2025年4月26日
労務・人事ニュース
北海道先行き 求人数が前年比マイナス11.3%、7か月連続減少で採用活動に影響広がる(令和7年3月調査)
- 看護師/2025年5月1日更新
最終更新: 2025年5月1日 11:34
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最終更新: 2025年4月30日 22:32
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景気ウォッチャー調査(令和7年3月調査)― 北海道(先行き)―(内閣府)
令和7年3月に実施された景気ウォッチャー調査において、北海道地域の先行きに関する経済見通しは、回復期待と慎重な見方が交錯する複雑な様相を呈しています。観光や建設などの分野では明るい兆しが報告される一方、家計関連分野では物価上昇の影響が深刻化しており、消費者の購買意欲は依然として控えめです。企業活動も業種によって差が大きく、雇用環境では求人数の減少が続くなど、採用市場における不透明感も拭いきれない状況です。こうした地域経済の実態を正確に把握し、採用戦略に反映することが、企業の人材確保にとって今後ますます重要になります。
観光分野では、次年度において北海道に寄港予定のクルーズ客船数が過去最多となる見通しが示されており、これにより春以降の地域経済に対する期待感が高まっています。フェリー輸送も既に前年を上回る予約が入っており、観光業の裾野が広がる中で、宿泊、飲食、小売といった関連業種への波及効果が期待されています。実際に商店街や土産物店では、例年よりも雪の多かった3月にも関わらず、好調な売上が報告されており、今後の観光需要の伸びを見込んだ前向きな声が目立ちます。
また、家電量販店ではエアコンの早期予約が堅調に推移しており、物価高で全体の売上は低調ながらも、一部商品に対する需要の回復が見込まれています。旅行代理店からも、近隣宿泊需要の高まりや、道内観光の動きに対するプラス評価が寄せられており、外からの集客に依存しない地域内需要が徐々に持ち直しつつある様子が見て取れます。
一方で、食品、光熱費、ガソリンなどの基本的な生活コストが継続的に上昇していることから、家計関連の業種では先行きに対して厳しい見方が根強くあります。スーパーやコンビニでは売上が伸びているものの、それは単価上昇によるもので、買い控えによって買上点数は減少傾向です。とくにコンビニでは、来客数の減少や衝動買いの減少が続いており、客は価格を確認しながら必要最低限の購入にとどめる姿勢を強めています。
衣料品専門店でも同様の傾向が見られ、価格転嫁が難しい状況が続いています。低単価商品への需要が集中し、客の節約志向は収まる気配がありません。乗用車販売店でも、新車の価格上昇や金利の上昇が買い替えの抑制要因となり、販売台数は前年と同水準にとどまっており、大きな変化は見られませんでした。
観光型ホテルでは、外国人観光客の一部減少やインバウンド需要の鈍化が報告されており、収益悪化が懸念されています。特に香港などからの観光客数が落ち込んでいること、また外国人観光客の増加がいつまで続くか不透明であることから、雇用拡大には慎重な姿勢が取られています。旅行代理店では、観光バスのドライバーや宿泊施設の人手不足が改善しておらず、これが取扱高に影響を及ぼす懸念があるとしています。
通信業や金融業では比較的前向きな見通しも見られ、例えば金融業では賃上げが中小企業にも広がる兆しや、物価上昇率の鈍化によって消費者マインドの改善が期待されています。また、建設業では新年度予算の成立によって公共工事が着工される見込みであり、設備投資や商業施設建設など、広範囲での経済活動が活発化すると予想されています。加えて、半導体関連企業の進出による波及効果も、来年度前半から顕在化する見込みとされており、地域経済に対する長期的なポジティブ要因も報告されています。
ただし、企業の業績や採用活動に直結する雇用関連では、懸念材料が多く見受けられます。人材派遣会社によると、4月に入ると転職活動が一時的に落ち着くものの、5月以降には再び活発になるとの見通しがあるものの、新規求人数は前年比で11.3%減少し、7か月連続のマイナスという厳しいデータが提示されています。有効求人数についても、23か月連続で前年を下回っており、求人と求職のミスマッチが解消されないまま続いている様子が浮き彫りになっています。
また、物価上昇を上回る賃上げが望みにくいという意見や、中小企業における経営体力の限界を指摘する声も少なくありません。大学や職業安定所からは、景気が上向くような明確な要因が見当たらないという見解が多数報告されており、企業側には採用戦略の柔軟な再構築と、職場環境の改善による人材定着策の強化が求められる状況といえます。
このように、北海道地域の先行きは、観光や建設を中心とした明るい動きが一部にある一方で、消費者の生活防衛志向と雇用環境の停滞が依然として重くのしかかっており、景気の持続的な回復には一定の時間と制度的支援が必要とされる局面にあります。企業の採用担当者にとっては、求職者とのマッチング精度を高めると同時に、賃金や働き方、キャリア支援といった多角的な施策を組み合わせた戦略が、今後の人材獲得において鍵を握ることになるでしょう。
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