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2025年5月20日

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登録セキスペ5万人体制へ!経産省が中小企業支援と人材育成に本格着手

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「サイバーセキュリティ人材の育成促進に向けた検討会最終取りまとめ」を公表しました(経産省)

経済産業省は2025年5月14日、国内における深刻なサイバーセキュリティ人材不足に対応するため、今後の人材育成に関する政策の方向性を示した「サイバーセキュリティ人材の育成促進に向けた検討会最終取りまとめ」を公表しました。2023年の民間調査によると、日本国内では約11万人ものサイバー人材が不足しているとされており、経済産業省はこの課題を国家的な問題と捉え、多面的な施策を通じて解決を図る方針です。

今回の最終取りまとめでは、特に中堅・中小企業におけるセキュリティ対策の遅れや人的リソースの不足に焦点を当て、その支援策として国家資格である情報処理安全確保支援士、いわゆる「登録セキスペ」の活用を軸に据えています。2025年4月時点でおよそ2万4000人にとどまっている登録セキスペの人数を、2030年までに5万人にまで倍増させるという明確な数値目標が掲げられています。この目標達成に向けては、既存制度の見直しや新たな教育プログラムの導入が図られる予定です。

特筆すべきは、「セキュリティ・キャンプ」のさらなる拡充です。これは、AIなどの先端分野とサイバーセキュリティを掛け合わせた高度人材を育成する特別プログラムで、これまでに約1,200名の修了生を輩出してきました。今後は、25歳以下の学生や未就業者を対象にした「セキュリティ・キャンプ コネクト」の新設を通じ、若年層へのアプローチを強化します。また、修了生が継続的にスキルを磨き、社会で活躍できる場として、専門的なコミュニティも整備される予定です。

さらに、中堅・中小企業が抱える「どこから始めればよいかわからない」「費用をかけられない」「相談先がない」といった実態に即した支援も打ち出されました。具体的には、登録セキスペの専門分野や支援実績などを可視化した「アクティブリスト」が整備され、このリストを活用することで、企業は効率的に専門人材とマッチングできる仕組みが構築されます。2025年度中にはこのリストの運用が開始される見込みであり、企業が抱えるセキュリティ課題に対する的確な助言や支援を得ることが可能になります。

資格更新制度にも新たな動きがあります。従来、登録セキスペには3年ごとの講習受講が義務付けられており、その費用は10万円以上になることもありました。しかし今後は、一定の実務経験を有する者に対しては講習を「みなし受講」と認定する制度が導入され、2026年度中の制度開始が予定されています。これにより、実務に即した知識と技能を持つ人材の資格維持にかかる負担が大きく軽減されることになります。

また、中堅・中小企業に向けた人材確保・育成の実践的方策として、段階的にセキュリティ対策を進めるための「実践的方策ガイド(β版)」も策定されました。このガイドは、企業が自社の成熟度に応じて取り組むべきセキュリティ対策を4段階に分類し、対応する人材の確保策までを丁寧に示しています。具体的なタスクや教育教材、参考となる資格制度の紹介も含まれており、現場での実践に直結する内容となっています。

一方で、セキュリティ対策そのものの「必要性を感じていない」とする中小企業が全体の47%に達している現実も浮き彫りになっています。また、社内に専門部署がない企業は70%、従業員教育を実施していない企業が64%にのぼるなど、対策以前の問題が根強く残っていることも指摘されています。こうした現状に対し、ガイドラインの普及や外部専門人材の紹介、支援機関による伴走型支援など、多角的なアプローチによる改善が進められます。

加えて、国が認定した「サイバーセキュリティお助け隊サービス」も重要な施策のひとつとして位置付けられています。これは、監視や駆付け、保険といった最低限のセキュリティ対策をパッケージで安価に提供する仕組みであり、中小企業が初期の対策を着手するきっかけとなることが期待されています。

経済産業省は今後も、産学官の連携を深めながら、セキュリティ人材の「質」と「量」の両面からの強化を進めるとしています。特に企業の採用担当者にとっては、これらの施策を通じて将来的に即戦力となる人材を確保しやすくなることが期待されるでしょう。セキュリティ対策は、企業の存続と信用を守るための基本であり、今後の採用戦略においても重要な要素となることは間違いありません。

⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ

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