2025年6月30日
労務・人事ニュース
水産加工業者の生産能力は70%が回復も、売上回復は52%にとどまる現状(復興状況アンケート 第12回)
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水産加工業者における東日本大震災からの復興状況アンケート(第12回) の結果について(水産庁)
令和7年6月13日、水産庁は東日本大震災からの水産加工業者の復興状況について第12回目となるアンケート調査の結果を発表しました。この調査は、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県の6県に所在する水産加工業者を対象に、令和6年12月から令和7年4月の期間にかけて実施され、全国水産加工業協同組合連合会や日本かまぼこ協会、全国珍味商工業協同組合連合会傘下の団体に所属する786社を対象に行われました。最終的には212社から回答を得て、回収率は27%にとどまりましたが、復興の進捗や課題について貴重な実態が明らかとなりました。
調査結果によると、生産能力の回復状況では、全体の70%の企業が「8割以上回復した」と回答しました。これは前回調査(第11回)の71%からやや低下したものの、高水準を維持しています。しかしながら、売上に関しては依然として厳しい状況が続いており、全体で8割以上売上が回復した企業は52%にとどまりました。これは前回の50%から若干の改善が見られたものの、生産能力の回復スピードに対して売上の回復が追いついていない現状を示しています。
県別に見ると、千葉県では生産能力の回復率が100%となり、茨城県74%、青森県78%、岩手県77%、宮城県68%と比較的高水準である一方、福島県は53%と依然として低迷しています。売上の回復率も福島県が38%と最も低く、他県に比べて顕著な遅れが見られました。県別の課題に着目することで、今後の復興政策においては地域ごとの対応の柔軟性が求められると考えられます。
企業規模別にみても、売上の回復状況には顕著な差が現れました。資本金5千万円以上の企業では60%が売上を8割以上回復しており、資本金1千万円以上5千万円未満では56%、1千万円未満では40%にとどまりました。このことから、企業規模が小さいほど売上の回復が遅れる傾向にあり、特に零細企業にとっては資金調達や販路の確保といった経営基盤の脆弱さが依然として深刻な課題となっていることがうかがえます。
売上が回復した理由としては、新規販売チャネルの開拓が56%、新商品・新ブランドの開発が54%、既存販売チャネルの強化が44%とされており、震災を契機に販売手法や商品構成の見直しを進めた企業が成果を上げていることがわかります。一方で、売上が震災前の水準に戻らなかった理由としては、原材料の不足が56%、販路の不足・喪失が35%、人材の不足が34%とされており、これらの課題が経営再建の大きな障壁となっている実態が浮き彫りとなっています。
また、調査では水産業復興販売加速化支援事業を活用した事業者が153社(全体の72%)存在し、そのうち85%が「販路回復につながった」と回答しました。この事業では、機器整備への助成(補助率2/3)や、東北復興水産加工品展示商談会への参加支援、販路回復アドバイザーの派遣などが行われており、とくに機器整備の助成が63%と最も効果的だったと報告されています。
今後、売上を伸ばしていくために重要と考えられている取り組みとしては、原材料の確保が74%、販路の回復・開拓(国内)が69%、人材の確保が64%、生産性向上・省人化の推進が60%とされており、経営の持続可能性を高めるための包括的な戦略が求められていることが明らかになりました。
特に人材面においては、正社員の確保が84%と高い関心を集めており、外国人技能実習生や特定技能外国人の活用も検討されていることから、多様な人材戦略の構築が今後の成長のカギとなることが示されています。
この調査結果は、震災から10年以上が経過する中で、表面的には復興が進んでいるように見えても、経済的な自立や安定にはなお長期的な支援が必要であることを裏付けるものです。企業の採用担当者にとっても、このようなデータは地域企業の現状や支援ニーズ、人材要件などを把握する貴重な手がかりとなります。人材を軸とした経営改善が今後の鍵となるなかで、地元との連携や政策の活用に長けた人材の採用・育成がますます重要になるでしょう。
⇒ 詳しくは水産庁のWEBサイトへ