2025年5月19日
労務・人事ニュース
朝食を摂る子どもは97.7%、生活リズムが将来の労働力に与える影響とは
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第14回21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児)の概況 こどもの朝食のとり方(厚労省)
近年、子どもの生活習慣や健康状態に関する調査は、教育現場や保健分野に限らず、企業の人材育成や職場環境整備にも関連性があるとして注目されています。厚生労働省が継続して行っている「21世紀出生児縦断調査」は、その中でも信頼性の高いデータを提供する重要な調査であり、今回は平成22年に生まれた子どもを対象とした第14回調査結果が発表されました。中学2年生という思春期真っ只中の子どもたちを対象に、日常生活の一部である「朝食の摂取状況」に焦点を当てた分析は、子どもたちの健康管理はもちろんのこと、将来の労働力の質を左右する生活基盤の実態を示しています。
今回の調査によると、平成22年出生児のうち朝食を「食べる」と答えた割合は97.7%に上り、極めて高い水準を維持しています。これは平成13年に生まれた子どもたちとほぼ同様の傾向を示しており、日本における朝食習慣の定着ぶりを裏付ける結果となっています。さらに、朝食を摂る子どもたちのうち、「いつもバランスよく食べている」と答えた割合は37.1%にのぼり、3人に1人以上が主食・主菜・副菜の揃った食事を心がけていることがわかります。この割合は平成13年出生児と比較しても高く、食育の成果が着実に表れていることを示唆しています。
一方で、朝食を「食べない」と答えた子どもたちも一定数存在しており、その割合は平成22年出生児で2.8%でした。この割合は一見低く見えるかもしれませんが、全国規模で見れば数千人規模となるため、軽視できる数字ではありません。さらに、朝食を食べない理由として最も多かったのは「朝は食欲がない」であり、その割合は14.5%に達しています。これは平成13年出生児の同様の調査結果と比べて6.2ポイント高くなっており、子どもたちの生活リズムや体調管理における新たな課題を浮き彫りにしています。逆に「食べる時間がない」との回答は減少傾向にあり、これは保護者の意識向上や通学環境の改善によって、時間的余裕が確保されていることを反映していると考えられます。
さらに詳細な分析では、朝食を食べない子どもたちの起床時間にも世代間の差が見られます。平成22年出生児では、「起きる時間が決まっていない」と答えた割合が12.7%に達しており、これは平成13年出生児の8.4%と比べて4.3ポイント高い結果です。これは生活習慣の乱れや睡眠の質の低下が、朝の食欲の欠如に結びついている可能性を示しています。家庭内での生活リズムの再構築や、睡眠時間の確保が求められる現状が明らかになったといえます。
加えて、朝食を食べない子どもたちが日中、特に放課後から就寝までの時間帯に何を摂取しているかについても興味深いデータが示されています。例えば、「お菓子を食べる」と答えた割合は平成22年出生児で82.2%に達し、平成13年出生児の76.5%を上回る結果となっています。氷菓子に関しても同様に68.6%と高く、前世代と比較して7.1ポイントの上昇が見られました。これらの数値からは、朝食を抜いた分のエネルギー補給が間食に依存している実態が浮かび上がります。特に糖質や脂質を多く含む食品に偏ることは、将来的な健康リスクにつながるおそれがあり、食生活の見直しが求められます。
このような調査結果は、企業にとっても無関係ではありません。なぜなら、現在中学生である子どもたちは、10年後には労働市場に参入する未来の労働力であり、その基盤となる健康状態や生活習慣は、将来的な労働生産性に大きく影響を与えるからです。採用担当者にとっては、従業員の健康だけでなく、これからの世代がどのような生活環境で育っているかを把握しておくことが、人材戦略を立てる上での重要な視点となります。
また、今回の調査結果は、企業が取り組むべき社会貢献活動や次世代支援の方向性にもヒントを与えます。たとえば、子育て支援や地域への食育活動、学校への出前授業の実施などを通じて、健康な生活習慣を社会全体で支えていく姿勢を示すことで、企業ブランドの信頼性を高めることが可能です。さらに、従業員の家族を対象とした健康支援制度の充実も、間接的に将来の労働力育成へとつながる投資と位置づけることができます。
このように、厚生労働省の縦断調査は単なる統計資料にとどまらず、企業経営や採用戦略においても活用すべき貴重な情報資源です。特に長期にわたり同じ対象を追跡していることから、短期的な流行や一過性の現象ではなく、根本的な生活習慣や環境の変化を把握することができ、より本質的な課題に対する対応策を考える上での基盤となります。
未来の従業員がどのような生活背景を持って成長してきたのか。その答えを知る手がかりは、こうした公的調査にこそ存在します。企業は今後もこうした信頼性の高いデータに基づいて、自社の人事施策やCSR活動の方向性を見直し、持続可能な社会に貢献する経営戦略を築いていくべきでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ