2025年4月12日
労務・人事ニュース
研究費22兆円超!企業が7割を占める研究開発支出の実態
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最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師/オンコールなし
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 正看護師/介護施設/非常勤・夜勤あり/残業少なめ
最終更新: 2025年5月1日 23:32
- 「時短勤務可」/准看護師・正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年5月1日 22:32
統計トピックス No.144 我が国の企業の研究費 -科学技術週間(4/14~4/20)にちなんで- (科学技術研究調査の結果から)(総務省)
令和7年4月、総務省統計局が公表した科学技術研究調査の結果から、我が国の企業における研究開発活動の現状が明らかになりました。この調査は、日本の科学技術振興を支える重要な統計資料であり、毎年実施されているものです。今回は2023年度の研究費を中心に、その内訳や傾向、産業別の特徴、そして技術貿易に関する動向について詳しく分析されており、特に企業の研究開発における投資の重要性と今後の戦略策定に向けたヒントが数多く示されています。
まず、2023年度における我が国の研究費総額は22兆497億円に達し、前年度から6.5%の増加を記録しました。この数値は、2009年のリーマンショックの影響による一時的な落ち込み以降、全体として増加傾向にあることを裏付けるものであり、2021年度から3年連続の増加となりました。特に注目すべきは、この研究費の約7割を企業が占めており、その金額は16兆1199億円に及んでいます。大学や公的機関、非営利団体など他の研究主体を大きく上回っており、日本の研究開発をリードするのが企業であるという構造が鮮明になっています。
産業別の内訳をさらに詳細にみていくと、製造業が圧倒的な割合を占めており、その構成比は85.9%と非常に高い水準です。中でも、自動車・同附属品製造業は突出した金額を投じており、2023年度だけで5兆4120億円と、全体の38.1%を占めています。次いで医薬品製造業が1兆8400億円、電子部品・デバイス・電子回路製造業が1兆4000億円と続きます。これらの業種は、日本の輸出産業や国際競争力の中核を担う分野であり、研究開発への積極的な投資が技術革新や市場優位性の確保に直結していることがうかがえます。
このような研究開発の動向は、単なる数字の羅列ではなく、企業の将来戦略や人材採用、資本投資に関する意思決定において極めて重要な意味を持ちます。特に、研究開発に力を入れる企業は、中長期的にみて成長可能性が高く、採用においても高度な専門人材を求める傾向があります。理系出身者やエンジニア志望者にとって、こうした企業は魅力的な職場となるため、採用担当者にとってはこれらのデータを踏まえたPR戦略の構築が欠かせません。
また、研究費の推移を長期的にみると、2007年度を基準(指数100)とした場合、自動車・同附属品製造業は178.9、電子部品・デバイス・電子回路製造業は164.0、生産用機械器具製造業が176.8と、それぞれ大幅な伸びを示しています。一方で、情報通信機械器具製造業については大きな伸びが見られず、成長分野としての明暗が分かれる結果となっています。これにより、成長が著しい産業では研究職や開発職のニーズが高まり、雇用動向や人材需給にも変化が生じていると考えられます。
さらに、技術貿易の状況も注目に値します。2023年度における日本全体の技術輸出の対価受取額は5兆476億円であり、そのうち製造業が占める割合は実に93.6%に達しました。とりわけ、自動車・同附属品製造業がその半分以上、57.5%を占めており、技術力をベースとしたグローバル競争での強さが際立っています。逆に技術輸入の対価支払額は6858億円で、最多は医薬品製造業の36.9%となっています。これは、医薬品業界が海外技術に依存する傾向がある一方で、他産業においては技術輸出が主である構造を示しており、今後の技術戦略の方向性を考える上での貴重な材料です。
このように、企業による研究費の支出は単なる内部コストではなく、産業構造の変化、国際競争力の強化、技術立国としての日本の姿を映す鏡となっています。採用担当者にとっては、こうした動向を理解し、研究職・技術職の採用に活かすことが求められます。特に、今後さらに高度化・複雑化が進む製造業や医薬品業界においては、研究開発人材の確保が企業成長の鍵を握ると言っても過言ではありません。
加えて、近年ではオープンイノベーションや産学連携など、企業の枠を越えた協力体制の構築が注目されています。これは研究費の効率的活用と成果の最大化を目指す取り組みであり、今後の研究活動において重要な方向性となるでしょう。統計データから読み取れる動向を的確に捉え、企業としての研究開発戦略を構築することは、単なる経営課題を超えて、社会的責任や持続可能性の確保という観点からも意義深いものとなります。
今回の調査結果は、科学技術週間(4月14日~20日)に合わせて発表されたものであり、我が国が一丸となって科学技術振興に取り組む姿勢の象徴とも言えます。政府・企業・大学が連携しながら、研究開発を通じた社会課題の解決と経済成長を目指す姿勢は、今後の日本の未来を切り拓く鍵となるでしょう。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ