2025年7月9日
労務・人事ニュース
2030年にはバス運転手が3万6千人不足、国土交通白書が描く持続可能な交通の未来
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「高給与」/正看護師/訪問看護ステーション/訪問看護/夜勤なし
最終更新: 2025年7月8日 22:36
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「夜勤のみOK」/准看護師/有料老人ホーム/介護施設/夜勤バイト/残業ありません
最終更新: 2025年7月8日 22:37
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介護職員/実務者研修/有料老人ホーム/デイサービス/日勤のみ
最終更新: 2025年7月9日 03:00
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「夜勤なし」/准看護師・正看護師/整形外科/リハビリテーション科/外科/クリニック
最終更新: 2025年7月8日 22:36
「令和7年版国土交通白書」を公表します。 ~みんなで支え合う活力あふれる社会を目指して~(国交省)
令和7年版の国土交通白書が発表され、「みんなで支え合う活力あふれる社会を目指して」というテーマのもと、各産業分野におけるサービス供給制約とその克服に向けた具体的な取り組みが示されました。今回の白書では特に、建設業、運輸業、物流、地域交通などの国民生活に直結する分野での深刻な担い手不足が強調され、その実態と今後の対応について詳しく言及されています。
まず、建設業と運輸業は依然として労働時間が長く、他産業と比較しても高水準で推移しており、労働環境の過酷さが人材流出を加速させています。2024年には時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」が本格的に影響を及ぼすとされており、これに加えて資材価格の高騰やエネルギーコストの上昇といった社会情勢の変化が業界全体を圧迫しています。国勢調査を基にした将来推計では、建設技術者数は5年ごとに1.5~3.0%ずつ、建設技能労働者数に至っては約7~8%ずつ減少していくとされており、2025年には50歳以上が労働者の約半数を占めるという深刻な高齢化の現状が浮き彫りとなっています。
物流分野でも深刻な担い手不足が予測されています。輸送力については、対策を講じなければ2024年度に約14%、2030年度には約34%の不足が見込まれており、今後の物流維持に対する取り組みが急務です。バス業界においても同様で、2021年の時点で11万6千人いた運転手数が2030年には9万3千人まで減少することが見込まれており、必要人員の28%にあたる3万6千人が不足する計算になります。
こうした状況に対応するため、賃上げを含む処遇改善によって労働者のモチベーションを高めることや、若年層の入職を促進するための環境整備が進められています。特に公共工事設計労務単価の引上げや「建設Gメン」、「トラック・物流Gメン」による不適正取引の是正が進められ、2024年3月の見直しではトラック運賃の平均8%引き上げが実現されました。
さらに、省人化・省力化技術の導入も本格化しています。たとえば、愛媛県では建設ディレクターを導入し、現場技術者の時間外業務を約3割削減するなど、新職種の活用が功を奏しています。また、物流施設における自動仕分け機の導入により、倉庫作業の正確性と生産性が飛躍的に向上し、トラック1台あたりの荷待ち時間は従来の70分から20分へと3分の1以下に短縮されました。伊予鉄バスでは、日本初の自動運転レベル4路線バスが導入され、1日66便の運行が行われており、自動運転技術の社会実装が進展しています。
一方で、サービスの供給方法そのものの見直しも重要なポイントです。官民が連携して、地域インフラの一括管理を行う「地域インフラ群再生戦略マネジメント」や、民間事業者による包括的な公共施設の管理委託、さらには公園や港湾、河川敷における収益事業の活用など、多様な取り組みが展開されています。また、バス車両を活用した貨客混載、スクールバスの地域利用、オンデマンド交通の拡大など、既存資源を最大限に活用する動きも広がっています。
国民の意識も変化しており、インターネット調査によれば、全国3,000名のうち、平均で約7割がサービス供給方法の見直しや需要者側の協力に対して受容的であると回答しています。たとえば、「路線バスの乗り換え前提での移動」や「自宅以外での宅配便受取り」といった対応についても、半数以上が受け入れる姿勢を示しています。また、「社会インフラの安定的利用」、「物流サービスの確保」、「公共交通網の充実」が将来の社会に求められるサービスとして挙げられており、国民の期待も高まっています。
将来を見据えた先端技術の活用も進んでいます。たとえば、豊田市では人工衛星とAIを活用して漏水リスクを評価し、従来10年かかっていた調査期間を約7カ月にまで短縮することに成功しました。また、量子コンピューティングによって物流の配車・積付けを効率化し、積載率の向上にも寄与しています。
今後の社会像としては、遠隔・自動施工、ドローン輸送、自動物流道路、貨客混載などが日常化し、多国籍の人材が社会インフラを支える未来が描かれています。顔認証によるスムーズな移動も当たり前となり、国民一人ひとりがテクノロジーと共に生活の質を高めながら暮らす社会が実現することが期待されています。
このように、令和7年版国土交通白書は、人口減少と高齢化が進行するなかで、サービス供給制約という難題に立ち向かいながら、行政・民間・市民が一体となって活力あふれる社会を築くための具体的な指針を示しています。供給側の努力とともに、需要側の理解と協力が求められる今、企業としてもその流れを踏まえた人材戦略と地域連携のあり方が重要な視点となるでしょう。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ