ポイントで、前年同月比で4.5ポイントの上昇となりました。建築・土木ともに物価上昇が続いており、コスト管理の重要性が高まっています。これにより、積算業務や原価管理、発注戦略を担う専門人材の需要が増しており、採用戦略においてはこうした職種への注目度が高まっています。

観光分野では、2025年3月の訪日外客数が350万人と前年同月比13.5%の増加を記録し、うち中国からの来訪者は66万人で46.2%の急増となりました。これに伴い、宿泊業界や観光案内、交通インフラに関連する業種での人手不足が再燃しており、特に語学力や異文化理解に長けた人材が即戦力として求められています。さらに、同年2月の外国人延べ宿泊者数は1,330万人泊に達し、総宿泊者数に占める割合は27.5%にまで拡大しています。これらの数値は、コロナ禍以降の観光業の回復が加速していることを裏付けており、ホテル運営、旅行業、イベント企画といった幅広い職種において、人材の再配置と採用強化が不可避となっている状況です。

また、2024年10月~12月期における日本人国内旅行消費額は6兆4,366億円、訪日外国人旅行消費額は2025年1月~3月期で2兆2,720億円と、いずれも二桁増を記録しています。これらのデータからは、観光需要の回復によって地域経済全体が活性化していることがわかり、地域特化型人材や観光マネジメント人材の育成・確保が急務であることが読み取れます。

以上のように、建設、観光、物流といった主要分野においては明確な回復と成長の兆しが見られ、これらの分野に関連する人材の確保・育成が企業の重要な課題として浮上しています。特に専門技術やマネジメント能力、語学力といった付加価値の高いスキルを持つ人材の確保は、今後の企業競争力を左右する重要な要素となるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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