2025年4月18日
労務・人事ニュース
環境省・経産省・農水省が連携、JCM Agencyが切り拓く国際的な気候対策の未来
- 介護職員/初任者研修/有料老人ホーム/デイサービス/日勤のみ
最終更新: 2025年5月1日 03:01
- 機械オペレーション/梱包/ライン作業 格安食堂完備 半導体の製造·検査 年休137日 社宅費全額補助
最終更新: 2025年5月1日 09:34
- 「夜勤なし」/正看護師/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
地球温暖化対策推進法に基づくJCM指定実施機関「JCM Agency(JCMA)」が発足しました(経産省)
2025年4月1日、地球温暖化対策の新たな節目となる制度改革が施行され、同日付で「JCM Agency(JCMA)」が正式に発足しました。これは、令和6年6月19日に公布された「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第56号)に基づく措置であり、改正後の地球温暖化対策推進法および関連する政省令の施行と同時に、新たな指定実施機関が誕生したことを意味します。この指定実施機関として、公益財団法人地球環境センターが任命され、今後は二国間クレジット制度(JCM)の運営主体として、制度の中核的な役割を担うことになります。
JCM、すなわち「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism)」は、日本がパートナー国と協力し、温室効果ガスの削減プロジェクトを海外で実施し、その成果を両国で分け合う形で排出削減量をクレジット化する制度です。これは、日本国内だけでは達成が難しい削減目標を補完する重要な仕組みであり、同時に途上国などにおける低炭素技術の普及・定着にも寄与する国際協力の一環でもあります。従来は、環境省や経済産業省、農林水産省などの関係省庁が個別に業務を担ってきましたが、今回の制度改正により、それらの機能を一元的に管理・調整する機関としてJCMAが発足しました。
この指定実施機関である地球環境センターは、大阪府大阪市鶴見区緑地公園に本部を構えており、これまでにも国際的な環境協力プロジェクトを多数実施してきた実績を有しています。今回の指定により、今後はJCMに関するプロジェクトの登録審査、排出削減量の算定・認証、クレジットの発行手続き、さらにはパートナー国との協議調整に至るまで、制度運営に関するあらゆる事務を一手に担うことになります。このような運営の一元化は、制度利用者にとっての利便性向上と、行政コストの効率化の両面で大きな意義を持ちます。
なお、今回の制度変更により、JCMに関する連絡先も明確化されており、東京都文京区本郷に設置された連絡事務所が問い合わせ窓口として機能します。JCMAという略称は、英語で「The Joint Crediting Mechanism Implementation Agency, designated by the Government of Japan」という正式名称の下、政府指定の実施機関として国際的にも通用するブランドとなるよう意図されています。このような取り組みは、日本の環境外交戦略の一環であり、今後ますます重要性を増す国際的な排出削減の枠組みにおいて、日本の信頼性と存在感を確保する上で極めて効果的な制度運営体制といえるでしょう。
企業や事業者にとっても、JCM制度の安定的かつ透明性の高い運営は、グローバルな脱炭素戦略における新たな選択肢を意味します。特に、海外展開を視野に入れる製造業やエネルギー関連企業にとっては、JCMを活用することで、自社の排出削減努力が国際的に認証され、クレジットという形で評価されることになります。これにより、企業のESG評価や国際的なサプライチェーンでの競争力向上にもつながることが期待されます。
加えて、JCMAの発足は、国内における環境関連人材の雇用機会や専門性の高い職務領域の創出にも寄与する可能性があります。例えば、プロジェクト設計や排出量算定に関わる専門技術者、国際的な交渉・調整を担うコンサルタント、さらにはクレジットの管理に関わる法務・財務系人材など、環境分野における高度な知見と経験を必要とする職務が今後増加することが予想されます。採用担当者にとっては、こうした制度の変化が人材要件にどのような影響を及ぼすのかを把握し、戦略的な採用計画を構築することが求められる局面でもあります。
さらに、JCMを通じて創出されるクレジットは、将来的にカーボンプライシングの市場においても取引の対象となる可能性が高く、その価値は経済的観点からも注目されています。企業が自社の排出削減と同時にJCMに参加することは、将来的な炭素コストへの備えとしても有効な手段となるため、今後はより多くの企業がJCMAを通じた制度活用に関心を寄せることになるでしょう。
このように、JCM Agency(JCMA)の発足は、単なる制度運営の変更にとどまらず、国際協力、企業経営、環境政策の全てに関わる重大な転換点といえます。気候変動対策が経済や雇用、技術革新と密接に関係する時代において、本制度の持つ意義を正しく理解し、適切に活用することが、持続可能な未来に向けた鍵となるのです。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ