2025年4月24日
労務・人事ニュース
非正規労働者の34.5%が待遇改善を実感、賞与支給が最多の36.8%に
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最終更新: 2025年5月2日 08:33
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最終更新: 2025年5月1日 22:32
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「同一労働同一賃金の対応状況等に関する調査」(労働者Webアンケート調査)結果(JILPT)
2025年3月27日に公表された独立行政法人労働政策研究・研修機構による「同一労働同一賃金の対応状況等に関する調査」は、正規雇用と非正規雇用の間に存在する不合理な待遇差の是正に向けた法制度の施行とその影響について、労働者側の意識や実態を把握するために実施されたものである。調査は、インターネット調査会社のモニターを対象とし、2023年9月に国内在住・国内企業に勤務する15歳以上のパートタイム・有期雇用労働者および派遣労働者を対象に実施され、1万人の有効回答が得られている。
まず注目すべきは、同一労働同一賃金ルールや待遇差の説明義務についての認知度である。回答者全体のうち、「詳しく知っている」または「大まかに知っている」と答えた人は34.2%にとどまり、逆に「まったく知らない・わからない」との回答も23.9%を占めた。法施行から数年が経過してもなお、ルールの浸透が不十分であることが浮き彫りになっており、さらなる周知と理解促進の必要性が指摘されている。
次に、2020年4月以降に実際に待遇や労働条件に変化があったかどうかについて、パートタイム・有期雇用労働者または派遣労働者として就労していた8,705人の回答を分析すると、約3割(30.8%)が「新たに支給・適用された待遇があった」とし、加えて1割以上(13.6%)が「既存の待遇が増額・改善された」と回答している。これを合わせると、全体の34.5%、つまり3人に1人を超える労働者が、何らかの前向きな変化を経験していることがわかる。
具体的な待遇内容としては、「賞与・ボーナス」が36.8%と最も多く、「通勤手当(交通費支給を含む)」が29.9%、「定期的な昇給制度」が24.0%と続く。さらに、「時間外、深夜・休日労働に対する手当」(19.4%)や「特定の日に勤務した際の手当」(13.6%)なども一定数見受けられた。これは「同一労働同一賃金ガイドライン」において、特に重視されている待遇差の合理性に関する項目であり、実際の改善がガイドラインに即して進められていることを示している。
また、説明義務の履行状況についても注目すべき点がある。全体のうち、勤め先に待遇差の理由などについて説明を求めたことがある人は8.0%、説明を受けたことがある人は5.4%にとどまり、情報の非対称性が依然として存在していることが分かる。一方で、労働者からの要望がなくとも勤め先が書面等で説明を行ったケースは29.1%に上り、そのうち「すべての内容について納得できた」とする割合は57.5%に達している。説明の有無とその納得度は、職場への満足度にも密接に関連しており、今後の人事制度設計においては説明責任を果たすことの重要性があらためて浮き彫りとなっている。
さらに、勤務先や業務内容に対する満足度についての調査結果によれば、「満足している」と「どちらかというと満足している」を合わせた満足計は55.1%と半数を超え、不満計(18.7%)を大きく上回っている。特に、「法制度を知っている」「待遇改善があった」「説明を受けた」など、労働環境や処遇への透明性と納得感がある層では、満足度が相対的に高い傾向が確認された。なかでも、説明の内容に「すべて納得できた」と答えた層では、満足度が74.7%と飛躍的に高く、一方で「説明を求めたが説明はなかった」と答えた層では不満度が42.2%と顕著に高くなる傾向が見られた。
これらの結果は、同一労働同一賃金の理念が実務上の取り組みにも反映され始めていることを示すと同時に、制度の更なる浸透には企業による自発的な情報提供と丁寧な説明が欠かせないことを示唆している。労働者の納得性と満足度を高めることは、人材の定着やモチベーションの向上にも直結するため、採用や人事の観点からも極めて重要なファクターである。企業にとっては、待遇差の合理性をいかに説明し、共有するかが今後の労務管理における鍵となる。
以上の分析結果は、制度の持続的な運用と改善に向けた重要な示唆を提供しており、特に企業の採用担当者や人事責任者にとっては、自社の制度を見直し、より納得性の高い職場環境を構築する上での指針となるだろう。