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2025年7月3日

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脱脂粉乳とバターの輸入枠13.7万トンを据え置き、令和7年度もWTO基準を堅持

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令和7年度のバター及び脱脂粉乳の輸入枠数量の検証について(農水省)

令和7年6月20日、農林水産省より、令和7年度におけるバターおよび脱脂粉乳の輸入枠数量に関する方針が改めて示されました。今回の発表によると、これらの輸入枠は、従来と同様にWTOで約束されている最低数量に据え置かれ、品目ごとの内訳についても変更が行われないこととなります。これは、国内の需給バランスを重視した政策判断に基づいており、乳製品業界にとって今後の生産や流通に対する予測と計画の指針ともなります。

日本では、バターや脱脂粉乳といった乳製品の輸入において、国家貿易方式が採用されています。具体的には、独立行政法人である農畜産業振興機構が輸入を担い、国内の需給状況を踏まえて輸入量を調整する仕組みです。これにより、国内生乳の生産や販売に悪影響が及ばないよう慎重な運用が求められてきました。毎年1月には翌年度全体の輸入枠が公表され、その後、年2回(主に5月と9月)を目安に、枠の見直しが行われることとなっています。

足元の需給状況に目を向けると、脱脂粉乳については、ヨーグルトなどの加工品の需要が伸び悩んでいる一方で、バターは業務用を中心に安定した需要を維持しています。しかしながら、乳価の改定によってバターの価格が上昇しており、これが市場での流通量に一定の影響を及ぼしていることが指摘されています。業界団体や関係者の見通しによると、令和7年度におけるバターの流通量は前年度実績を下回る可能性があるとされており、この傾向は販売計画や在庫調整の面で注視すべき要素です。

また、生乳の生産動向についても変化がみられます。今年1月時点で業界が予想していた水準を上回る生産が続いており、その結果として、令和7年度末のバター在庫量は前年度末を上回ると見込まれています。こうした背景を踏まえ、農林水産省は、輸入によって国内市場に過剰な供給が生じるリスクや、逆に小売現場での欠品が発生するリスクのいずれについても、現時点では評価が分かれる段階にあると判断しました。

そのため、今回の決定では、輸入枠の数量について、WTOにおいて義務付けられているカレントアクセス、すなわち生乳換算で年間13万7千トンという最低水準に据え置かれています。これは、日本が国際的な貿易ルールを遵守しつつ、国内の酪農産業や食品産業に与える影響を最小限に抑えるためのバランスを重視した対応です。品目ごとの具体的な内訳も現状維持とされ、関係者にとっては、安定した市場運営が期待される内容となっています。

今後の入札スケジュールについては、農畜産業振興機構が設定した輸入枠数量を分割して実施する形がとられます。バターについては基本的に毎月入札が行われ、脱脂粉乳に関してはその時点での需給状況に応じて、柔軟に入札が組まれる予定です。このような運用は、市場の変化に迅速に対応しつつ、輸入の透明性と安定性を確保するための重要な仕組みといえるでしょう。

特に食品製造業や流通業に携わる企業にとっては、これらの輸入枠の動向は、仕入れコストや製品価格に直結する重要な指標となります。政府が市場の安定を重視し、慎重な輸入政策を維持することは、業界全体のリスクマネジメントにも貢献すると考えられます。また、生乳の生産が上振れ傾向にある中で、需給全体を適切に調整する仕組みが継続されることは、酪農家の経営にも安心感をもたらす要因となるでしょう。

このように、今回の農林水産省による輸入枠数量の検証結果は、国際的な約束と国内の安定供給を両立させる形で示されたものです。特に令和7年度においては、価格動向や需要の変化が顕著になる可能性があることから、今後の動向を継続的に観察していく必要があります。食品関連の企業にとっても、原材料の調達戦略や価格交渉において、このような政府の発表は重要な参考情報となります。

⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ

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