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2025年5月16日

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所定内労働時間122.3時間で2.8%減、時間管理が鍵となる新時代の人事戦略(毎月勤労統計調査 令和7年3月分結果速報)

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毎月勤労統計調査 令和7年3月分結果速報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)

2025年(令和7年)3月における毎月勤労統計調査の速報結果から、日本の労働市場における時間的な働き方の実態が明らかになりました。今月のデータは、総実労働時間、所定内労働時間、所定外労働時間、そして出勤日数という4つの主要指標を軸に産業別で集計されており、企業の採用戦略や労務管理の方向性を検討するうえで極めて参考となる内容となっています。

まず就業形態全体における全産業平均では、1人当たりの総実労働時間が132.4時間となり、前年同月比で2.9%の減少となりました。これは働き方改革や労働時間の抑制政策の影響を受けた結果とも読み取れ、昨今のワークライフバランス志向の強まりが数字にも表れていると考えられます。この総実労働時間には、通常の勤務時間に加え残業や休日勤務などの所定外労働も含まれており、労働者が実際に企業に拘束されていた総時間を反映しています。所定内労働時間は122.3時間で、こちらも前年同月比で2.8%の減少となっており、残業などの削減と合わせて労働全体のスリム化が進んでいることが示されています。特筆すべきは、所定外労働時間が10.1時間で前年同月比3.8%の減少となっている点です。これは企業側が長時間労働の是正に一定の成果を上げている証左であり、従業員の健康や生産性向上への取り組みが反映されている結果と言えるでしょう。

出勤日数に関しては平均17日で、前年同月比では0.5日の減少となっています。月ごとの営業日数や休日の配置による影響もありますが、それ以上に有給休暇の取得促進や週休制度の見直しなどが浸透してきている背景が読み取れます。企業の採用担当者にとっては、働きやすい勤務体系や柔軟な出勤制度を導入することで、より広い層の求職者にアピールできることを示唆する数値でもあります。

産業別に見ると、最も総実労働時間が長かったのは「鉱業、採石業等」で164.7時間、次いで「建設業」が158.8時間、「製造業」が152時間となっています。これらの産業は業務の特性上、現場における物理的な作業が多く、時間的拘束も長くなる傾向にあります。しかしながら、「鉱業、採石業等」は前年同月比で8.2%の増加を記録しており、全産業の中で唯一大きく労働時間が増加した分野となっています。特に所定内労働時間が150.4時間と10.9%増加していることから、繁忙期や人手不足の影響が大きかったことがうかがえます。一方で所定外労働時間は14.3時間で、こちらは13.3%の大幅減少となっており、定時内での業務量増加がその背景にあると推測されます。

「建設業」では総実労働時間が158.8時間と高水準ではあるものの、前年同月比では1.8%の減少を示しています。所定内労働時間は144.6時間で2.3%の減、所定外労働時間は14.2時間で前年から2.9%の増加となりました。この結果から、通常業務の時間が短縮される一方で、繁忙期の対応や納期調整による残業の必要性が高まっている実態が見て取れます。「製造業」においても、総実労働時間は152時間と比較的長く、前年同月比では2.8%の減少です。所定内労働時間が138.4時間で3.2%減、所定外労働時間は13.6時間で前年から変化はありませんでした。この結果は、製造業における生産調整や自動化の進展が労働時間の安定化に寄与している可能性を示しています。

一方、「情報通信業」では総実労働時間が141.7時間で、前年同月比では3.4%の減少となっています。特に所定外労働時間が7.8時間と他産業に比べて低く、前年同月比でも3.7%の減となっており、IT業界においても長時間労働の是正が進んでいることが明らかです。さらに「学術研究、専門・技術サービス業」では、所定外労働時間がわずか5.5時間にとどまっており、これも働き方改革の成果が出ている分野の一例といえます。

これらの結果から見えてくるのは、全体的に労働時間は減少傾向にあり、企業ごとの取り組みによってその進度に違いがあることです。特に採用活動においては、応募者が重視する要素が「給与」から「労働環境」や「柔軟な勤務制度」へとシフトしている現代において、労働時間の削減や出勤日数の調整といった施策は、人材獲得競争を勝ち抜くための重要な要素となります。労働時間の短縮は同時に従業員の満足度や定着率にも寄与するため、企業の長期的な競争力向上にもつながります。

また、労働時間の動向は生産性や業務効率と密接に関係しています。単に時間を短くするだけではなく、その中でいかに成果を上げるかという視点が、今後の人事戦略や評価制度においても重要となってくるでしょう。特に働き方の多様化が進む中で、フレックスタイム制やリモートワーク制度など、時間の使い方そのものに対する柔軟性が、優秀な人材を惹きつける大きな要因となりつつあります。

以上のように、2025年3月の勤労統計からは、労働時間に対する社会的な価値観の変化や、企業側の意識改革が少しずつ形となって現れていることが読み取れます。採用担当者にとっては、こうしたデータを正確に理解し、自社の人事戦略に反映させることが、これからの採用活動の成否を左右するカギとなるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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