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2025年4月22日

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国交省の前払金制度が恒久化、工事資金の25%を管理費に充当可能に

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国土交通省発注工事に関する前金払の使途拡大について ~特例措置を恒久化~(国交省)

令和7年4月2日、国土交通省不動産・建設経済局建設業課は、国が発注する直轄工事における前払金の使途について、これまで時限的に運用されてきた特例措置を恒久化する方針を正式に発表しました。この決定は、令和7年度以降における公共工事の効率的な執行と、建設業界における資金流動性の向上を目的としたものであり、特に中小建設事業者にとっては事業運営の安定性を高める大きな支援となることが期待されています。

国土交通省が行う公共工事では、請負契約が締結された後に一定の割合で前払金が支払われる仕組みが存在します。この前払金は、これまで資材調達費や労務費など、直接的な施工に関わる経費に限定されてきました。しかし、平成28年4月1日以降に締結された新規契約からは、一定の条件下において現場管理費および一般管理費の一部にも前払金を充てることが認められる特例措置が導入されました。この制度は建設現場の実態に即した柔軟な資金活用を可能にし、特に着工初期の資金負担の軽減に効果を発揮してきたため、業界からは恒久化を求める声が多く寄せられていました。

今回の制度改正により、これまで特例扱いだった前払金の使途拡大が恒久化されることで、すべての国交省発注工事において、当該工事に直接関係する現場管理費や一般管理費等にも前払金を使用することができるようになります。これにより、施工体制の構築や安全管理、人材確保、技術者の配置など、現場運営に必要な多くのコストを前倒しで確保することが可能になり、現場の早期立ち上げが促進されることになります。

ただし、この前払金の使途拡大には上限が設けられており、前払金額の25%までが現場管理費や一般管理費に充てられる対象となります。この割合は、建設業界の資金需要と実際の費用構造を踏まえた適切な設定とされており、公共工事の透明性と健全性を確保しつつ、現場の実務に即した運用が期待されています。また、この新たな規定は今後締結される契約だけでなく、すでに締結済みの契約にも適用することが可能ですが、その際には契約内容の変更が必要となるため、発注者と協議のうえで進める必要があります。

この制度改正の意義は、単なる資金の流れを変えるものにとどまらず、建設業界の生産性向上と持続可能な事業運営を後押しするための基盤整備ともいえるでしょう。近年、建設業界では人手不足や資材価格の高騰など、さまざまな構造的課題に直面しています。こうした状況下において、初期段階から適切な資金を確保できる体制が整えば、無理のない工程管理や品質確保、さらには安全対策の充実など、工事全体のマネジメントにも大きな好影響を与えることになります。

また、企業規模の小さい事業者にとっては、前払金の使途が柔軟になることで資金繰りの負担が軽減され、元請けからの支払を待つことなく、初期段階から人件費や現場運営費に充てることが可能になります。特に、若年層の雇用や女性の現場進出など、新たな人材確保に取り組む企業にとっては、経済的な安定が重要な前提となるため、本制度の恒久化は間接的に人材育成や労働環境の改善にも寄与する可能性があります。

国土交通省は、今回の恒久化に伴い、各発注機関や関係団体との連携を強化し、現場での運用がスムーズに進むようガイドラインや説明会の開催も検討しています。また、制度の適用状況や効果についても継続的にモニタリングを行い、必要に応じた改善や補完措置を講じる方針です。

企業の採用担当者にとっても、この制度の恒久化は見逃せないポイントとなるでしょう。建設業においては、入社直後の人材が配属される工事現場の環境が企業の印象を左右する大きな要因です。前払金の使途が広がることにより、現場の安全性や快適性を確保するための初期投資が可能になり、結果として社員の定着率や満足度の向上にもつながります。また、資金繰りに余裕が生まれることで、福利厚生や教育訓練、技術研修などへの投資も積極的に行えるようになり、人材育成における競争力強化にも資することになります。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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