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2025年7月15日

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2025年6月の雇用環境指標が38.3に回復、採用市場の変化に企業が注目

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消費動向調査(令和7年6月実施分)(内閣府)

令和7年6月に実施された消費動向調査の結果が公表され、国内の消費者心理に関する注目すべき変化が明らかとなった。この調査は、全国の二人以上の世帯を対象に毎月実施されており、今回の調査基準日は6月15日、調査票の回収期間は6月6日から20日までであった。企業の経営者や採用担当者にとって、消費者の心理や物価の見通しは、今後の採用計画やマーケティング戦略を策定するうえで非常に重要な指標となるため、今回の調査結果の詳細を丁寧に読み解くことが求められる。

まず、注目すべきは消費者態度指数の動きである。令和7年6月の数値は34.5と、前月から1.7ポイントの上昇を記録した。この上昇は2か月連続となっており、消費者マインドが持ち直しの兆しを見せていることがわかる。実際に、政府の基調判断も「弱含んでいる」から「持ち直しの動きがみられる」へと上方修正された。

この指数は「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の4つの意識指標の平均で構成されている。6月のデータを見ると、特に「耐久消費財の買い時判断」が2.8ポイント上昇し28.2となった。この指標の回復は、消費者が大きな買い物に対して前向きになっていることを示唆しており、小売業や自動車販売業にとっては重要なシグナルといえる。また、「暮らし向き」は2.2ポイント上昇の32.4、「雇用環境」は1.0ポイント増の38.3、「収入の増え方」は0.6ポイント増加して38.9となっており、全項目において改善が見られる点も注目すべきである。

さらに、消費者の資産価値に関する見通しも改善傾向にあり、前月差1.6ポイント上昇して40.8となった。これは主に株価や不動産価格などの資産価格の安定や上昇を背景に、家計の経済的な安心感が高まっていることが影響していると考えられる。

一方で、消費者が今後1年間で予想する物価の動向については、引き続き高い水準の「上昇する」との見通しが多数を占めている。特に「5%以上の上昇」と答えた世帯が48.8%と最も多く、依然としてインフレ懸念が根強いことが分かる。実際、「上昇する(2%以上〜5%未満)」と「上昇する(5%以上)」を合計すると92.1%に達し、これは前月より1.5ポイント低下しているものの、依然として9割を超える高水準である。この背景には、日常生活における物価の上昇が続いており、消費者の間に実感として広がっていることがあると推察される。

また、個別項目における構成比の内訳も重要である。「暮らし向き」に対して「良くなる」と回答した割合は0.7%、「やや良くなる」が3.5%、「変わらない」が39.0%、「やや悪くなる」が38.2%、「悪くなる」が18.5%であり、全体としてやや改善傾向が見られるものの、悲観的な見方も依然として一定数存在している。「収入の増え方」に関しては、「変わらない」が58.1%と過半数を占めるが、「良くなる」「やや良くなる」との見通しが6.4%にとどまっており、収入増加に対して慎重な見方が依然として根強い。

「雇用環境」については、「良くなる」「やや良くなる」と答えた世帯が7.0%と増加傾向にあるものの、「変わらない」が53.6%、「やや悪くなる」が28.9%、「悪くなる」が10.6%と、全体としてはやや慎重な見通しが残る。雇用情勢が企業の人材戦略に直結することを考えると、採用活動においては引き続き競争が続く可能性がある。

特に注目すべきは、「資産価値」に対する評価の変化である。6月の調査では「増える」と答えた割合が0.6%、「やや増える」が10.6%、「変わらない」が55.3%、「やや減る」が23.2%、「減る」が10.3%となっており、評価が改善傾向にあることが伺える。この点については、金融市場の安定や地価の上昇が影響している可能性が高い。

企業にとって重要なのは、これらのデータが採用市場にどのような影響を及ぼすかである。消費者の心理が回復基調にある一方で、物価の上昇に対する懸念や収入の増加に対する慎重な見通しが残っていることから、求職者の志向も安定した雇用や福利厚生の充実を求める傾向が今後も続くと予想される。また、耐久消費財の買い時判断が改善したという点からは、消費者が生活の質に投資することに前向きになっている様子が読み取れるため、福利厚生としての住宅支援や大型支出に対応できる金融サービスの提供などが、企業の魅力度向上に寄与する可能性もある。

このように、令和7年6月の消費動向調査では、消費者の意識が全般的に改善している兆しが見られた一方で、インフレに対する懸念や雇用環境・収入に対する慎重な姿勢が継続している点も見逃せない。企業はこうした複雑な背景を踏まえ、採用や人材戦略を柔軟に見直すことが求められる時期に来ていると言える。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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