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2025年5月17日

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歯科医療費が令和6年12月単月で2.6%増加、1日あたり3.8%上昇が企業保険料に及ぼす影響

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最近の歯科医療費(電算処理分)の動向(令和6年度12月号)(厚労省)

令和6年12月時点における歯科医療費の動向は、企業の採用活動や従業員の健康管理体制に影響を与える要素として注目されるべき内容です。厚生労働省が発表した電算処理分によるデータによれば、同月の歯科医療費は前年同月比で2.6%の増加となりました。これは歯科受診延日数が1.2%の減少となる一方で、1日当たりの医療費が3.8%増加していることが背景にあります。この傾向は、診療件数は微増または横ばいでも、医療行為の単価が上昇していることを意味しており、結果的に企業が負担する健康保険料の上昇にもつながる可能性があります。

制度別に見ると、被用者保険における歯科医療費の増加率は3.3%でした。特に共済組合に属する被保険者の医療費は前年比で最大8.6%もの増加を見せており、公的な職種に従事する層において医療費負担の拡大が顕著になっています。逆に、国民健康保険においては2.7%の減少が見られ、被用者保険とは対照的な動向を示しました。後期高齢者医療制度では6.1%の増加が記録され、高齢者層の歯科医療需要が依然として高いことがうかがえます。これらの数値は、企業が対象とする労働力人口の構成に応じて、今後の医療費負担の見通しや福利厚生制度の調整が必要となることを示しています。

医療機関の種類別で見ると、歯科病院の医療費増加率は8.0%と最も高く、歯科診療所は2.3%の増加にとどまりました。これはより専門的な治療や高額な技術料が発生する病院に受診が集中している傾向を示しています。企業の健康保険組合などが契約する医療機関の種類により、同じ歯科治療でも費用構造が大きく異なるため、この点も福利厚生設計の観点からは無視できない要素です。

地域別に歯科医療費の増加率を見てみると、石川県が5.1%と最も高く、愛媛県が0.7%の減少で最も低くなっています。この地域差は、人口構成や医療提供体制、地方自治体の健康施策などが複雑に絡み合った結果であり、多拠点に展開する企業では、地域ごとの医療費増加リスクを見据えた保険料調整や健康支援策が求められます。

年齢別に見た場合、最も医療費の伸び率が高かったのは95歳以上100歳未満の層で12.6%の増加でした。逆に、70歳以上75歳未満の層では5.8%の減少が見られました。また、全年齢平均の医療費の増加に比して高齢層の伸びが目立つことから、今後高齢者の雇用が進むにつれ、企業としても高齢従業員の口腔ケア支援や定期検診制度の強化が不可欠になると考えられます。

歯科疾患別では、歯周炎等の医療費が2.7%増、歯肉炎が3.3%増、う蝕(虫歯)は1.7%増加する一方で、補綴治療に関する医療費は1.4%の減少、根尖性歯周炎(歯根膜炎)なども2.4%の減少という結果でした。このことから、予防的な処置や軽度の疾患への対応が中心となっていることがわかりますが、依然として歯周病関連の医療費が高い比率を占めている点は、生活習慣や職場環境が歯科疾患に与える影響が強いことを示唆しています。特にストレスや食生活が影響する歯周病は、働き方の質に直結する疾患であるため、企業としても衛生管理や従業員への教育プログラムが重要となります。

診療内容別では、処置の項目が6.7%の増加と最も高く、検査・病理診断が5.1%、医学管理が1.6%の増加という結果となりました。一方で、歯冠修復および欠損補綴は0.9%の減少、初診も1.1%の減少でした。これは再診が多く、継続的な治療が主流となっていることを示しており、早期発見・早期治療の重要性が高まっていることを意味します。

また、歯科用貴金属の使用に関連する医療費では、金銀パラジウム合金の使用が前年比で9.8%の減少となり、銀合金第1種が2.7%増、第2種が5.9%減という結果が示されました。貴金属価格の高騰や材料の選択肢の多様化が背景にあると考えられ、企業が提供する歯科保険プランにおいても、補綴材の選択肢と費用負担に関する説明責任が重要になる局面です。

以上のような歯科医療費の動向は、企業が人材を採用・育成する際の健康支援方針や、保険料の設計、福利厚生の見直しに直接的な影響を与える情報です。従業員の健康状態は業務効率や生産性、そして職場の定着率にも直結するため、医療費の構造や変化を正確に理解することが、長期的な企業の成長戦略に欠かせない要素となっています。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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