労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 港湾工事のCO₂排出量約2割を占める作業船にFAMEとGTL導入、国交省が削減効果を検証

2025年7月16日

労務・人事ニュース

港湾工事のCO₂排出量約2割を占める作業船にFAMEとGTL導入、国交省が削減効果を検証

Sponsored by 求人ボックス

作業船への次世代燃料導入効果の検証を行います ~カーボンニュートラルポートの形成に向けて~(国交省)

令和7年6月30日、国土交通省港湾局は、港湾工事に使用される作業船の脱炭素化に向けた新たな取り組みとして、次世代燃料の導入効果を検証する試行工事を開始すると発表しました。これは、2050年カーボンニュートラルの実現を目指す国の方針に基づいた施策の一環であり、特にカーボンニュートラルポートの形成に直結する重要な取り組みです。

今回の試行工事では、港湾工事に不可欠なグラブ浚渫船や起重機船といった作業船に、従来の軽油に代えて次世代燃料であるFAME(廃食油由来のバイオディーゼル)およびGTL(天然ガスから合成された液体燃料)を使用し、その燃焼による二酸化炭素の排出量削減効果を検証します。これらの燃料は、既存の内燃機関でも使用可能でありながら、二酸化炭素排出量を大幅に低減できる可能性があるため、持続可能な港湾整備を進めるうえで非常に有望な選択肢とされています。

港湾局によると、直轄港湾工事において排出される二酸化炭素のうち、作業船からの直接排出が全体の約2割を占めているとのことです。そのため、作業船の燃料転換は、港湾全体の排出削減効果に大きなインパクトをもたらすと見込まれています。今回の検証では、同条件下で通常燃料と次世代燃料を使用して作業を実施し、それぞれの燃料消費量と二酸化炭素排出量を比較します。この結果に基づき、燃料効率やコスト、整備上の課題、運航上の制約などを総合的に評価する方針です。

試行工事は令和7年7月1日以降に公告される港湾工事から順次実施され、受注者の希望に応じて対象作業船に次世代燃料を使用できる方式が採用されます。さらに、燃料の変更に伴って必要となる船舶の改造費やタンク・配管の清掃、燃料価格差の補填、点検・メンテナンス費用などについても費用計上が可能であり、国と受注者が協議の上で決定する形となっています。

また、港湾工事の成績評定制度においても、こうした環境対策に関する取り組みは「社会貢献等」項目で加点評価されるため、施工業者にとっても大きな動機づけとなります。環境への配慮だけでなく、企業としての社会的評価や競争力向上にもつながることから、今後この試行工事に対する関心が高まることが期待されます。

検証方法については、具体的には「With作業」と「Without作業」に分けて比較が行われます。これは、次世代燃料を使用した作業と通常燃料による作業の両方を実施し、それぞれの作業開始時と終了時の燃料使用量、作業時間を計測することで、1時間あたりの二酸化炭素排出量を算出するというものです。これにより、単なる理論値ではなく、実運用に基づいた具体的な削減効果が明らかになるとともに、現場での運用性や課題も見えてくることが期待されます。

この試みは、従来の港湾工事においては見られなかった新たな環境配慮型工事のモデルケースとして、全国の港湾事業者や建設会社、環境技術の開発企業など幅広い関係者にとって注目すべき事例となります。国土交通省は、今後も試行工事で得られた知見を踏まえ、作業船の燃料転換に向けたガイドラインの整備や、普及促進に向けた支援策の検討を進めていく方針を示しています。

このような取り組みは、脱炭素社会の実現に貢献するだけでなく、港湾インフラの維持管理における新たな技術革新の波を生み出す可能性も秘めています。今後の展開と実証結果が大いに注目されるところです。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ