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2025年7月10日

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【2025年4月】出生率4.7%減・死亡率3.1%増、企業が直面する採用環境の変化

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人口動態統計速報(令和7年4月分)(厚労省)

令和7年4月に公表された最新の人口動態統計によれば、日本社会における少子高齢化の進行が一層明確になったことが読み取れます。この統計は、出生・死亡・婚姻・離婚・死産といった人口に関わる主要な動向を詳細に示しており、企業の人事や採用戦略を検討するうえでも極めて重要なデータです。特に労働力人口の推移や将来的な採用難への備えとして、こうした人口構造の変化を注視することが求められます。

まず出生数に注目すると、令和6年5月から令和7年4月の1年間における出生数は711,235人となっており、前年同期間の746,162人と比較すると34,927人減少しています。減少率は4.7%に達しており、過去と比較しても大幅な落ち込みが見られます。この数字は、日本全国で平均して1日あたり約95人の新生児が前年より少ないという計算になり、社会全体にとってのインパクトは非常に大きいものです。地域別に見ると、東京都ではこの期間に26,745人が出生しましたが、死亡数は51,691人にのぼり、25,000人近くの自然減少が発生しています。

一方で死亡数は増加傾向にあり、同じ期間に全国で1,646,353人が亡くなりました。前年の1,597,277人から49,076人の増加で、増加率は3.1%に達しています。これにより自然増減、つまり出生から死亡を差し引いた値は、マイナス935,118人という大幅な人口減少となっています。この「自然減」は過去最大規模に近く、特に若年労働力の減少を伴う深刻な社会課題を示しています。

婚姻件数に関しては、前年の490,395件から494,823件へと微増しており、全体で4,428件、0.9%の増加となっています。コロナ禍が一段落した影響とも考えられ、社会的な動きが徐々に戻りつつある兆候といえます。ただし、依然として結婚するカップルの数は2010年代と比較しても少ない傾向が続いており、出生率の回復には結びついていない現状が浮き彫りです。

また、離婚件数はわずかに減少しており、前年の189,810件から186,757件へと約1.6%の減少となりました。結婚件数の増加に対し、離婚の減少は家庭の安定性がやや改善している可能性を示唆しますが、依然として年間で18万件以上の離婚が発生していることから、家庭構造の流動性は依然として高いといえます。

都道府県別の統計を見ると、東京や大阪、愛知といった大都市圏では依然として出生数の絶対値は多いものの、死亡数とのギャップが広がりつつあります。例えば東京都では、出生数26,745人に対し、死亡数は51,691人で、24,946人の自然減少が見られました。大阪府も同様に、出生数17,107人に対して死亡数40,963人となり、自然減少は23,856人にのぼっています。これらの都市では、出生率の減少に加えて高齢化も進んでおり、人口構造の維持が非常に難しい局面に差し掛かっています。

採用活動を担当する企業にとって、このような人口動態の変化は中長期的な人材確保の戦略に大きく影響します。若年層の母数が縮小していく中で、新卒採用だけに依存した人材供給モデルは限界に達しつつあります。実際に、15歳から24歳までの若年人口が今後も減少していくことを踏まえれば、中途採用や再雇用、女性や高齢者の活用といった多様な労働力確保策を講じる必要があるでしょう。

さらに、地方に目を向ければ、出生と死亡の差が著しく拡大している県も目立ちます。例えば秋田県では、この1年間で出生数が1,024人、死亡数が6,065人で、その差は5,041人に及びます。青森県、山形県、福島県なども同様に、出生数が極端に少なく、死亡数が多いため、若年人口の流出と高齢化が同時に進んでいます。このような状況下では、地方企業にとって人材の確保がますます困難になることが予想されます。

また、死産の件数は全国で15,966件となっており、前年よりも128件減少しました。これは出産医療の質や妊産婦ケアの向上といった成果が現れている一方で、母体年齢の上昇や医療格差などのリスク要因も残っていることを示しています。死産率は出産総数(出生+死産)に対して約2.2%となっており、先進国の中でも決して低い数値とはいえません。

以上のように、令和7年4月時点の人口動態統計からは、日本社会全体が急速に高齢化し、出生率の低下と死亡数の増加により、人口の自然減少が進行していることが明確に読み取れます。この構造変化に企業が対応するためには、採用手法の見直しや人材の多様性確保、働き方の柔軟化など、あらゆる施策を戦略的に組み立てる必要があります。将来にわたって事業を継続・成長させていくためにも、人口動態に関する最新情報を定期的に確認し、迅速に行動へ移すことが求められます。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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