2025年7月11日
労務・人事ニュース
教育訓練費を支出する企業は54.9%に増加、労働者1人当たり1.5万円の投資が明らかに(令和6年度)
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最終更新: 2025年7月10日 22:35
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最終更新: 2025年7月10日 22:35
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最終更新: 2025年7月10日 22:35
令和6年度「能力開発基本調査」の結果を公表します(厚労省)
令和7年6月27日、厚生労働省は「能力開発基本調査」の最新結果を公表した。この調査は企業や事業所、そして働く個人がどのように人材育成に取り組んでいるかを把握する目的で、平成13年度から毎年継続して実施されており、今後の政策立案に向けた重要な基礎資料となっている。
今年度の調査結果によると、企業の54.9%がOFF-JT(職場外訓練)や自己啓発支援に対する費用を支出していることが明らかになった。前回調査からはわずかに0.3ポイント上昇しており、企業による教育投資は堅調に推移している。また、労働者1人あたりの平均支出額は、OFF-JTが1.5万円、自己啓発支援が0.4万円であった。特に自己啓発支援の平均額は前年の0.3万円から増加しており、個人の自発的な学習支援が少しずつ拡大している傾向がうかがえる。
一方で、教育訓練休暇制度や短時間勤務制度など柔軟な学習支援の仕組みは依然として普及していない。教育訓練休暇制度を導入している企業はわずか7.5%にとどまり、前年から0.5ポイントの減少となった。その他の関連制度も導入率が6%前後と低水準で、制度設計や代替要員の確保といった課題が導入を妨げている。
事業所単位での人材育成活動をみると、OJT(職場内訓練)やOFF-JTの実施率には若干の改善が見られた。計画的なOJTを実施している事業所は全体の64.7%で、正社員に対しては61.1%、正社員以外に対しては27.1%となった。正社員以外への訓練機会は3.9ポイントの上昇となったが、依然として正社員の約半分という水準にとどまっている。
特筆すべきはキャリアコンサルティングの普及状況だ。正社員に対してキャリアコンサルティングを実施している事業所は49.4%で、前年より7.8ポイント上昇した。正社員以外についても6.7ポイント増の31.4%となり、働く人々のキャリア形成を支援する体制が徐々に整いつつある。一方で、その内容や相談体制には課題も残る。「キャリアに関する相談をしても効果が見えにくい」と感じている企業が4割を超えており、相談体制の専門性強化や、成果を可視化する工夫が求められている。
個人調査の結果からは、OFF-JTや自己啓発に取り組んだ労働者の割合が46.9%と、前回より3.1ポイント上昇したことが確認された。正社員の自己啓発実施率は45.3%で、正社員以外の15.8%を大きく上回った。また、性別・学歴の違いによって受講率にも明確な差があり、大学院(理系)修了者は71.8%が自己啓発を行っていたのに対し、中学・高校卒では22.4%にとどまった。
今回の調査では、企業の能力開発への取り組みが徐々に進展していることが分かる一方で、非正規社員や中小企業における支援の格差、制度導入に向けた課題など、未解決の問題も多く残されている。とりわけ、実践的な研修制度の設計と運用、キャリア支援の質向上、継続的な教育投資の推進が、今後の人材育成におけるカギとなるだろう。
今後は、労働者の多様なニーズに応じた柔軟な教育訓練の機会提供とともに、企業全体での人材育成文化の醸成が期待される。企業の競争力を高めるためには、能力開発の取り組みが単なる人事施策にとどまらず、経営戦略の一環として定着することが不可欠だ。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ