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2025年4月23日

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地域経済の活性化にも寄与!自治体と企業が連携したグリーンファイナンス

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「令和6年度版 グリーンファイナンスによる資金調達を行った企業の取組事例」の公表について(環境省)

グリーンファイナンスを活用した資金調達が近年ますます注目を集める中、2025年3月31日、環境省は「令和6年度版 グリーンファイナンスによる資金調達を行った企業の取組事例」を公表しました。本資料は、グリーンボンドやグリーンローン、サステナビリティ・リンク・ローンといった手法を活用し、実際に資金を調達した企業や自治体の具体的な実績とその背景、課題、そして得られた効果を網羅的に取り上げています。特に今回は、中堅・中小企業や地方自治体の事例が中心となっており、今後グリーンファイナンスの利用を検討している組織にとって非常に実践的な内容となっています。

本資料の背景には、パリ協定で掲げられた2050年ネットゼロや2030年度までの温室効果ガス46%削減(2013年比)といった野心的な目標があり、それを達成するためには官民合わせて150兆円規模の投資が必要とされています。このような状況の中、脱炭素化や環境保全を目的とした事業に民間資金を呼び込むための手段として、グリーンファイナンスの役割がますます重要になっているのです。

本資料では、まずグリーンファイナンスの基本的な仕組みや分類が紹介されています。資金使途が明確な「グリーンローン」や「グリーンボンド」といった手法に加え、環境目標の達成度に応じて金利などの条件が変動する「サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)」や「サステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)」も取り上げられています。これらの手法は、単なる資金調達を超えて企業のサステナビリティ経営を加速させる契機となっており、多くの企業がその効果を実感しています。

実際の取組事例としては、京都電機器株式会社によるCO2排出量削減を目標としたSLLの活用が紹介されています。同社は、京都府の「ゼロカーボン・フレームワーク」を活用し、2023年度から2025年度までに合計12.3%の排出削減を目指す取り組みを行っています。外部レビューや検証が自治体主導で提供される仕組みによって、個社での負担が軽減され、実行のハードルが下がったことがポイントとされています。

また、SUMINOE株式会社は、使用済みカーペットをリサイクルして製品化する「ECOS®」プロジェクトに対するグリーンローンを実行。本資金調達を通じて、環境対応型製品の知名度向上や資金需要への対応が可能となったことが報告されています。加えて、資金調達先との連携を深めることで、低金利の実現とともに、ESG評価の向上にもつながったとされています。

大阪府のグリーンボンド事例では、堤防整備や災害防止施設など、気候変動への適応策に資金を充当し、持続可能なまちづくりを進めています。府内でのサステナブルファイナンスの促進に加え、府民へのメッセージとしても効果的であったことが強調されており、公共機関の発行するグリーンファイナンスの波及効果が示されています。

さらに、東洋紡株式会社では、2030年に向けたサステナビリティ・ビジョンに基づき、GHG排出原単位の削減とCDPスコアの向上をSPTsとしたSLBを発行。このように、環境指標に加えて、外部評価機関のスコアを取り入れた先進的なアプローチが注目されています。発行に際してはフレームワークの策定や外部レビューの取得が必要であり、一定の負担が生じたものの、対外的なアピールと長期的なESG評価向上につながるという明確なメリットが得られました。

このように、グリーンファイナンスを実施した企業や自治体の多くは、資金調達にとどまらず、サステナビリティ経営の加速や社会的評価の向上、新たな資金調達基盤の確立といった多方面にわたる恩恵を感じています。一方で、初期の準備段階では、社内の連携や審査プロセスへの対応、情報開示の体制構築といった課題も存在し、それらを乗り越えるためには、外部専門家や金融機関との連携が欠かせません。

今後、グリーンファイナンス市場のさらなる発展には、こうした成功事例の蓄積と共有が鍵となります。本資料のような実践事例の可視化は、これまで取り組みに踏み切れなかった企業にとって、グリーンファイナンス導入の後押しとなるでしょう。特に中堅・中小企業や自治体にとって、実際の調達プロセスや効果、課題を知ることで、自社に合った資金調達戦略を描く手助けとなるはずです。

環境省では、今後もグリーンファイナンスの裾野拡大を目指し、制度整備や情報発信を強化していく方針です。国内外の脱炭素化ニーズが高まる中、企業の競争力強化と社会的責任の両立を可能にするグリーンファイナンスは、持続可能な成長を目指す上で不可欠なツールとなっていくことでしょう。

⇒ 詳しくは環境省のWEBサイトへ

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