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2025年6月25日

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3か月後方移動平均が0.27ポイント減少、雇用の安定は続くのか(景気動向指数 令和7年4月分速報)

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景気動向指数(令和7年4月分速報)(内閣府)

令和7年4月分の景気動向指数(CI)速報によれば、日本経済の現状について複雑な側面が浮き彫りとなっています。内閣府経済社会総合研究所が6月6日に発表した資料によると、先行指数は103.4、一致指数は115.5、遅行指数は112.5となりました。これらの指数は、2020年を基準(=100)とした指標であり、経済の先行き、現在の状態、そして過去の動向をそれぞれ示すものです。今回の速報では、先行指数と一致指数が下落を続けている一方で、遅行指数が上昇を維持しているという対照的な結果が見られました。

特に注目すべきは先行指数の推移です。4月の先行指数は前月比で4.2ポイント低下しており、これで3か月連続の下落となります。また、3か月後方移動平均は1.56ポイントの低下、7か月後方移動平均も0.75ポイントの低下となっており、先行指数全体として下向きのトレンドが続いていることがわかります。これは将来の景気が減速する兆候として、企業にとっては設備投資や新規雇用の判断に影響を与える可能性があります。

一致指数に目を向けると、4月は前月比で0.3ポイントの減少となり、2か月連続の下落となりました。3か月後方移動平均でも0.27ポイントの減少を記録しており、こちらも2か月続けて下がっています。ただし、7か月後方移動平均については0.16ポイントの上昇となり、これで9か月連続のプラス推移です。この結果を踏まえて内閣府は「一致指数は下げ止まりを示している」との基調判断を維持しています。これは、景気の現状について一時的な弱含みがあるものの、全体としては大きく崩れていないことを示唆しています。

遅行指数に関しては、前月比で1.3ポイント上昇し、2か月連続のプラスとなりました。3か月後方移動平均も0.44ポイントの上昇で7か月連続、7か月後方移動平均では0.62ポイントの上昇で15か月連続のプラスとなっています。これらの数値は、過去の経済活動の成果が遅れて現れることを示すものであり、たとえば雇用や利益などのデータが景気の底堅さを支えている可能性を示唆しています。

一致指数の個別項目を見ると、特に「投資財出荷指数(除く輸送機械)」と「輸出数量指数」のマイナス寄与が全体の押し下げに影響を与えました。投資財出荷指数は前月から3.3ポイント低下し、98.6となりました。これにより一致指数への寄与度はマイナス0.41ポイントと大きく、企業の設備投資意欲の減退が懸念されます。輸出数量指数も前月比で1.8ポイントの減少となり、マイナス0.21ポイントの寄与度となっています。これは外需の減速を示しており、海外市場の変動が国内景気に与える影響の大きさを物語っています。

一方で、耐久消費財出荷指数は前月から2.2ポイント上昇して104.0となり、プラス0.21ポイントの寄与を示しました。また、鉱工業用生産財出荷指数も1.6ポイント上昇し、プラス0.27ポイントの寄与を記録しています。これらは内需の一部が堅調に推移している可能性を示しており、すべての分野で一様に悪化しているわけではないことを物語っています。

雇用関連の指標である有効求人倍率(除学卒)は1.26倍で前月と変わらず、マイナス0.02ポイントの寄与となりました。また、労働投入量指数も前月比でやや減少していますが、寄与度としてはプラス0.01ポイントとわずかです。このことから、雇用環境は大きな変化なく推移しており、企業側としては急激な雇用調整には至っていないことがうかがえます。

このような指標の変化は、企業の経営判断にとって極めて重要です。たとえば、生産指標や投資関連のデータが下降傾向を示す中で、どのようにして今後の設備投資や新規採用を進めていくのか、戦略の見直しが迫られる場面も少なくないでしょう。特に、投資財出荷指数のように企業活動の未来を映し出す指標が大きく落ち込んでいる場合、慎重な意思決定が求められます。

さらに重要なのは、景気の転換点を見極める基準となる「局面変化」の指標です。今回の基調判断では、3か月後方移動平均と7か月後方移動平均の変化方向およびその累積の傾向が用いられています。たとえば、「改善」とされるためには3か月以上連続して3か月後方移動平均が上昇し、当月の前月差もプラスでなければなりません。一方、「悪化」と判断されるには、3か月以上連続して後方移動平均が下降し、かつ当月の前月差もマイナスであることが求められます。こうした厳密な基準の下で、今回の一致指数は「下げ止まり」と判断されたのです。

このように、景気動向指数の変化は一つひとつの数字に意味があり、企業活動に直結する情報を含んでいます。採用担当者や経営層がこのデータをどのように活用するかによって、企業の未来が左右されると言っても過言ではありません。たとえば、今後の景気後退リスクに備えて採用計画を見直す、あるいは堅調な部門に注力して人材を集中させるなどの戦略が考えられます。最新の統計を的確に読み解き、戦略的な意思決定を行うことが、今後の企業経営においてますます重要となるでしょう。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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